第6話
「今日はありがとうございました!」
「気を付けて帰れよ」
天宮と別れた後、妙な気配を感じると思ったら誰かが後ろから付けている。清徒会か? いい度胸だ。裏路地に入り、曲がり角で待ち伏せる。どこのどいつだ。数分待つが来ない。曲がり角から覗くが誰もいない。
「気のせいだったか......」
来た道を戻り表通りへ出ようとしたとき、後ろで物音がした。
「誰だ!」
立っていたのは昆虫人間。超獣、つまり清徒会か。長い触覚に複眼はまさに昆虫人間と形容すべき存在だろう。ライドブレイバーシステムを使うため、右腕を天に掲げる。
「ブレイブソウル! イン!」
スーツを纏うが目の前に居た昆虫人間が居ない。辺りを見渡すと上に居た。
「飛んだのか!」
ヤツは上空におり、そのまま空中から急降下蹴りを放たれる。直撃は避けれたが、衝撃で吹っ飛ばされた。
「なんつう脚力だ」
ヤツは両膝を曲げ足に力を入れ、再び空中へ飛ぶ。急降下した直後に硬直があり、攻撃するならそこだが衝撃波を回避しないと吹っ飛ばされ近付けない。一か八か。ヤツの真下に構え反撃する。
「Good end trigger standby」
リスクも高いが当たればヤツを人間に戻せる。真下に構え急降下蹴りを寸前で避け、側面から攻撃する。一瞬のチャンスしかない。
「うおぉ! って、あれ?」
ヤツも危険を感じたのか、距離を置き着地し、再び飛び上がり、戻って来ることは無かった。
「何だったんだ一体? 蒼霧に報告しておくか」
家に帰りスマートフォンを見ると天宮からメールが来ていた。そういえば連絡先を交換したんだった。
『時間をいただいてありがとうございました。また、お話ししたいです』
天宮は同学年では無く後輩になる。だからといって、文章が固すぎないか。彼女らしいが。嫌われたわけでは無さそうだし良いか。
『こちらこそありがとう。次は天宮の好きな店にするか』
とりあえずメールを返しておく。蒼霧にも、昆虫人間について情報を送った。