夢
死というものは、こんなにも静かで、辛くて、哀しくて、痛くて、寂しくて、空虚で、冷たくて、無情で、深い闇で、無言で、孤独で、静寂で、絶望で、永遠なのだな。
神格を失い、もう何もないと思っていたけれど。あたしにはまだ、この手の中にあるものがあった。
それは、あたしが守りたかったもの。
それは、あたしにとって一番大切なもの。
それは、決して手放したくないもの。
それは……かけがえのないもの。
あたしの……大切な人……。
誰かが言った。
————所詮、人間は神の造物だと。
誰かが言った。
————所詮、神は上位存在の造物だと。
誰かが言った。
————所詮、全ては作り話だと。
結局、それは正しかったのかもしれない。
長い夢を見ていたようで、何も見ていなかったようでもある。
あたしは、何をしていたのだろう。あたしは、何をしたかったのだろう。
あたしは、何をしたかったんだろう。
自分は、何がしたかったのか。
自分は、何が欲しかったのか。
もう、わからない。
何もわからない。
ふと気付くと、そこは白い世界だった。
「ここは……」
『君だけの世界さ』
「神格がない今のあたしでも、そんな世界あるんだ」
『あるさ、生物なら皆持っている』
「そっか」
『ああ、そうさ』
「ねえ、一つ聞いていい?」
『なんだ?』
「あたしは生きてる?」
『生きているの定義によるね』
「それって……?」
『君が生まれなかったとして、君は死んだことになるのかい?』
「それは……」
『肉体を動かせなくなり、細胞が死滅とき、それは死かい?』
「たぶん」
『なら、魂があっても意識が無ければ死かい?』
「……」
『死とはなんだろうか?生とはなんだろうか?』
「命の有無……」
『命の定義は?』
「わからないよ、そんなの」
『それが答えだ』
「え?」
『わからないことこそが答え』
「なによそれ」
『言っただろう?所詮、全ては作り話だって、命なんてものは初めから無いんだ』
「それも作り話?」
『そうかもしれない』
「わけがわからないわ」
『そうだね。僕が知る限り世界は不完全なんだ。まあ不完全であるように作られているだけかもしれないし、完全なんてものが無いのかもしれないけどね』
「そう、なのね」
『ほら、そろそろ夢から醒めるときだ』
「夢?」
『そう、夢、ここは君だけの世界で夢の世界で、作り物の仮初の世界』
「最後に1つ、あなたは誰なの?」
『僕は……そうだね。誰でもあって、誰でも無い』
「え?それってどういう……?」
『言葉にできないから、そう伝えるしかないね。存在していて存在していない存在』
「はぁ……」
『ほら、もう時間だ。じゃあね。またいつか、会えるといいね』
そしてあたしは目を覚ました。




