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鑑定メガネ


 この世界には有名な神様として『三大神』と呼ばれている神様がいる。

 慈愛の神『ベルベリィ神』。

 戦の神『バルバルバ神』。

 守護の神『ニーサム神』。

 大陸全土に渡って信仰されている神様はこの三神だ。

 現実世界だと信仰する事での恩赦はわかりづらいが、こっちの神様はわかり易い。

 神様を信仰する事で特殊な能力を使えるようになる。

 『ベルベリィ神』は他者への他者への補助。能力を上げるバフや回復だな。

 『バルバルバ神』は攻撃的な神で、自身の攻撃面での強化と武器の強化。

 『ニーサム神』は防御。バルバルバの防御型と考えればいいな。

 神を信仰する事でそう言った特殊な能力を貰えると言うのが、この世界の宗教だ。

 心刀使いでも、信仰したい神様のいる教国に行って、色々とやって信仰する許可が下りれば、特殊な能力を使えるようになるぞ。

 現状、余りジダイの心刀使いが信仰してたりはしない。

 ぶっちゃけ遠いからな。『ベルベリィ神』の宗教を広めている国は一番遠くて、行って帰って来るので一週間くらいかかるらしい。

 まあ、それはさておき。

 信仰する事で色々な恩赦が貰える神様だが、特に許可とかなくても信仰することが出来る神様も居る。

 一番わかり易いのは『ウンエー神』。

 システムからプレイヤーが行える事の一部は、こっちで暮らしているNPCでも行える。

 『ウンエー神』も一応プレイヤーが信仰している神様と、こっちのNPCには思われている様だな。

 んじゃ、本題に入ろう。

 プレイヤーにとって信仰していなくても恩赦を受けられる神様の代表が『ウンエー神』。

 そして、NPCの間で信仰していなくても恩赦が貰える神様の代表が──


「《『グラス神』という》」

「《グラス神・・・ですか》」


 どうやらその神様から鑑定するものが貰えるといった話みたいだな。


「《ああ。ガラスの神様らしいんだが、信仰していなくても貰える物があるんだ》」

「《貰える物・・・・・・メガネですか?》」

「《その通り。んじゃ祈ってみて》」

「《へ?》」

「《鑑定のメガネが欲しいんでしょ?グラス神様、鑑定用のメガネを下さいって祈ってみて》」

「《はあ・・・》」


 言われた通りに祈ってみる。

 両手を握って目を瞑り、祈りを捧げる。

 何かが顔にはまった感じがした。


「《・・・・・・》」


 手で取ってみると、メガネだった。


「《おめでとう。今日から君もグラス教の一員だ。さあ、グラス神を崇めようか!》」

「《崇め奉るのだあ~》」


 ギャーテーさんが両手を上げながらそんな事を言っている。


「《鑑定メガネを初めて手に入れた人に対しての儀式みたいなものだよ》」


 ジャンクさんがそう説明してくれた。


「《そうなんですか》」

「《ジャンクさんもやりましょう。奉るのだあ~って》」


 ギャーテーさんが誘っているがジャンクさんは乗り気ではないらしく首を振った。


「《俺も初めて鑑定メガネを手に入れた時にやられたけど、ぶっちゃけ怖かったぞ。いきなりそんな事を言いながら絡まれたからな》」

「《まあ、強要するほどの事でもねーしな》」

「《楽しいのに~》」

「《ギャーテー君は何でも楽しそうにやるからねぇ》」

「《メガネ嫌いな人とかも居るからな。押し付けはあかん》」

「《それは確かに・・・・・・ジャンクさんはメガネ嫌いです?》」

「《別に好き嫌いはないよ》」

「《メガネの好き嫌いは小さい時の思いで補正が強いって話を聞いた事あるな》」

「《あー、見てた漫画とかアニメの好きなキャラがメガネかけてたとかそういうのですか》」

「《親とか初恋の人とかな。その逆で嫌いになるパターンもあるとさ》」

「《なるほど~》」

「《コハマル君は・・・大丈夫そうだな》」


 三人が話している間、僕はというと、貰った鑑定メガネで仮面と首飾りを鑑定していた。


 ヤブカラ族の仮面──レア度SR

 この仮面を被ると、今まであったことのあるヤブカラ族になる事が出来る。ヤブカラ王にはなれない。

 ヤブカラ族になるとフレンドリーファイアが出来るようになるので注意が必要。

 デメリットとして『ヤブカラ状態』という状態異常になってしまう。

 クールタイムは選んだヤブカラ族によって異なる。一分三十秒後、再度使用可能。


 ヤブカラ族の首飾り──レア度R

 ヤブカラ族が他種族に贈るために作られた首飾り。

 友好の証であり、首に掛けるとヤブカラ族から襲われなくなる。


 こんなアイテムだった。

 どっちともかなり良いアイテムだと思った。

 助けた恩で回復とアイテムまでくれるヤブカラ族。

 なんかプレイヤーからは恨まれていたりするらしいけど、仲良くなろうと思ったら普通に良い隣人とかになるのではないだろうか?

 ・・・・・・ちょろいとも思ったけども。


「《鑑定中かい、コハマル君》」

「《ジャンクさん。一通り見てみました。それでふと思ったんですが、脳内チャットは続けるんですか?首飾りの効果でヤブカラ族は襲って来ないみたいに書いてありますけど》」

「《そうなのか? SRの方しか見てなかったな》」

「《普通に喋っていいのでは?》」

「《いや、脳内チャットは続けといた方が良い》」


 答えたのはゼニキンさん。


「《ヤブカラ族以外にもオオカミ系のモンスターとか人型のもいるし、出来る限り静かにしておいた方が良い》」

「《人型と言いますと、ゴブリンとかですか》」

「《だなぁ。オークやトロルは出ないはずだが、ゴブリンはここでもみる事はあるし、警戒はしておいた方が良い》」

「《なるほど、わかりました》」

「《ちゃんと鑑定出来てるみたいだな》」

「《はい。まさかメガネが祈っただけで貰えるとは思ってもなかったですけど》」

「《目が悪い人の為の神様って話だよ》」

「《グラス神がですか》」

「《そう。だからメガネが欲しい人に祈れば渡してくれる》」

「《鑑定機能付きなのが嬉しいですね》」

「《ちゃんと毎日祈っていると普通のメガネも貰えるらしいぞ。グラスポイントを貯めればな》」

「《グラスポイント?》」

「《ステータスに付け足されてるから見てみれ》」


 言われてみてみると『グラス0ポイント』という項目が足されていた。


「《祈ったりメガネの手入れしたり、ガラス製の何かを買ったり作ったりするとポイントが溜まる。溜まったポイントを消費して他のメガネを手に入れることが出来る感じだ。ちなみに今持っているメガネをカスタマイズする事も出来る》」

「《カスタマイズですか》」

「《改良だな。俺のメガネは戦闘中に外れない様に顔にがっしりフィットする様にして貰っている。まあ、鑑定の時にしか使わないからほとんどメガネ外しているから意味なかったけどな》」

「《俺のは鑑定時に音声で説明文を読むようにして貰ったけど、パーティ中だと他の人との会話の邪魔になったりするから機能を切っているよ》」


 ジャンクさんも改良をしている様だった。

 ギャーテーさんはどうなのかなと、目を向ける。


「《僕はまだポイント溜まってないから何にもカスタマイズしてないよ~。溜まったらメガネバリアって奴を取るつもりだけど》」

「《メガネバリア・・・・・・》」


 メガネがバリアを展開するのか、はたまたメガネがバリアみたいに大きくなって守ってくれたりするのだろうか。


「《バリアは効果が良いらしいがフラッシュで、良くないか? 攻撃を躊躇わせるのに使えるらしいし、ポイント低いぞ》」

「《らしいですけど、ポイント多いやつを取りたいって思っちゃって》」

「《それはわかる》」

「《ポイント多いのだったらビーム一択じゃないのか》」

「《それも候補ですね》」

「《ビームはダメだろ。ポイント数十万とか何カ月かかるかわからんぞ》」

「《なんかしらポイント稼げる手段が見つかったら色々とカスタマイズしたいですね》」

「《アタックとかヒールとかもいつか使って見たいメガネ技ではあるな》」

「《アタックはメガネかけている相手には効かないらしいが、まあモンスター相手になら有効か》」

「《ヒールも自分に使えるんだったらなぁ。現状だと他のプレイヤーにしか使えんし取るか迷う所だよ》」

「《確かに》」


 何か良くわからない会話が目の前でなされていた。

 というか、メガネのカスタマイズの会話ではない気がする。

 メガネの会話でここまで盛り上がれるゲームだったんだな。


「《おいおい、コハちゃんがぽかんとしているぞ》」

「《あ、ごめんねコハマル君。なんかメガネの話が熱くなっちゃって》」

「《お構いなく》」

「《メガネヒートとかもあったな》」

「《高熱視線か。それもビームくらいポイントいるんじゃなかったか?》」

「《だったか。やっぱ目からレーザー系統は高いな》」

「《話をメガネに戻しちゃダメでしょ二人とも~》」


 ギャーテーさんが二回ほど手を叩いて会話を中断させる。


「《・・・・・・まあコハちゃんや》」

「《はい》」

「《メガネは奥が深い。それだけは今日覚えて帰ってくれい》」

「《ボス攻略をするのでは》」


 このまま解散みたいなノリで言うものだからツッコミを入れてしまった。


「《そうだった。まずドアノブ探しだな。鑑定メガネは掛けてると外れちゃう事もあるから閉まっといた方が良いぞ》」

「《わかりました・・・・・・?》」


 顔から外そうとした所で、首飾りの先にある鈴が目に留まる。

 どうやら鈴は首飾りの一部ではなく、別のアイテム扱いの様だ。

 鑑定をしてみる。


「《どうしたコハちゃん》」

「《いえ・・・休憩は終わりですか》」

「《ジャンクも回復したよな》」

「《PPは全快一回分はあるよ》」

「《おけ、んじゃ気を付けながら進もう》」

「「「《《《オー》》》」」」


 みんなで歩き出す。

 一番後ろからついて行きながら、色々と僕は考えていた。

 鑑定した結果を僕はその場で言うのを躊躇ってしまった。

 また長話が始まったりしたらやだなという気持ちもあったし、一応は自分が貰った物だし・・・

 後々で、ダンジョンで手に入れた物の清算をする時にバレなければ貰えるかもという気持ちもあった。

 ・・・・・・ので反省しておこう。


「ジャンクさん・・・」

「・・・・・・内緒話か?」


 小声で話しかけたら、ジャンクさんは直ぐに察してくれた。

 パーティでの脳内チャットではなく、個人用のチャットで話し始める。


《何かあったのか》

《ちょっとこれ見て貰えます。首飾りの先端だけ違うアイテムなんですよ》

《・・・・・・コハマル君》

《はい》

《豪運だねぇ。そういうスキルとか持ってるの》

《持ってないです。この場合はヤブカラ族が気前良すぎなのではと思いますが》

《俺も今度からヤブカラ族が困ってたら助ける事に決めたよ。しかし・・・・・・》

《下心が少しありました。けど、やっぱ話しておこうと思いまして》

《他の二人に言わないのは》

《また話が長くなるのが嫌だったのもあります》

《うーん。そうなる可能性はないとは言わないけど》

《見つけたアイテムの清算時の割り振りってどうなっているんですか》

《今回は特に決めていないから見つけた人が貰っていいと思うけど、レア物の場合は揉めたりする事があるね》

《ですか・・・・・・》

《まあ、今回の冒険で使っちゃっても良いんじゃない。消耗品らしいし》

《使う機会ありますか。ボス戦とかで》

《四人パーティだからねぇ。使わない可能性が高いかな》

《なるほど》

《まあ、遠慮せずに、機会が来たらやっていいと思うよ。ちょっと見てみたいし》

《わかりました。ありがとうございます》


 チャットはそこで終わりとした。

 改めて、首飾りの先のアイテムを見る。


 ヤブカラ族の鈴笛──レア度SR

 消費アイテム。

 近場の草むらからヤブカラ族を召喚する。

 草むらが多い場所で使うと効果大。 


 短い文章だが、やばい効果が書かれている。

 一面草むらの時に使うと、すごい事になりそうだなぁ・・・・・・


ここまでお読みいただき有り難う御座います。



モンスターをランダムで召喚するアイテム。

ラグナロクオンライン(RО)だと『枝』というアイテムがありました。

モンスターが沸かない街中とかでもモンスターを召喚できるアイテムです。

大量に使って町中モンスターだらけにする『枝テロ』と言われている行為もありました。懐かしい。

・・・・・・今『枝テロ』で検索してみたんですが、昔の枝テロのページとか結構残ってるみたいです。詐欺師TEN〇AIさんのページとか。

TEN〇AIさんはホント悪い事しかしていない感じのММО系サイトなので、そういったキャラクターを書きたい人は見て損はないページだと思います。

自分も久しぶりに見てみるつもりです。

ではまた次回~・・・

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