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第1話

 今日も怠い毎日が始まる。起床したら決まって鏡に向かい拘り抜いた髪型を整え、金色に染めた髪をオールバックにまとめる。自分で言うのもなんだが、以前スポーツをしていたため筋肉質な体と180cmの身長はスタイルが良いと自負している。


 ママチャリに乗り、いつもの通学路を突き進む。学校近くになると学生も増え、物珍しい顔で俺を見てくる。


「毎日、毎日うざってーな」


 転校してから、半年くらい経つが俺への視線は変わらない。出入口にいる教員からも注意されるが無視して教室に向かう。別に学校に来る意味もないため退学しても良いのだが暇だしな。


 クラスの席は窓際でグラウンドがよく見える。眺めているといつも変わらず、変人の蒼霧 朝(アオギリ アサ)がグラウンドに色々な機材を置き実験をしている。でかい眼鏡、ボサボサの黒い髪に白衣を纏い、いかにも研究者って見た目だ。


「馬鹿なことやってんなー」


 ヤツは科学研究部の部長であんな成りだが大きな賞を取っているらしく、教員達が注意することはない。


「えっ?」


 今一瞬、眼が合ったか? いや、気のせいだろう。気味の悪いやつはほっといて、漫画の続きでも読もう。授業中はいつもこうして時間を潰している。


 昼休みになれば立ち入り禁止の屋上で飯を食う。まず人は居ないし、景色も良い。ベストプレイスってやつだ。だが、今日は違った。女子数名が1人の女子を囲っている。


「かつあげか、くだらねぇ」


 俺の貴重な癒しの時間を奪ったことを後悔させてやるよ。指を鳴らし近付いて行くと、彼女達は俺を睨み屋上から出ていった。


「あり、ありがとう」


 囲まれていた女子はニコッと笑った後、その場を去っていった。


「ちっ」


 今日は特別暑い日ではないが、何故か汗が吹き出た。屋上に吹くそよ風がいつも以上に心地良かった。


 授業も終わり放課後、帰宅準備をするが、嫌なことを思い出した。隣の席の、鳴上 命(ナルカミ メイ)が体育館裏に来いと言っていたな。アイツはこんな見た目の俺にも怯まず話し掛けて来る。スルーしたらより面倒臭いことになるしな。


「あぁ、めんどくせー」


 漫画の入ったバックを背負い扉を開ける。教室からは意外と遠く、それがより面倒臭さを引き立てる。何かの手伝いをさせられるに違いない。前回はそれで夜の20時頃まで居残りをさせられた。憂鬱だ。


「遠いんだよ、無駄に」


 到着し、体育館裏の重い扉を開けるとそこには眼を疑う光景が広がっていた。なんだよこれ......。全身毛むくじゃらで虎みてーな顔をした、人間が立っており、周りには生徒が数名倒れている。


「こっちくんなー! 変態!」


 声がする方向を向くと命が箒を振り回し抵抗している。状況が理解できないが身体は既に動いていた。


 虎人間に距離を詰め、顔面に向け右ストレートを叩き込む。


「そいつらから、離れろ」


 確実に入ったはずだが、渾身の攻撃は全く効いていない。ありえねぇ。戸惑う瞬間、虎人間の反撃を食らってしまう。ギリギリで防御し一歩下がる。


「嘘だろ!?」


 両腕の学ランは爪で引き裂かれている。一歩下がるのが遅れていたら、腕を持っていかれていた。


「なんなんだよ、コイツは!?」


「そいつは、超獣ですよ」


 後ろを振り向くと蒼霧が巨大なスピーカーの様な機材を持ち、何やら説明をしている。


「超獣に人間は勝てません、ですが」


 蒼霧は機材を床に置き、機材をいじり始めると、虎人間は頭を押さえ苦しんでいる。


「長くは続きません、急ぎますよー!」


 無駄にテンションの高い蒼霧は俺の右腕に機械を着けやがった。おもちゃか? ふざけんな。


「これをこうして、と。黒鐘 勇牙(クロガネ ユウガ)さんあなただけが頼りです。頑張ってくださーい!」


 虎人間が体勢を立て直し、こっちに向かって来やがる。蒼霧は何をしたんだ? とりあえず今はやるしかない、拳を握り構える。


「うおぉ!」


 虎人間の剛腕と俺の拳がぶつかり合う。その瞬間、俺の拳から全身に掛けて光が身を包んだ。


「私の計算通りですね!」


 なんだこれ。視界が何かに覆われた様に数字が見える。手を良く見るとグローブ、いや全身がおかしい。金属が纏わり付いている。スーツみたいだが。


「何をした! 蒼霧!?」


「やはり、あなたは適任でしたね。今のあなたならみんなを救えます!」


 救う!? いや、迷うな。戦うしかねぇんだ! 虎人間の動きが見える、先を予想したように身体が動く。隙を逃さず顔面、腹部に拳の強打を打ち込むと、膝を着き怯んだ。


「ウギャー!」


「今です! 腕の装置に手をかざして下さい!」


 どうにでもなれ! 蒼霧に言われた通り手をかざした。


「Good end trigger standby」


 変な音声が鳴ると右手にエネルギーが溜まっていくのがわかる。大きく怯んでいる虎人間に右ストレートをぶちこみ、ぶっ飛ばした。


「ハァッ!」


 この出会いが落ちぶれた俺の人生を大きく変えるなんてこの時は想像もしていなかった。

続くかは不明です。

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