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終末だらずチャンネル~バッドエンドを迎えたゾンビに溢れた世界で、馬鹿な俺たち鳥取県民は動画を配信する。それでは皆さん、よい終末を~【完結】  作者: 高山路麒
第二部・後半

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12-24 怪しい粉(ミ〇メーク)とミササ醤油のトレード

 攻略対象のともちゃんは現在鉄道の復旧作業に従事しているため俺は途端に暇になってしまう。コーヒーをまったりと飲みながら俺は時間を無駄に過ごしていた。


「暇やなー。なんか面白い事あらへんかなー」

「なんで関西弁なの?」


 同じく暇をしていたゴンは、細長いスナック菓子をもしゃもしゃと食べながら疑問を口にする。


 ホラーマンガの巨匠が手掛けたスナック菓子のパッケージは某国民的駄菓子と酷似しているように見えるが、鉗蘭電鉄オリジナルのお土産だ。今のところ訴訟は起こされていない。


「こそこそ」

「ん」


 しかし俺はがんめんちゃんがこそこそとバスの降車口に向かうのを目撃する。扉を開けて出る際にナビ子と小声でなにかのやり取りをしたのも見逃さなかった。


 彼女が車外に出ていったあと、俺はコーヒーを一気に飲み干し、


「よし、尾行するか」


 と、躊躇なく言ったのでゴンは少し引いてしまう。


「なに言ってんのあんた。でも面白そうだね」

「おう」


 俺はゴンを仲間に加え、がんめんちゃんの後をつける事にしたのだった。



 しばらく歩き俺は彼女が店に入っていくのを発見する。そこは『コノソソ』という居酒屋だか駄菓子屋だかわからない店だった。


 ほい、マップ機能発動。遠視をしたところ店の外も中も、いかにも田舎の店っぽいごちゃごちゃしたもので室内には所狭しと料理のメニューが壁に貼られている。


 そしてそこでマスクとサングラスをしたがんめんちゃんが怪しい男と取引をしていたので、俺はただならぬものを予知して店内に突入した。


「むごッ!? トオル、ゴン、なぜここに!」

「ッ! てめぇつけられていたのか!?」


 俺達に気が付きがんめんちゃんはひどく狼狽えるが店の主であろう男はおもちゃの剣を装備して警戒する。取りあえず彼がギャグキャラである事はわかった。


「すまん、あまりにも怪しかったからつけてきた」

「おぬしは幼女を尾行する主人公なのか! 事案じゃぞ!」

「厳密にはなんか面白そうな気配を感じて。暇だったんだよ」


 ギャーギャーと抗議するがんめんちゃんに俺は笑ってそう弁明する。


「で、こんな人気のないところでなにをしてたの? このいかにも怪しいオッサンと」

「む、むう」


 ゴンがそう尋ねるとがんめんちゃんは言いよどんでしまう。代わりにその怪しい男がその問いに答えた。


「バレたら仕方がない。俺はここでとっておきのブツの取引をしていたんだ」

「とっておきのブツ……?」


 彼はどうにも怪しく麻薬の密売人と言われれば信じてしまいそうな見た目だった。そして男は棚から慎重になにかを取り出しでん、とカウンターに置く。


「まずは……千葉ローカ〇エナジーだ。こいつを飲めば眠れなくなるぜぇ?」

「はあ。合法みたいですね。エナジードリンクの飲みすぎには注意しないといけませんね」


 最初に出されたのはエナジードリンクのような缶ジュースだった。白い缶には千葉県が描かれ、飲めばたくさんのカフェインと糖分を補給出来そうだ。


「そして次はこれだ! 味噌とピーナッツを混ぜたとっておきのブツ、その名も〇ーナツハニーだ! ごはんが止まらなくなるぜぇ!」

「へぇ、あとでお土産に買います」


 次に取り出されたアイテムはピーナッツから人間が飛び出ているパッケージが描かれた食品だ。これはお菓子なのかな、それともおかずなのかな。どうでもいっか。


「チッチッチ、金はいらねぇ。俺が欲しいのはとっておきの粉だけだ。最高に気持ちよくなる粉を……!」

「はあ」


 狂気を帯びた目で男はそう言ったが、俺はこの時わらしべイベントが発生した事を察してゴンのほうに振り向いた。その両手にはいつの間にかあの箱が抱えられていたのだ。


「ゴン。なぜお前が当然の如く粉末〇ルメークの箱を持っているのかはわからないがそれをもらおう」

「オッケー。好きなだけ持ってきなYO!」

「そ、それは! 粉末の〇ルメーク! てめぇ、どこでそんなヤバイ物を大量に!」

「うぐぐ」


 箱をよく見るとほんのり数が減っている。つまりがんめんちゃんはこっそり物々交換をしていたというわけだ。


「合法だとは思いますが。勝手に食糧をちょろまかしたがんめんちゃんと共犯者であろうナビ子にはあとで説教をするとして、とっととイベントを進めましょう。というわけでなんかください」

「クックック。ならこっちもとっておきを出さないとな」


 男は店の奥に向かい段ボール箱を運んでカウンターの上に乗せる。中身をのぞくとそこには黒い液体の入ったボトルがぎっしりと詰められていた。


「ミササ醤油の最高級の逸品だ。その箱を全部寄越せばこいつをくれてやろう」

「ミササ醤油?」


 その単語にゴンはピク、と反応する。


 ミササ醤油は鉗蘭市に拠点を置く醤油メーカーで醤油の国内シェアの二位を占めている大手だ。当然俺もその名前を知っているがもしかすると……?


「なあ、ゴン。もしかして三朝って」

「うん、ののは創業者の親戚だよ」


 やはりそうだったか。ゴンは今は亡き親友を想起させるものを目の当たりにして少し嬉しそうだった。


 久しぶりに三朝菜乃子の名前を聞いたな。だからといってどうという事ではないが。けどそんな奴と交友関係にあるとかやっぱりゴンはお嬢様だったんだなあ。


 ただこれならトレードする価値は十分にあるな。醤油は保存も出来る立派な食糧だし。


「わかりました、ではトレードをしましょう」

「ヒッヒッヒ、取引成立だ」


 俺は〇ルメーク入った段ボール箱をゴンから受け取る。しかしそこに食いしん坊な神様が妨害にやって来た。


「お、お主! 醤油では腹は膨れんぞ! やめるのじゃ!」


 がんめんちゃんは取引を阻止しようとするが高く掲げた段ボールに手は届かない。ピョンピョンと飛び跳ねる姿が実に愛らしくこのままずっと意地悪したくなってしまう。というか翼で飛べばいい気もするけど。


「クゥ~! こんだけあったら俺は勝ち組だァ! 一生遊んで暮らせる! まずは自分で楽しむかあ……ヒッヒッヒ、飛ぶぜッ!」

「合法なので好きなだけ楽しんでください」


 怪しい男は謎の器具を取り出しお見せ出来ない絵面になっていた。けどとても合法だから全く問題はない。みんなは普通に牛乳に混ぜて飲むんだぞ。


「トオル~ひどいのじゃ~!」


 がんめんちゃんは泣きそうな顔で俺の背中をポカスカと殴る。大量の醤油を入手した俺は早速バスに戻る事にしたのだった。

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