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終末だらずチャンネル~バッドエンドを迎えたゾンビに溢れた世界で、馬鹿な俺たち鳥取県民は動画を配信する。それでは皆さん、よい終末を~【完結】  作者: 高山路麒
第二部・前半

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6-22 島根西部の都市、鰈浜へ

 そしてバスに戻り、目を覚ましたメンツと軽めの朝食を済ませた俺はスマホのスピーカーボタンをオンにし、タブレット端末とともにそれを机の上に乗せて全員で囲むように座っていた。


『さーて、データがいい感じに集まったから伝えるよぉ。時空の歪みがあるのは鰈浜のこのへんだね』


 希典さんからタブレットにデータが送られ俺たちはその画面にくぎ付けになる。画面には衛星写真から作成された鰈浜市内のマップと、円形の半透明のピンク色のアイコンが映し出されていた。


「ふむ、このピンク色の範囲内に時空の歪みが存在するという解釈でいいのか?」

『そだねー』


 だがマルクスは質問に回答してもらったが渋い顔をしてしまう。そして今度は銀二が質問した。


「ずいぶんと広いんだね。もっと絞り込めないの?」

『これでも頑張ったほうなのよぉ。もう少し待てば確度の高い情報が見つかるけど再生回数の絶対数が少ないからねぇ。だから地道にこのへんで探してねぇ』

「えー、すっごい面倒くさい」

「もーちー」


 グータラな妹はかなり嫌そうにもちぞうをぐにぐにとこねくり回す。


 円のあるエリアは市街地ではない。細い道路はあるがほぼ森の中で時空の歪みを見つけるには歩いて探す以外に方法はない。今は真夏だし苦労しそうだ。


「けど地道にやるしかないっすねぇ。のんびり探しましょう」

「そうだな。熱中症対策の装備品も用意しておくか」


 それに対し荒木コンビはすんなりと受け入れる。しかしキャシーに関しては日御碕神社の事を思い出し、俺はほんのり胸が痛む。


 残された時間をこんな事に使わせていいのだろうか。もっと人生最後の時を楽しみたいだろうに。


「それですっごいゾンビとかはいるの? いくらあたしとトオルがチートでもキツイ戦いは面倒くさいよ。トオルはまだあの力に慣れてないみたいだし」

「その質問にはナビ子が回答するデス。衛星画像から分析したところ、市街地には普通のゾンビは多々見受けられますが大型ゾンビはいません。しかし森の中は画像が不鮮明で分析出来ませんでした。不鮮明な理由も現在分析中デスが、ハッキリとした回答は得られそうにないでしょう」

「うん、それはつまり森の中にボスゾンビが確実にいるって事なんだね。はぁ~。また苦労しそうだね」


 ゴンもそのへんの事がわかってきたらしく、軽くため息をつく。


「ヤバい事になるのはいつもどおりだろ。森の中にはなにかいるという前提で行動しよう」


 俺は行動の計画を頭の中で考えていると、あ、と大事な事を思い出した。


「コミュニティはどうだ。生存者のコミュニティはあるのか」

「あ、それは私も気になるよ。生きてる人はいないのかな?」

「はいデス。ゆうひパーク鰈浜に小規模な生存者のコミュニティが存在します。時空の歪みがあるポイントとも近いので、可能なら彼らに協力を取り付けここを拠点に行動するといいと思うデス」


 マップが移動しゆうひパーク鰈浜に焦点があてられる。この施設は海沿いにある道の駅で、前の世界では観光の拠点の一つになっていた。


「そっかあ、どんな人たちなんだろう。仲良くなれるといいな」


 ピーコは不安と喜びが入り混じった表情をする。俺は安心させるようにフッと笑い、彼女に告げる。


「大丈夫だよ。それにリーダーはお前たちももう会っている。向こうはまだ知らないがな」

「ピ? なにそれ、なぞなぞ?」


 首をかしげる仲間たちだったがマルクスはああ、と理解が出来たようだ。


「そうか、つまりは異なる世界で邂逅を果たしたという事か」

「うーん、でもそれは会っているっていうのか?」


 中二な発言だがこの世界では冗談にならない。ともちゃんは回答を導き出そうと唸っているが、


「ま、行けばわかる」


 俺は思わせぶりにそう付け加えた。仲間たちは不思議な顔をしながらも次なる目的地の鰈浜に向かう事になったのだ。

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