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I don't eat meat.

この前、単語帳の例文からストーリーを考えられないかと思いやってみました。題名は例文をそのまま使いました。

 私は肉を食べない。肉を食べてはいけないと教わって育ったわけではないし、動物を食べるのは残酷だと思っているわけでもない。この前、友人と焼く肉店に行ったのだが、そこでも食べなかったのだ。タンを焼く友人を横目にサンチュをもしゃもしゃと食べていた。そんな私を見て、彼は不思議そうな顔をしたが、すぐにタンの面倒を見るのに熱中した。彼はタンが焼き上がると、すぐにネギ塩ダレにくぐらせ口に放り込んだ。熱そうにタンを噛む彼は幸せそうだった。タンを片付けると、彼はカルビを焼き始めた。そして私がサンチュしか食べていないことに気づくと、怪訝な顔をした。

「お前肉食わないの」

「食べないよ」

「何で焼肉屋来て食わないんだよ」

「食べる気しないから」

「じゃあなんで肉食おうぜって言ったときに、うんって言ったのさ」

嫌だって言っても無理に引っ張り込むだろという言葉をサンチュと一緒に飲み込んだ。こいつはいつもそうなんだ。いっつも自分勝手に…

「それに前は肉食ってたのにな。お前が最近肉食わないってAに聞いたときは冗談だと思っていたんだがな。なんで肉食わないの」

「それは言えない」

「何で」

「何でもいいでしょ」私はサンチュを細かく裂いた。

「肉食っちゃいけない宗教に入ってるわけじゃないんだろ。」彼は焼けたカルビを私のサンチュの上に載せた。

「食えよ」

「それ責任持って食べてよ」私は皿を友人の方に置いた。

「何しにここに来たんだよ」彼はため息をつきながら、タッチパネルを操作し始めた。液晶の上を彼の指が忙しなく動く。どうやらまたカルビを頼んでいるようだ。

「サンチュ追加してよ」と言ったが彼は無視した。私の注文は打ってくれないらしい。肉が来るまでお互いに黙っていた。私はサンチュを食べていたし、(これで10皿目だ)彼は火をぼんやりと眺めていた。網が焦げ付いて、黒ずんでいる。網は替え時だと言おうと思ったが、やめた。

 店員がきてカルビを置いて行った。それから私の皿を見て、気味の悪そうな顔で下げてくれた。

彼はカルビを網の上に敷き始めた。

「なあ、あの店員の顔見たか」

「見てない」

「あの店員、お前のことを気持ち悪そうに見てたぜ。考えてみろよ、サンチュしか食わない客ってどうなのさ」

「人の好き好きじゃない」私はサンチュを半分に折った。

「そういうところだぞ。普通、焼肉屋で葉っぱだけ食いはしねえよ」

「だから人の好き好きじゃない」私は半分にしたサンチュを2つにちぎった。

「お前最近疲れてないか」

「え、そんなことないけど」私は手を止めた。

「最近おかしいぞ。どうかしてるって」

「そんなことない」

「いや、おかしい」

問答が続いた。彼の焼いたカルビは炭見たいな色をして、網にこびりついていた。

「肉が焦げちまった」彼はため息をついて立ち上がった。

「帰るぞ」

「もういいの」

「もういいよ」

彼は歩き出した。私は残りのサンチュを口に詰め込んで彼の後ろを追いかけた。

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