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終末だらずチャンネル~バッドエンドを迎えたゾンビに溢れた世界で、馬鹿な俺たち鳥取県民は動画を配信する。それでは皆さん、よい終末を~【完結】  作者: 高山路麒
第二部・後半

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13-25 和風ファミレスの〇まつで違和感のある朝食

 その日の朝食は市内のファミレスでとる事になる。俺達は全員で市街地を歩き和気あいあいと談笑しながら移動したのだった。


 岩巻の町は相変わらず活気に満ちあふれている。震災から見事な復興を遂げむしろなおも発展しているように見えた。


 しかしマルクスはなんだか浮かない顔をしている。それを不思議に思ったピーコは彼女に尋ねた。


「どうしたの、マルちゃん。ほかのお店のほうが良かった?」

「いや。こんなにこの町は栄えていたか?」

「うん、岩巻は宮城の第二の都市だからね!」

「そうか……そうだよな」


 故郷を自慢げに語るピーコを見てマルクスは違和感をすぐに忘れてしまう。そして俺もまた。


 そうだ。別に変なところは何もない。


「オタケサイコッチョー! オタケサイコッチョーッ!」

「しかし今度は全然流行ってないギャグをしているなあ」


 唯一変な事があるとすればナビ子がまだバグっている事だろうか。彼女は喋る単語が変わってしまったが相変わらず言語機能は壊れたままだ。


 彼女は必死でなにかを訴えかけていたが生憎誰も言いたい事がわからない。


「ともちゃん、いい加減修理してあげましょうよ」

「悪いな。『修二の許可が無いと直せない』から」

「そうですか」


 ともちゃんは壊れたラジオの様に同じ単語を繰り返した。が、すぐに俺だけに聞こえる小さな声で、


「という設定だからな。今はまだ、いざという時に、な」


 と、告げた。


「そうですか」


 どうやら先生は催眠にまだかかっているふりをしているだけのようだ。そうすれば万が一の時修二に反撃出来るのだから。


 まあ修二もバカじゃないからそれくらい想定しているか、あるいは既に見抜いているだろうけれど……しないよりもましな作戦ではある。


 とにかく和風のファミレス、〇まつにたどり着いたので食事を楽しむとしよう。そばが売れ筋のようだがほかにも牛タンの定食や丼もの、美味しそうなものがたくさんあった。


「さあ、何でも好きなものを頼め。俺のおごりだ」

「わーい! お兄ちゃん太っ腹!」

「もち!」

「うむ、教え子の金で食べるご飯は最高だな!」


 俺には株取引で儲けた一生遊んで暮らしても使いきれない金があるので、このファミレスの全メニューを制覇しても痛くもかゆくもない。みんなはそれぞれ好きなものを頼み豪勢な食事を楽しんでいた。


「ふむ、この味をこの値段で。コストパフォーマンスがいいね。ファミレスと思っていたけど舐めていたよ」


 銀二はそばをすすりお行儀よく食べていた。でもこれじゃダメだ。そばは音を出して食うものなんだぞ。


「そしてお前は躊躇なく高いものを頼むんだな」

「自分、正直に生きていきたいので」


 ゴンは朝から天ぷらのご膳を注文しやがる。金に余裕はあるので別にいいんだけど胃もたれしそうだなあ。


「うーん。美味しいんですけど……なんか違う気が」

「文句言うな、人の金で食って」


 牛タン定食を食べていたキャシーがそんな事を言ったので俺はちょっとイラっとしてしまう。けれど彼女はいえ、と否定しこう告げた。


「なんというか、なんでこんなに当たり前のように贅沢な食事をしているのか、不思議というか」

「そりゃここは豊かな国ニッポンだからな」

「はあ、そうですか」


 俺の当たり前の返しにキャシーは納得していなかった。だが即座にナビ子がテーブルを叩き奇声をあげる。


「オタケサイコッチョー!」

「ああ、うん」


 彼女は食事を楽しむ事なくまだなにかを伝えようとしているがやはりそれを解読は出来ない。見かねたがんめんちゃんは鍋からきりたんぽを箸で取り出し彼女の口に運ぶ。


「ま、今は飯にするがよい。食べ物に罪はないのじゃから」

「お、オタケ、サイ、コッチョーッ!」


 そして幸せそうにナビ子はきりたんぽをはむはむと食べる。やはりこの食いしん坊なロボットを黙らせるには美味いものに限るな。


「おー、トオルたちも来てたんだ」

「あ、お姉ちゃん」


 そこに偶然居合わせた咲桜先輩がニヤニヤした顔つきで現れる。彼女は俺たちを見渡すとからかうようにこう言ったんだ。


「ハーレムだねぇ、私という初恋の人がいながら」

「面目ないです。なんなら加わりますか?」

「うん、いいよ。けどまずはお父さんを説得してね」

「トオル君にうちの娘はやらんぞ!」

「あれ、お父さんもいたんだ」

「最初からいたぞ!」


 どこからともなく現れたピーコの父親も参戦し、二人の愛娘をたぶらかす不埒な若造に対して敵対心をむき出しにした。


 最初からいたっけ? いや、この人は昔から影が薄いし気付かなかったのだろう。


「もひゃもひゃ」

「もちー!」


 クーはうどんを食べながら登場した二人をちらりと眺める。もちぞうはなぜか威嚇して怖がっているようにも見えた。


「……ま、どうでもいっか」


 彼女の興味はすぐに食事に戻る。クーはなにに違和感を覚えたのだろうか。


 いや、違和感には俺も気がついている。


 この状況はなにかがおかしい。


 なにかがあり得ない。


 そもそも鳥取にいた俺たちは、どうして宮城に来たんだ?


 けれどすぐにその思考はかき消され俺はそれ以上考える事が出来なかった。


 まあ、今は美味い飯を堪能するか。折角岩巻に来たわけだし観光やグルメを堪能しないとな。

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