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終末だらずチャンネル~バッドエンドを迎えたゾンビに溢れた世界で、馬鹿な俺たち鳥取県民は動画を配信する。それでは皆さん、よい終末を~【完結】  作者: 高山路麒
第二部・後半

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13-31 すぐ終わる謎解きなのでボケてみよう

 事情聴取を終えて、頃合いを見計らい俺はピーコに指示を出す。


「なあ、ピーコ。犯人のところに行ってくる。ちょっと荒事になるかもしれないから少しの間お留守番してくれ」

「え、うん。でもディーパくらいなら私でも倒せるけど」

「お前は喧嘩よりも片付けのほうが活躍出来るだろう」

「それもそうだね」


 犯人がディーパだと思い込んでいる彼女は全く疑っている素振りもなく俺の指示を受け入れる。


 そして、場所を移動して生徒会室に向かい同じく真相にたどり着いた哀歌が無表情で紅茶を振る舞ってくれた。


「さて、謎解きの時間です。謎と呼べるほどのものでもないですけど」

「そうだな」


 脳内にメモをした重要な情報は以下のとおり。



(馬場監督、マキ、このは、箕輪の情報)


・馬場監督は練習終了後すぐに漫画館に帰り、酒とつまみ、アイスを購入する。

・馬場監督は購入したアイスをみんなに差し入れをした。

・マキ、このは、箕輪は三陸うにアイスを食べそのあとすぐに寝た。

・四人のアリバイはコミュニティの人全員が証明してくれるので完璧。



(タマちゃん、貞山の情報)


・タマちゃんと貞山は練習後夜遅くまでテレビでアニメのDVDを見ていた。

・二人は馬場監督から貰った牛タンアイスを食べながらアニメのDVDを見ていた。

・アリバイを証明出来る人間はいない。



(尾崎、愛宕の情報)


・尾崎と愛宕は練習終了後漫画館に戻った。

・そして機材が故障し停電が起きたので設備の修理をしていた。

・作業時間はわからないが差し入れのアイスを食べながら修理をしたので練習後すぐ。

・修理の時間は二時間くらい。

・尾崎と愛宕いわく犯人はディーパの可能性。



「まあこんなところか」


 これだけあれば真相にたどり着くのは容易である。あとは論理を組み立てればいいだけだ。


「さあ、答え合わせの時間です。ところでトオルさん、まさかここでボケるつもりはありませんよね」

「うぐ」


 彼女は先手を打ち俺の企みを阻止する。畜生、バレていたか。


「ボケるつもりがあったんですね。ダメですよ? もしそんな事をしたら削ぐので」

「削ぐってなにを?」


 いかん、哀歌の目は半分本気だ。ここで選択肢を間違えればバッドエンド直行である。ここは真面目にしないとな。


 けれどそれでいいのか。俺はここでボケなければならない。デッドオアギャグだ!


「犯人がディーパなわけがない! ディーパはみんな愛くるしい存在だ! そんな事を言った尾崎が犯人だ!」


 俺は怒りに任せティーカップをダン、とテーブルに叩きつける。すると哀歌はポットを傾け熱いお茶をドバドバと注ぐ。


「熱ちちちッ!?」

「すみません、よく聞こえなかったのでもう一度お願いします」


 哀歌はややキレ気味にそう告げる。うぅむ、間違えたらこうなるのか。


「寝る前にアイスを食うのはわかる。けれどうにアイスなんてありえない! つまりマキたちは嘘をついている!」


 俺は怒りに任せティーカップをダン、とテーブルに叩きつける。すると哀歌はポットを傾け熱いお茶をドバドバと注ぐ。


「熱ちちちッ!?」

「すみません、よく聞こえなかったのでもう一度お願いします」


 あ、失敗した時のセリフは使い回しなのね。哀歌もノリが悪いからツッコミらしいツッコミもないし、やめておこうかな?


 いいや、最後に泣きの一回だ! これをぶつける!


「実はコミュニティの人間が全員グルだった! だからマキたちのアリバイは成立しない!」


 俺は怒りに任せティーカップをダン、とテーブルに叩きつける。すると哀歌はポットを傾け熱いお茶をドバドバと注ぐ。


「熱ちちちッ!?」

「すみません、よく聞こえなかったのでもう一度お願いします」


 うん、飽きたしこのくらいにしておこう。


「真面目にやるか。尾崎たちの話だと練習後すぐに二時間の停電があった。それとタマちゃんと貞山の発言は矛盾している。テレビが付くわけがない」

「なるほど。しかし停電から復旧した後に見たという可能性もありますよ。夜遅くまで、という以外に時間には言及していなかったので」

「貞山はアイスを食べながら、と言っていた。二時間も常温なら冬場でもアイスは解けるだろ。コミュニティの中は暖房もあって温かいし。停電で暖房が止まってもすぐには寒くならないはずだ」

「なら、どうしてそんな嘘をついたのか。それは少なくともその停電中の二時間の間、二人は漫画館にいなかったという事です。なぜならグラウンドを荒らしていたので」


 はい、謎解き終了。俺は美味しい紅茶を飲んでふう、と一息ついた。


「すぐに終わったなあ。謎解きって程謎でもなかったな」

「ええ、ボケなければもっと早く終わっていましたけれど」


 哀歌は俺をジト目で見たあと紅茶をゆっくりと味わう。しばらくこうしてまったりと過ごすか。


 このあとは辛い時間が待っているから少しでも荒んだ心を癒そう。タマちゃんと貞山になぜそんな事をしてしまったのか問い詰めないといけないのだから。


 どんな真実でもそれはきっとピーコに伝える事は出来ないはずだ。まったく気が滅入ってしまうよ。

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