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一回戦 VSデデルマン


≪一回戦第十試合、デデルマンVSコハマル・・・・・・試合開始!≫

≪おなしゃーーーすっ≫


 実況の声と共に試合が始まる。

 僕はいつも通り上段に構えて様子を窺う。

 対する対戦相手は、刀を抜きゆっくりと歩きながら話しかけてきた。


「コハマル君は籤運くじうんとか、もしかして良い方だったりする」

「さあどうでしょうか。今日に限っては悪い方な気がしますね」


 十メートルほど離れた所に居るデデルマンさんに返答しつつ、相手の出方を見る。


≪デデルマン選手、ゆっくりと近づきながら何やら喋りかけている様子≫

≪知り合い同士なんですかね。喋るなら試合終わった後でいいでしょうに。遅延はダメですよ遅延は≫

「・・・・・・とか言ってますが?」

「コハマル君が攻めてくればいいんじゃないかなぁ」

「なるほど、どうしますかねぇ・・・」


 試合時間は三分間。

 喋っているだけでも時間が流れる。

 デデルマンさんの歩みが止まる。

 だいたい五メートルくらいの距離か。


「来ないの、コハマル君?」


 刀を横に向けて構えながらデデルマンさんが催促してくる。

 来て欲しいのか、はたまたそうでないのか。

 考えすぎてしまっている。

 デデルマンさんは二つ名がつけられるほどのプレイヤーだ。

 カウンター狙いでこっちが行ったらそのまま斬られてしまうのではと思ってしまっていた。

 ・・・・・・二つ名か。


「・・・停空飛翔ホバーとか呼ばれているらしいですね」

「え、あー、誰かからか聞いたのね。まあそう呼ばれているけどさ。余り好きな呼び名じゃないから呼ばないでくれると嬉しいよ」

「そうなんですか」

「そうなんだよーコハマル君。他人が付けたあだ名と一緒でさ、本人にとっては呼ばれたくない言い方だったりする訳よ」


 なんか、話をしたい雰囲気を出してるな。

 時間稼ぎをしたいのか?

 何で?

 戦えば負けると思ってるとか?

 それはない。

 僕が技を覚えてから大会で戦ってデデルマンさん、または同心組の誰かが勝てば、同心組に入る事になっている。

 そういう約束だ。

 勝てるとデデルマンさんは思っている。

 じゃあ何で喋って時間稼ぎして──


「──そっか!」


 答えが見えた。

 それと同時に、弾かれたように前方のデデルマンさんへとダッシュする。


≪おっと、コハマル選手が先に動くっ≫

≪もう四十秒経過してるんだけど出だしが遅すぎるよね~≫


 本当に、気づくのが遅すぎたよもー!

 籤運くじうんは良かったのだ。

 デデルマンさんと当たって、対策を練ることが出来るのだから。

 デデルマンさんの狙いは時間稼ぎだ。

 今回、僕がデデルマンさんに負けても同心組には入らない。

 入るのは技を覚えて負けてから。

 だからデデルマンさんは『出来る限り手の内を見せずに試合を終わらそう』としていたんだ。

 低空飛翔ホバーの二つ名の由来の技も出さずに・・・

 本番でない今回は全てを見せずに済ませようとしている訳だ。


「ふっ」


 間合いに入り、上段からデデルマンさんの頭目掛けて刀を振るう。

 他の人から見たら舐めプと取られかねない戦いをしようとしていると思われるデデルマンさんに、僕は怒りではなく──


「(本気で同心組に入れようとしてるんですね、デデルマンさん)」


 ──どちらかと言えば嬉しさが込み上げた。




 デデルマン視点。


 あー、気づかれたか。

 一分くらい時間を潰せたからまあ目標の三分の一を無駄にさせる事には成功した。

 今日の戦いが本番ではないからなぁ。

 技覚える前のコハマル君を倒しても、入隊してくれる訳じゃないから。

 俺の『独自技』を今見せるのは出来るだけ避けたい。

 見せたら対策されるし、切り札は見せずに勝てればそれが一番だ。

 間合いに入った。

 上段からの打ち込み。

 半歩、横に踏み込みながら頭に落ちてくる刀を自分の刀の刀身を滑らせながら斜め下へといなす。

 結構一撃が重いなっ。

 だが、いなしたぞコハマル君。

 いなし終わると同時にこちらから上段の打ち込みを食らわそうとして──

 相手の上段の打ち込みが肩に向かって振り下ろされてきた。

 

「なっ(なんだその速さ!)」


 とっさに振り上げようとした刀を肩に担ぐようにして、コハマル君の刀を受け止める。

 刀が肩にめり込んだ。

 重い一撃に片膝をつく。


「ぐっ」

「ふっ!」


 肩の重みが消える。

 ぞっとして、その場から飛びのいた。

 間髪入れずにコハマル君の上段撃ちがそこを通過する。

 コハマル君の刀をいなした時の事を思い出す。

 こちらのカウンターで打ち込むよりも速くもう一度打ち込んできたのか。

 どんな速さだよ、びっくりした。

 めちゃくちゃ鍛えてきてるじゃないかコハマル君!

 ちょっ・・・・・・ちょっと息を入れたい。

 

「いやー、速い──」

「ふっ」


 コハマル君が突っ込んできた。

 喋る時間がない!

 喋らせる気は毛頭もないらしい。

 慌てて『普通の縮地』をしようと構えを取る。


「っ!」


 ビタりとコハマル君は足を止めた。

 こちらから見て右側に刀を出して、縮地を迎え撃つつもりの様子。

 どうする・・・

 縮地を出すか? 左側に抜ければ行けるか? それとも時間を使うか?

 このままタイムアップするのも有りかもしれないが、今の所、消極的な行動しかしていない。

 判定では負けになるだろう。

 それは恰好が悪すぎるな。

 勝って終わらす・・・判定になったとしてもだ。

 肩を回して打ち込まれた傷の具合を確認。

 大丈夫だな。


「縮地!」


 言わなくても発動できるが言って縮地を発動させた。

 布石って奴だ。

 ・・・・・・こんな布石を今日打つ事になるとは思ってなかったな。

 右は刀があるから左から駆け抜ける。

 足をかけて来るかもと思ったがそれはなかった。

 こちらから見て、コハマル君の左斜め後ろに縮地で移動した。

 半身で背中合わせになっている感じだ。

 即座にお互いに動く。

 回転しながら出来るだけ体を低くして、足元に向かって刀を横薙ぎに振るう。

 上段からの打ち込みを避けるための策だ。

 上からの振り下ろしは体を低くすれば良い。

 振り返って振り下ろそうとした時、相手を見失うこともあり得る、低めへの斬撃だ。

 上段から届くとしたら横薙ぎに振るった刀と腕だが、とっさにそこに打ち込んでこない事に賭けた。

 これでどうだ!

 回転しながらコハマル君の足を見ようと視線を飛ばす。

 足元への斬撃が振るう。

 そこに──足はなかった。

 な、んでない!


「うえっ!」


 視線を上に向けると同時に『発動』する。

 空中に跳躍したコハマル君が見えた。

 ゆっくりと回転しながらこちら側に向かって跳躍し、上段の構えから一撃を入れようとしているのがわかった。


「かっ!」


 思わず笑ってしまった。

 ・・・・・参った。完敗じゃん。

 普通にやってたら普通に負けてるじゃん俺。

 読みがスバ抜けてやばい。

 先読みだけで先人を完封する新人。

 漫画の主人公みたいじゃんコハマル君。

 ──けどまだ負けじゃない。

 体が勝手に『発動』させていた。

 いつの間にやら身に付いた、気に入らない、二つ名と同じ、嫌な名前の心刀技。

 『低空飛翔ホバー』を──




 コハマル視点。


 デデルマンさんが縮地で横を通り過ぎたところで、僕は跳躍した。

 空中で回転しながらデデルマンさんの方に向き直る。

 足元を狙った斬撃が空を切る。

 読み勝った。

 ぎょっとした表情のデデルマンさんに向かって刀を振り下ろそうとした所で──


 ぶわっ。


 デデルマンさんの足元の裾が膨らむのが見えた。


「ごっ!」

「ぐえっ」


 何が起こったわからずに吹っ飛ばされた。

 腹に衝撃が走り、後方へと飛ばされていた。

 吹っ飛んでいるのはデデルマンさんも一緒だった。

 背中から地面に落ちて、息が出る。

 自分の上を通り過ぎてデデルマンさんも地面を転がっていった。

 タックルを食らったのか・・・・・頭突きのタックルだと思う。

 ・・・にしては速すぎる。

 縮地でタックルされたような感じか。

 けど、デデルマンさんの、あの刀を振るった体制で縮地が撃てるのか?

 ・・・・・・って空見上げて考えてる場合じゃないっ。

 立ち上がってデデルマンさんの方向に刀を構えた。

 デデルマンさんも立ち上がって来る所だった。


「・・・・・・使ったんですか?」


 思わず尋ねてしまった。

 そんな場合じゃないのにねぇ。


「使ったよ」


 思いの外、素直にデデルマンさんは答えた。


「即座に縮地が出来るのが低空飛翔ホバーなんですか?」

「・・・ふっ、教えない!」


 ふん、と顔を横に向けてデデルマンさんは返答を拒否した。


≪デデルマン、九死に一生!≫


 ふと、実況の声が聞こえた。


≪今何があった訳?≫

≪おそらく切り札を使ったんじゃないかと思いますがゼニキンさん≫

≪あれか。あんな使い方も出来るのね。本当に便利だわ。教わりたいわー≫

「・・・・・・とか何とか言ってますが」

「独自技だから勝手に見て覚えてって感じだよ・・・・・・コハマル君」

「はい」

「ラスト一分、全力で行くよ」

「最初から全力だと思いますが」

「いや何というか、全力出さずに勝とうとしてたからさ」


 どこか済まなそうに言うデデルマンさんに僕は返答する。


「それが全力なのでは?」

「へ?」

「全力出さずに勝つことに全力だったのではないかと・・・・・・日本語、おかしい気がしますが、そう感じました・・・・・・本気だなと」

「・・・まあ、終わってから話そうか」


 ぶわっとデデルマンさんの裾が空気で膨らんだように広がった。

 立っているはずのデデルマンさんが、不安定な感じに、若干だが浮かんでいるように見えた。

 足を使って何かやっているのだろうが裾が長いせいで、足元が見えず、どうなっているのかがわからない。

 これが『低空飛翔ホバー』か。


「そうですね」


 さて、どういう技か確認しないとな。


「行くよ」

「よろしくお願いします」


 僕はデデルマンさんへと走り出す。

 ここからが本当の勝負だな。

 どうにか低空飛翔ホバーを見極めてみよう。


「・・・・・・」


 ゆっくりと旋回するようにデデルマンさんは横へと移動を始めた。


≪さあ、ラスト一分。デデルマン本気になったか!≫


 実況が告げる。

 一分間の攻防が始まった。


ここまでお読みいただき有り難う御座います。



総合評価が100ポイントを超えました。

マイリスしたり、評価したり、感想書いてくださった皆さん。ありがとうございます。

これからも頑張るのでよろしくお願いいたします。



エイプリルフールですね。

自分は余り噓をつきませんがネットとかでエイプリルフールネタを拾ってきてみたりしてます。

あれも久々に見るかな。東方のエイプリルフールネタの動画で好きなのがありまして、東方嘘偽樂ってやつです。

クオリティが高いので、この日が来ると見に行ってます。

そんなちょっとしたお勧めでしたー。

ではまた3日後くらいに・・・

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