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《空気使い》って?  作者: 善文
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街のお悩み相談

翌朝


北国ゲンク首都フィルドン〈マーシャ宅〉


ガチャッ!

 一人のエルフの女性がマーシャ宅に駆け込んでくる。

「マーシャ様、ま、また、病人が!」(女性)


 女性から詳しい話を聞くと、治療院にまた患者が殺到しているらしい。


「そんな訳ないでしょ!」(ネーコ)


 女性からの話を聞くなり、ネーコは朝食も摂らずに治療院へと駆け出した。


「マーシャ、俺達も!」(ヤマーダ)

「ハイ!」(マーシャ)


 ヤマーダ達はネーコの後を追って走り出す。



----------

北国ゲンク首都フィルドン〈治療院〉


パーティー(PT)

ヤマーダ、ネーコ(人化)、リン、

クロード(人化)、ターニャ(人化)

マーシャ(臨時)


《空間魔法》内〈待機組〉

サリア、ルル


 ヤマーダが治療院に到着すると、空になっていた病室に患者が所狭しと寝かされていた。


 既に到着していたネーコは、患者に《回復魔法》を掛けて続けていた。


「手伝う!」(リン)

「お願い!」(ネーコ)


  えっ、えっ、どうしたらいいの?


 右往左往するヤマーダに、

(あるじ)、《聖水》の準備じゃ」

 ターニャが落ち着いて指示を出した。


「あ、あぁ! 分かった」(ヤマーダ)


「クロードは、ネーコとリンをサポートせい」(ターニャ)

「任せてくれ」(クロード)

 

 それから昼までの間、ヤマーダ達の奮闘は続いた。



----------

昼食中


北国ゲンク首都フィルドン〈マーシャ宅〉


 ヤマーダ達はマーシャ宅で昼食をご馳走になっていた。


「全くどうなってんのよ!」

 大変ご立腹のネーコ様。

 

 ヤマーダはそんなネーコを膝の上に座らせ、頭を撫でて機嫌を直す真っ最中だ。


「あのぅ、ヤマーダ様は別の席へどうぞ」(マーシャ)

「大丈夫です、大丈夫ですから」(ヤマーダ)


 ヤマーダとネーコが1席に座っているため、食卓には一人分しか料理が配膳されていない。


  食べたくないんだよ

  ここの料理…


 そんなヤマーダを尻目に、ネーコはモキュモキュとエルフ料理を堪能している。


 隣に座っているルルに、

「“(あと)で、おにぎりでも作ってくんない”」(ヤマーダ)

「“うん、いいけど…何でたべないの?”」(ルル)

「“匂いっていうか、味っていうか、とにかく苦手なんだよ、ここの料理”」(ヤマーダ)


 二人が小声で話していると、

「なんや、ヤマーダはん。ここの料理、嫌いなんか?」(サリア)


  ば、馬鹿!

  オブラートに包めよ!


「えっ! いや、何か今日はお腹いっぱいな感じかな、なんて」(ヤマーダ)

「じゃあ、おにぎりいらないってこと」(ルル)


  お馬鹿!

  ルル、察してくれ!


 サリアはニタッと笑うと、

「さよか、ならしゃあないな。ルルっち、ヤマーダはんは、お腹いっぱいやて」


「…ハ、ハ、ハ」

 乾いた笑いのヤマーダ。


  くっそーー!


  サリアめ~っ!

  わざとやってんな!


  後で覚えてろよ!


  納豆、イナゴの佃煮、蜂の子を

  異世界(こっち)でも必ず作ってやる!


  そんで、食卓を埋めちゃるからな~!



 そんな昼食も終わりに差し掛かった頃、

ガチャッ!

「マーシャ様、また…また、病人が!」(女性)


 女性からの報告は、今朝と同じぐらいの患者が治療院に殺到しているとのことだった。


「一体、何なのよ!」

 マーシャ宅にネーコの叫びが響き渡った。



----------

午後


北国ゲンク首都フィルドン〈治療院〉


PT

ヤマーダ、ネーコ(人化)、リン、

クロード(人化)、ターニャ(人化)

マーシャ(臨時)


《空間魔法》内〈待機組〉

サリア、ルル


 ヤマーダ達が治療院に到着すると、報告通り病室に患者が寝かされている。


  エルフって(みんな)同じに見えるけど、

  毎回、患者さんって同じ人なのか?


 流石(さすが)に3回目ともなると、ヤマーダもこの惨状に慣れてきた。


 ふとヤマーダが目をやると、ネーコ、リン、クロードの三人は治療に追われていて、患者と問診していない。


  あれっ?

  地球(あっち)の病院ってこんなだったか?


  えーと、

  最初って、

  アンケートみたいのを書いたような…


  で、

  滅茶苦茶(めちゃくちゃ)待たされて、

  医者のオッチャンと30秒ぐらい会話して、


  オッチャンがサラサラとカルテを書いて、


  また、滅茶苦茶待たされて、

  お金を払うって流れだったような…


  んっ?


  患者とちゃんと会話してないぞ!


  でも、

  三人の方が異世界(こっち)に詳しいか…


 ヤマーダは三人の治療方法に漠然とした疑問を感じていた。


 そして、午前中と同じような奮闘が続いていく。



----------

夕食後


空間魔法(マイホーム)》内〈リビング〉


「もう! 何で昨日あんなに治療したのに、患者が減らないのよ!」

 少女姿のネーコの愚痴が止まらない。


  だい~ぶ、ご機嫌斜めだなぁ


 ヤマーダ達メンバーはマーシャ宅での夕食後、《空間魔法(マイホーム)》に場所を移し、リビングでまったりしていた。


「そうカリカリしないでさぁ」(ヤマーダ)


 リンお手製のソファーにもたれ掛かるヤマーダの膝の上には、ネーコが(くつろ)いでいる。


「アタシ、一生懸命治療したの!」(ネーコ)

「俺はちゃんと見てたよ」(ヤマーダ)

 頭をずっとナデナデしているが、ネーコの機嫌は中々直らない。


  手が疲れてきたよ…


「ヤマーダ、アタイ、早くぶっ倒したい!」(ルル)

 ヤマーダの右隣にいるルルが物騒な事を口走る。


  今、ぶっ倒したいって言った?


「ルルは料理が上手だし、もっと優しい感じの…」(ヤマーダ)

「もっと強いヤツをぶっ倒して、もっともーと強くなりたい!」(ルル)


  それは、どうなのかな?


  外見は、オレと同年齢ぐらいの

  美少女なのかな?


  普通、女の子って言ったら、


  ピアノやバイオリンなんか

  弾いたりしてさ、


  テニスや水泳、

  セパタクローなんかしちゃってさ、


  かわいい服でおしゃれ…はしてるな


  料理…もしてるな


  ………


  とにかくもっと可愛らしい感じがさぁ…


「ルルっち、なんやったらウチが付き合うで」(サリア)

 向かいのソファーにいるサリアがルルに同調する。


「じゃあ、行こう。早く行こう!」(ルル)


  ルルを勝手に悪の道に誘うな!

  悪魔大将軍サリア!


「…でも…まず、この病気の原因を確認すべき」(リン)

「そうそう、俺もそう思う!」(ヤマーダ)


  リン、ナイスアシスト!


「そうかぁ、リンちゃんがそない()うならしゃあないな」(サリア)

「そうそう、まずは病気の確認!」(ヤマーダ)


  といっても、

  どうせ明日になったら、

  患者が来てんじゃないの?


  サリアも連れていくべきだな


 ヤマーダは左隣で寛ぐターニャに、

「“これから俺が話す内容をサポートしてくれ”」


「“任せるのじゃ”」(ターニャ)

 ウィンクして、OK合図をくれた。


  ちょっとドキドキした…


「なぁネーコ、こういうこともあるさ」(ヤマーダ)

「確かによくあることじゃ」(ターニャ)

「…うん」(ネーコ)


「でさぁ…明日の治療には、サリアも一緒に行ってもらおうよ?」(ヤマーダ)

「ウチなら、(かま)わへんよ」

 サリアからの返事は、軽い感じの同意。


「ど、どうしてよ?」

 逆に不満顔をしているネーコ。


  やっぱり、へそを曲げたか


「ほら、今日って、昨日と患者さんの数、ほとんど変わらなかったろ」(ヤマーダ)

「…うん」(ネーコ)


「明日も同じかもしれない」(ヤマーダ)

「…うん」(ネーコ)


「そうすると、また治療するのに手一杯になっちゃうじゃん」(ヤマーダ)

「……」(ネーコ)


 ネーコの周りがどんよりとした空気に。


  ヤバい、

  ネーコがネガティブモードに


 とっさにターニャへ目で合図を送る。


「ほら、何か重要な(ポイント)に気付かないことって、誰にでもあると思うんだよ」(ヤマーダ)

「そうじゃな、ワシにも覚えがある。そんなときには、他者の視点がとても大事じゃな」(ターニャ)

「…うん」(ネーコ)


「その点、サリアは細かい事にも気が付くし、何か発見の糸口が見つかるかもしれない」(ヤマーダ)

「サリアの発言には、ワシも驚かされる事がある。ネーコにも役立つと思うぞ」(ターニャ)

「…うん」(ネーコ)


  全力ナデナデ攻撃!


「せやで、ネーコはん。明日も同しように、患者が押し寄せたら、かなわんやろ」(サリア)


  ぜ、全力ナデナデ攻撃、継続中


「ネーコには、明確な旅の目的があるのじゃろう。じゃったら、病気なんぞ早く解決して旅を続けるべきじゃないのか?」(ターニャ)

「…サリアちゃんも…連れて行こう」(リン)


  う、腕が、つる!


「…うん、分かったわ。サリア、明日はお願いね」


  まだちょっと、(ふく)れてるなぁ


  …後で追加の()()でして、

  ネーコのフォローをしておくか


 出会って以来、ヤマーダはネーコと寝食を共にしている。

 それはネーコがヤマーダの持つ《空気使い》の重要性を理解した上での行動だ。


 とは言っても、ヤマーダと寝るときにはネーコは《人化》を解いて、リアル狐の襟巻きになっているのだが…


 また、ヤマーダの護衛として、ルルかターニャが交代交替で一緒の部屋で寝ている。


 それは、ヤマーダ本人には知らされていないが、他のメンバーによって秘密裏に、ヤマーダを護衛することが決められていたからだった。



----------

翌日


北国ゲンク首都フィルドン〈治療院〉


PT

ヤマーダ、ネーコ(人化)、リン、サリア


《空間魔法》内〈待機組〉

ルル、クロード(人化)、ターニャ(人化)


 一晩寝て機嫌の治ったネーコとヤマーダ、サリア、リンが治療院へ向かう。


 到着すると予想通り、昨日と同じように院内は患者で(あふ)れかえっていた。


「やるわよ!」(ネーコ)

「…問題ない」(リン)


 早速、ネーコとリンの二人は《回復魔法(ちりょう)》を始めた。


 サリアは患者のいる室内をゆっくりと観察して周り、

「なぁ、ヤマーダはん、患者さんて昨日と変わっとらんのんか?」


「どうだろうなぁ、むしろちょっと増えているような…あぁ、でも患者さんは(みんな)、別の人っぽいよ」(ヤマーダ)


  正直、

  エルフって、

  見分け方がよく分かんないよな…

  全員、美男美女で…


  でも、見慣れてきたせいか別人っぽいよな



  ん?


  ってことは…

  昨日の患者さんは治ったってこと?


 サリアはヤマーダとの会話で状況を整理すると、マーシャの元に向かう。


「マーシャはん、ちこっとお聞きしたいねんけど、ええか?」


 サリアは以下の点をマーシャに質問する。

①いつ頃から患者が増え始めたのか。

→二週間ほど前から

②患者はどの地区に住んでいるのか。

→市街地を中心に満遍なく

③二週間ほど前に何か変化はなかったか。

→特には…ただし、その頃水源が荒らされた


「何かお気づきになりましたか?」(マーシャ)

「…いや、まだ確証あらへんけど…もしかして」

 サリアはマーシャの情報で、何かに気付いた。


「なぁヤマーダはん、明日は一緒に水源の調査へ行かへんか?」(サリア)


 遠くで治療していたネーコの耳がピクッと動く。


「えっ! 何だよ急に!」(ヤマーダ)

「意外と、水源(あっち)を調査した方が大事なんかもしれへんし、それにデートしたいやん」(サリア)


  あー、サリアのヤツ

  からかってんのか?


 また、ネーコの耳がピクッピクッと動く。


「俺は構わないけど…患者さんの治療はどうするんだ? 治療、()めちゃうのか?」(ヤマーダ)

「ここ(まで)足突(あしつ)っ込んどって、そんな訳いかへんやろ」(サリア)


「じゃあ、ネーコにはそのまま治療を続けてもらうのか?」(ヤマーダ)


  サリア、

  もしかして患者さんを見捨てる気?


  それとも、リンと交代?


  パスの共有でウチのメンバーなら

  誰でも《回復魔法》が使えるけど…


  ターニャはやってくれそうにないしなぁ…


 聞き耳を立てていたネーコが、

「それは駄目よ!」


  あれっ?

  聞いてたの?


「ヤマーダは、アタシと一緒に行動することが決まってるわ」(ネーコ)


  へぇー、決まってるんだ…いつの間に?

  

  ネーコさん、オレに過保護じゃねぇ……


「それやったら、リンちゃんに治療院(ここ)は引き継いでもらおうや」


  えっ!

  リンにやらせんの?


  でも、

  リンって魔力、少ないからなぁ…


リンのステータス

体力・41(+36)

魔力・36


 リンは、ヤマーダPTの中で、クロードに次いで二番目に魔力が低い。


  《空気使い》で作った《聖水(おみず)》を

  たくさん用意しないとな


  お腹、タップンタップンになるよ



  とりあえず、

  今日は治療に専念するか


 ヤマーダ達四人は、昨日と同じように治療に邁進することになった。



----------

夕食後


空間魔法(マイホーム)》内〈リビング〉


 その後、昨日と同じように押し寄せる患者を治療して、マーシャの家に帰宅、夕飯をご馳走になり、いつものミーティングをしている。


「そういう訳で、明日、俺とネーコ、サリアは水源へ調査に行くつもりだ。」


「確かにサリアの報告から察するに、水源が怪しいな」(クロード)

「…わたしも」(リン)


(ちな)みにヤマーダよ、水源の調査に馬車は必要かな?」(クロード)

「いやぁ、すみませんクロードさん。獣道しかないそうで馬車は通れないそうです」(ヤマーダ)

「…そうか残念だ」(クロード)


  クロードさんの意見は

  いつもこんな感じ


  馬車が通れるかどうかが、重要


「リンには悪いけど、アタシ達が水源の調査をしている間、患者の治療をお願いしたいの」(ネーコ)

「…分かった」(リン)


  ネーコとリンで無事調整


  あっ、そうそう

  リンに《聖水(おみず)》を渡さないとね


「ヤマーダが行くなら、アタイも行く」(ルル)

(あるじ)が行くなら私もだな」(ターニャ)


  ルルとターニャはオレと同行ね


「クロードさんはどうします? 水源(こっち)に来ます? 何でしたら《空間魔法(ここ)》で休みます?」(ヤマーダ)


「私だけ何もしない訳にはいかないな。ただ、ヤマーダ達の組は人数も十分なようだし、かえって邪魔になるだろう。私は、リンに同行して治療の手伝いをするかな」(クロード)

「では、クロードさん、患者さんをよろしくお願いしますね」(ヤマーダ)


 クロードはリンに同行することとなった。


「リン、この水筒に《聖水(おみず)》を入れておくから、魔力が切れそうになったら補給してくれ」(ヤマーダ)

「…分かった…ありがとう」(リン)


 明日の予定も決まり、夜が更けていく。



----------

翌日


北国ゲンク首都フィルドン近郊〈道中〉


PT

水源調査組

ヤマーダ、ネーコ(人化)、サリア、ルル

ターニャ(人化)


治療組

リン、クロード(人化)


 ヤマーダ組とリン組は、それぞれの目的地へ向かう。


 水源まで繋がっている道は、(かろ)うじて人が通れる程度。

 草木は生い茂り、小雨も降っている。


  水源までそんなに時間、

  掛かんないらしい


  けど、やっぱ、

  ちゃんとした道はないのね


  雨も降ってるし

  …パンツまでビッチャビチャ

  …最悪!


  クロードさん、来なくて正解だよ


 そんな中、道を遮るように魔物が現れる。


スライム 2体


「なんだ、雑魚(スライム)か…アタイ、パス」(ルル)

「ウチも」(サリア)

「ヤマーダ、これも訓練よ」(ヤマーダ)

 三人して、ヤマーダに魔物(バトン)を押し付ける。


  えーっ!

  じゃあ、オレしかいないじゃんか…


  とりあえず、お引き取り願うか


「あのぅ、すみませんが道を開けてもらえませんか?」

 ヤマーダは(やさ)~しく優~しくお願いする。


『サルだ (プクプク)』(スライムA)

『殺せぇっ (プクプク)!』(スライムB)


 スライム達は体全体を使って襲ってきた。

 ヤマーダはスライム達の体当たりをかわす。


ベチャッ!

 ヤマーダの右ストレートがスライムAの急所を捉える。


 スライムAを無事、倒した。


  失敗したーーっ!

  剣でやればよかった


 スライムを攻撃したヤマーダの右腕は、スライム汁でベトベトになってしまった。


「アンタ、ベットベトじゃないの」(ネーコ)

 ネーコが嫌そうな顔をして、ヤマーダから離れていく。


「ヤマーダ、(きったな)~い」(ルル)

「エンガチョやん」(サリア)


  キミ達、(ひど)くない!


『姉さんの(かたき) (プクプク)!』(スライムB)

 スライムBがヤマーダに特攻してくる。


  あーっ!

  このベトベトの手で、剣を握りたくない


ビッチャッ!

 ヤマーダのサッカーボールキックがスライムBに炸裂。

 見事、スライムBも倒した。


  ウゲーーッ!


 右足にも、スライム汁でベトベトになってしまう。


「ヤ、ヤマーダ…」

 汚物でも見るような、ネーコの視線。


「しょうがないだろ、剣を構える余裕がなかったんだから!」(ヤマーダ)



 その後、1時間かけて念入りに体と防具を洗うヤマーダだった。



----------

数時間後


北国ゲンク首都フィルドン近郊〈水源〉


 ヤマーダ達は無事?水源に到着してみると、水源(そこ)は水草が生い茂る湿地帯だった。


  もう、靴の中もビシャビシャ


 ヤマーダはクチュクチュと足元を鳴らしながら付近を調べていく。


 ヤマーダがよく見ると、他のメンバーは靴から水気(みすけ)が弾かれている。

 というより、防具から雨粒が弾かれていた。


「何で、(みんな)は濡れてないんだよ!」(ヤマーダ)

「《風魔法》よ!」(ネーコ)

「えっ!?」(ヤマーダ)


「《風魔法》で(まく)を作って、防水しとるんや」(サリア)


  そんなの聞いてませんが!


 確かに、ビチャビチャのヤマーダに比べ、ネーコ達の体はサラサラに乾いている。


(あるじ)も《風魔法(それ)》を使ったらどうじゃ」(ターニャ)


  …やり方を知らないです


「…ターニャ、教えてくれる?」(ヤマーダ)

「分かったのじゃ」(ターニャ)


 ターニャから教わった方法は、ヤマーダが《空気使い》の《聖水(みず)》と《超豪炎(ほのお)》を使ってお湯を沸かすのと原理は同じ。


 実は、《空気使い》があるため、ヤマーダは自主的に魔法やスキルの練習をしていない。

 異世界(こっち)に来てからというもの、便利な《空気使い》スキルにドップリと()かっているのだ。


 逆に、ネーコ達は長年この世界で暮らし、様々な経験を積み重ねた結果、いざという時の為に魔法やスキルを繰り返し練習する(くせ)がついている。


 例えるなら、ヤマーダが練習をサボってばかりの万年補欠とすると、ネーコ達は練習熱心なスタメンといったところだ。


 当然、魔法とスキルに実力差が出てくる。


 ヤマーダがターニャからレクチャーを受けていると、ルルが何かを感じとる。


大分(だいぶ)、荒らされている」(ルル)

 そう言うと、湿地帯の一部分を入念に調べ始めた。


 そして、周囲を見渡し、

「…な、何かいる感じがする!」(ルル)


 ターニャも見渡すと、

流石(さすが)にルルは敏感じゃな。(あるじ)、気を付けるんじゃ。近くに何かいるぞ」


「よっしゃ、分かった。皆、周辺警戒!」(ヤマーダ)


 ネーコの顔つきが変わり、

「ルルは怪しい部分を重点的に調査」(ネーコ)

「任せて!」(ルル)


「アタシとサリアは、中衛から襲撃の警戒とルルの支援」(ネーコ)

「了解や!」(サリア)


「ヤマーダはいつものヤツをお願い。ターニャはヤマーダの護衛」(ネーコ)

「分かった」(ヤマーダ)

「うむ」(ターニャ)


 ネーコの指示でヤマーダPTは陣形を取り始める。


PT編成

前衛

 索敵・攻撃  ルル

中衛

 警戒・支援  ネーコ、サリア

後衛

 バフ支援   ヤマーダ

 ヤマーダ護衛 ターニャ


 すると、

『誰じゃ!』

 水の中から声がする。


バシャッ!

『ワイの縄張りに無断で入ってくるとはいい度胸だのぅ』

 水中から飛び出してきたのは、毒々しいマーブル模様のスライムだった。


(ちっ)ちゃ!」(ヤマーダ)

 ヤマーダが呟いた通り、スライムは拳大(こぶしだい)の大きさしかなかった。


「コイツ、ポイズンスライムやん!」

 魔物の種類に気付いた、サリア。


「あっ!」(ヤマーダ)

『な、なんじゃ! 急に大声を上げるな “あーーっ、ビックリしたぁーっ!”』(ポイスラ)

 ヤマーダの大声に、ことのほか驚いている。


「お前の縄張りに勝手に入ってゴメンな」(ヤマーダ)


 ピリついた空気の中、場違いなほど気さくにヤマーダが話し掛ける。


『えっ!? まぁ、アンチャンもワイが水源(ここ)におるって知らんかったんだろ。そりゃしょうがないさ』(ポイスラ)

 ポイズンスライムも気さくに応じてきた。


「そう言ってくれると、助かるよ」(ヤマーダ)

『で、分かったんなら、どっかに行ってくれ』(ポイスラ)


 ポイズンスライムは、やる気が削がれてしまったようで、反す言葉もどこか優しい。


  以外と話の分かるヤツだな、コイツ


チャポン!

 スライムは円満に解決したと思ったのか、ニュルッと水に飛び込み、湯船に浮かぶアヒルちゃんのように水面をプカプカ漂っている。


「でもヤマーダはん、見てみい」

 サリアが指差したスライムをよ~く観ると、煮汁のような液体がスライムから(にじ)み出ていた。


「あれ、(きったな)いもんやで! さっきのヤマーダはんみたいな、エンガチョ汁や」(サリア)


  何かその言い方だと、

  オレがバイ菌みたいじゃない?


  覚えてろよーっ!

  バイバイキーーーン!


「このばっちい汁が水源(ここ)を汚してとんのやろ。エルフさん達の病気の原因(タネ)やないか? コイツを水源(こっ)から追い出さんと」(サリア)


 サリアの言葉で、ネーコの目付きが変わった。


  ヤバいよ、ヤバいよ

  ネーコが切れかかってる!


「じぁあ、アタイがぶっ倒してやるよ」

 ルルはヤル気満々だ。


「ちょっと待ってルル! まず、話し合ってみようよ」


  ルルって戦闘、大好きだからなぁ


 身構えたルルを目にして、

『なんだ? ワイとやる気か、アンチャンら!』


 そんな舐めきったスラ坊の態度に、

「ふざけないで! アンタのせいで、アタシの偉大な治療能力が疑われたじゃない!!」


ボヒュッ!

 ネーコは躊躇(ちゅうちょ)なく《火魔法》火矢で牽制する。


『ワイを舐めんなや!』(ポイスラ)


 一直線に向かってくる火矢に対し、スラ坊は(かろ)やかに水面を移動し、


ボブッ!


  あっ!

  当たった!


ジュワーーーーッ!


  …焼かれてる


 軽い気持ちの牽制にも関わらず、スラ坊は火矢を避けることができず、こんがりと焼かれて瀕死の状態になっていた。


  ヤバイ!


  ネーコは、

  軽い感じの《火魔法》なんだろうけど


  アイツ、滅茶苦茶弱いから

  このままじゃ死んじゃうよ


  間違いなく口だけ番長


『ちょ、ちょっと! …アネさん…まずは落ち着き…ましょうよ!』

 恥も外聞もなく、()び入れモードに。


  あっ! 

  アイツ、ポッキリ折れた

  折れんの早くねぇ


「待って待ってネーコ!」(ヤマーダ)

「何よ!」(ネーコ)

 ネーコの手には、再び軽い感じの《火魔法(ひや)》三連発が用意されていた。


  そんなの当てたら、

  アイツ、蒸発しちゃうよ!


『やっ! やめてーーーーっ!!』(ポイスラ)

 逃げようとするスラ坊に向かって、

「逃げなさい! でも逃げたら、()るから。即殺(そくや)るから」(ネーコ)


 最早(もはや)、スラ坊に選択肢はない。


『逃げません! 逃げませんから助けてください! 誰か助けてください』

 水源の中心で愛を叫ぶ。


  なんか可哀想になってきたよ


「なぁ、ネーコ」(ヤマーダ)

 ネーコを抱き寄せて、頭を撫でる。


「何よ!」

 未だにプンスカモードのネーコ。


「コイツそんなに悪い魔物(スライム)じゃないしさ、もう少し話してみようよ」(ヤマーダ)

「えーっ!」(ネーコ)


「コイツが舐めた口聞いたら、そん時は(こぶし)で語ればいいし」(ヤマーダ)

 とりあえず、ナデナデを続ける。


「ヤマーダがそこまで言うなら、しょうがないわね」(ネーコ)


  はーい、良い子良い子


  よし、落ち着いてきたか


「でも、ちょっとでも舐めてたら焼くから」(ネーコ)

「うん。そん時は火葬してあげればいいから」(ヤマーダ)

『…よくは…ないです』(ポイスラ)


 スラ坊に向き直り、

「なぁオマエ、何で勝手に水源(ここ)に住み着いたんだ?」(ヤマーダ)

『旦那は話の分かる御仁のようだ。いいでしょう、アッシの大冒険譚(だいぼうけんたん)をお話ししやす』(ポイスラ)


  あれ?

  一人称がワイからアッシにダウンしたぞ


『アッシはスライム里の長老の孫、エリート中のエリートとして生まれました』(ポイスラ)


  自分のこと、エリートって…


「なんや、鼻に付く言い回しするやっちゃなー」(サリア)


『ゴホン、何不自由なく生活していたある日、アッシを妬んだ仲間達にドブに落とされてしまい《毒性》を持ってしまったんです』(ポイスラ)

「オマエ、(みんな)に嫌われとったんとちゃうか?」(サリア)


  そんな気がする…


『アネさん、お静かに。…毒性を持ち、更に優秀になったアッシを妬んだ里の連中は、アッシを里から追放しました』(ポイスラ)

「里に毒をまき散らしおったら、周りがかなわんやろう」(サリア)


  オレも嫌だな



----------

 それから2時間、スライム全身を使って演劇のように説明が続いた。


 その間、ヤマーダ達は一生懸命なイズムに内緒で、昼食を済ませていた。


『~(省略)。以上の艱難辛苦の放浪の末、アッシはこの安住の地に住み着いたんです』


  あぁ、

  2時間も無駄話を聞いちゃったよ


  みんな、飽きてるし


 ターニャはヤマーダの隣で昼寝している。


  ターニャなんか、

  終わったら起こしてくれってさ


 スラ坊は冒険譚の感想を聞きたそうにしている。


  何だろう、感想が欲しいの?


 とりあえず、

「ふーん」(ヤマーダ)

『ちょ、ちょっと旦那! 反応が薄いですよ。観衆が大号泣するところですよ、スタンディングオベーションですよ、普通』(ポイスラ)


  感動、無し

  悲哀、無し

  悔しさ、無し


  一体全体(いったいぜんたい)

  この話の何処(どこ)で泣くんだよ!


  まだ、何か言った方がいいの?


「でもなぁ、俺は最初っから騙されたり、死にそうになったりしたぞ」(ヤマーダ)

『えっ!?』(ポイスラ)


  オレ、

  こっちに来て2週間で騙されましたしー

  裸にされましたしー

  起きたらゴブだしー

  街に行ったら犯罪者扱いだしー

  昆布だしー


「ヤマーダ、アンタなに言ってるのよ。死にそうになんてなってないでしょ。アタシがいつでも助けることが出来たんだから」

 ヤマーダの大経験談をネーコが訂正してきた。


  えー!

  じゃあ、あんとき、助けてくれよ


「まぁ、オマエの話は分かったけど、水源(ここ)に住み着くと下流にいるエルフ達が病気になったりして困るんだよ」(ヤマーダ)


  もう、いい加減

  里に帰れよ、お()っちゃま


『…でもアッシは、里の連中にギャフンと言わせたいんです』(ポイスラ)

「ギャフン」(サリア)


 軽く無視して、

『…それに、スライムなんで、水気がないと生きていけないんですよ、旦那』(ポイスラ)


「面倒じゃのう、なぁ(あるじ)、早く倒して帰ろうぞ」(ターニャ)

「アタイもー」(ルル)


  あーぁ、

  ターニャとルルが飽きちゃったよ


「まぁまぁ、コイツそんなに悪いヤツじゃないし…倒すのはちょっと…」(ヤマーダ)


「ヤマーダの《聖水(おみず)》を飲ませて、立ち退()いてもらえば?」(ルル)

「せやな、邪魔な店舗は移転したらえぇねん」(サリア)


  何だろう、地上げ屋さんかな


  でも、案外上手くいくかも


「ルル、悪くない案だ」


チャパチャパチャパ

 ヤマーダは鉢植えに水を()くように、《聖水》をスラ坊の表面に注いでみる。


『うひょー! なんすかこの《聖水(みず)》は旦那!! これ、めっちゃウマイっす!!!』(ポイスラ)

「なぁ、これで水源(ここ)から立ち退いてもらえないか?」(ヤマーダ)


『えっ、あぁ、全然いいっすよ』(ポイスラ)


  語尾が「っす」になって

  小者(こもの)感、二割増し


『その代わり旦那のお供をしたいっす』(ポイスラ)


  こっち来んのかよ!

  

「ほーら、こんな魔物(ヤツ)にアタシの《聖水(みず)》を飲ますから……絶対駄目よ、ダーメ。アンタ滅茶苦茶(めちゃくちゃ)弱いじゃない!」

 ネーコの毒舌が止まらない。


  いつから《聖水》はネーコの物に?


「まぁまぁネーコ、コイツ、可哀想だし。なっ、俺がちゃんと面倒見るから飼ってもいいでしょ」(ヤマーダ)


「本当にちゃんと面倒見れるんでしょうねぇ?」(ネーコ)

「本当にちゃんと面倒見るから」(ヤマーダ)


「うーん…しょうがないわねぇ、ヤマーダ、アンタがちゃんと見なさいよ」(ネーコ)

「分かってるって」(ヤマーダ)


「ヤマーダはんって、ペットをねだる子供みたいやな。このパターンやったら、ヤマーダはん絶対面倒見いひんで」(サリア)


 すったもんだで、スラ坊が仲間になる方向でまとまった。


「ところでヤマーダ、コイツを仲間にするなら一旦《収納》の物をサリアに入れ直して、《空間魔法》の中の(モノ)もアタシが預かるの? クロードの物は諦めるしかないけど」(ネーコ)


 ネーコは思考パスが途切れることで、《収納》や《空間魔法》に収納してある(モノ)が出せなくなることを心配していた。


  なるほど、

  確かに思考パスの共有って


  コイツみないな

  変なのを仲間にすると切れるかもな…



  うーん…

  でも何だろうな、

  多分いける気がする

  《魔物使い》のマスターだからかな?


「いや、とりあえずそのままで大丈夫じゃないかな?」

 ヤマーダは自信満々に答える。


『なんすか旦那、なんかあるんすか?』

 スラ坊も何となくヤマーダPTの秘密に気づいた。


「俺達のPTには、魔法とスキルが共有されていて…あー、説明めんどくせー。PTに入れば分かるよ」

 ヤマーダはスラ坊を仲間に加える前に、あることに気がついた。


「オマエって、なんて名前なの?」(ヤマーダ)

『アッシに名前は無いっす、旦那』(ポイスラ)


  たぶん、オレが名前を付けることが

  思考パスを共有する条件だと思うんだけど


  あれっ?

  ターニャって最初から名前あったような

  …まぁいっか


「《ドク太郎》なんて、えんちゃう」(サリア)

『《ドク太郎》っすか…うーん、なんか嫌っす…』(ポイスラ)


「《ドクスラ》なら、どないや」(サリア)

『…サリアのアネさん…変わってませんよ。それに《ドク》はない方向で…』(ポイスラ)


「なんや、注文の多いやっちゃなー」(サリア)

 サリアはスラ坊に名前の候補を提案するが、だんだん面倒臭くなる。


「じゃあ、《イズム》なんてどうだ?」


  面倒だし、ポ(イズ)ンスライ(ム)から…


『イズム…なんかいいっす……めっちゃいいっす!』(イズム)

「…あっそう…そりゃあ良かった…」(サリア)


 サリアが小声で、

「ウチのと、大して変わらへんやんか」

 ヤマーダも小声で、

「サリアの言っていることも正しいけど、今は我慢だ」


“イズムが仲間に加わった”

“イズムは名付きの魔物になった”

“イズムは進化する魔物に変化した”

“ヤマーダはイズムを従えた”

“ヤマーダとイズムに思考パスが繋がった”


  おぉ、このメッセージ懐かしい


『旦那! アッシ、覚醒したっす! いろんな魔法とスキルが使えるようになったっす!! スゲーっす!!!』(イズム)

 興奮して、周りをピョンピョン飛び跳ねる。


「えっ、そんなに驚くもんか?」(ヤマーダ)

 反応が冷めている。


「いや、普通は驚くじゃろう。一般的に魔法やスキルは多くても4~5個程度じゃからな」(ターニャ)

「えっ?」(ヤマーダ)


  そうなの?


  オレ、魔法とスキルを合わすと

  30ぐらいは、あるんじゃない?


  それにオレ達ってパスで共有してるし 


 ターニャに言われて初めて、異世界(こっち)の常識に驚いてしまう。


「まぁ、イズムはレベルが低いからなぁ。追々(おいおい)頑張ってくれ」(ヤマーダ)

 あまり深く考えないところが、ヤマーダの良いところであり、悪いところでもある。


「お前が普通に歩くと、周りに毒を撒き散らすから、俺の肩に乗ってくれ」(ヤマーダ)

『了解っす!』(イズム)


 イズムがヤマーダの肩に飛び乗ってきた。

 撫で肩の割に、イズムの収まりがいい。


『でも旦那の方は、毒、大丈夫なんすか?』(イズム)

「俺の上着《ウサギの毛皮》にはコカトライスの血液を染み込ませてるんだ。だから、毒への耐性済みって訳」(ヤマーダ)


『コ、コカトライス!』(イズム)


 《嘆きの洞窟》にいたコカトライスは鳥のような魔物で、《石化》と《石化耐性》を持っている。

 コカトライスの血液を染み込ませた上着《ウサギの毛皮》は《加工》することで《石化》結合し、耐水性と耐毒性を付与されるようになった。


 といっても、利点(メリット)は耐水と耐毒のみ。

 (もろ)く重い最悪の毛皮になってしまっている。


 これは、ヤマーダがさっきスライム汁を浴びたから、急遽、自分の上着を《加工》したのだ。


 皆が止めるのを聞かずに…


「まぁ、もし毒にかかっても《空気使い》って便利なスキルがあるから、大丈夫!」(ヤマーダ)


『へぇ…あれ? でもそのスキル、アッシは使えないっすよ』(イズム)

「あぁ、ちょっと特殊なスキルみたいで、皆と共有できないみたいなんだ」(ヤマーダ)


 そんな二人を尻目に、

「いつまでも(くっちゃべ)んないの! 水源(ここ)の調査も終わったし、(フィルドン)へ帰るわよ」

 ネーコの一喝で、ヤマーダ達は街への帰路を進み出した。



----------

帰路の途中


北国ゲンク首都フィルドン近郊〈道中〉


PT

ヤマーダ、ネーコ(人化)、サリア、ルル、

ターニャ(人化)、イズム


 ヤマーダは歩きながら、残りの依頼である《魔物の討伐》を思い出す。


  魔物ってまさか、

  イズムじゃないよな


「なぁ、イズム。街のエルフの人達を襲ったことってあんのか?」(ヤマーダ)

『やだなぁ、旦那。アッシは雑魚(ザコ)ですからそんな(だい)それた事、できないっすよ』(イズム)


  コイツ、

  自分で自分をザコって言ったよ


  まぁ、

  あるって言われなくて良かったけど


  …迷惑は相当、掛けてんだよ、オマエは


「ふーん。じゃあ、イズムはここら辺にいる魔物って何か知ってるか?」(ヤマーダ)

『うーん…ゴブとスライム以外は、知らないっすねぇ』(イズム)


  魔物の討伐ってことだけど、

  それってそもそも、

  どんな魔物なんだ?



 街まで後半分といったところで、ルルが何かに気付く。

「ヤマーダ、ここら(へん)の空気、何か変だよ!」

(あるじ)、気を付けた方が良さそうじゃぞ!」

 ターニャもピリついた気配を感じた。


ガサッ!

 黒い塊が左の(やぶ)から右の藪を横切る。


 咄嗟(とっさ)にヤマーダは後ろに飛び退()いた。


『うぎゃー!』

「ぎぁぁああー!」

 イズムとサリアが悲鳴を上げる。


「ど、どうしたんだ!」(ヤマーダ)

 ヤマーダが二人を観ると、逃げ遅れたイズムの身体は半分削り取られ、サリアも右腕の肘から下の部分を失い出血していた。


「さっきの魔物(ヤツ)何処(どこ)!?」(ネーコ)

「もう、いなくなった!」(ルル)


 どうやら、ヤマーダ達の横を通り過ぎただけのようだ。


「うわぁっ! ど、どうしよう…イズムが! サリアがー!」

 ヤマーダは完全に取り乱し、目の焦点は合わず、両手は小刻みに震えている。


「落ち着きなさい、ヤマーダ!」

 ネーコが叱りつけ、《回復魔法》で応急処置をする。


 《回復魔法》によって、イズムのほとんど無くなった体力は回復できたが、体が小さくなっている。


 サリアの方はもっと深刻で、右腕を止血できただけで、肘から下は欠損したままだった。


「う、腕、うう…うう…」

 サリアはいきなり腕がなくなったショックに、涙を(こら)えて耐えていた。


  サリア…


(あるじ)! 今こそ、あの《聖水(みず)》の出番じゃ!」(ターニャ)

「ヤマーダ、早く!」(ネーコ)


 二人に(さと)され、ヤマーダは冷静になってくる。


  そ、そうか!

  《聖水(コイツ)》の出番!


  何とか上手く成功してくれ!


「サリア! 早くこの《聖水(みず)》を飲んで!」(ヤマーダ)


 コップに注がれた《聖水》を渡す。


「“わ、わかった”」(サリア)

 元気がなく、声が小さい。


ゴクッ

 サリアが《聖水》を一口飲むと、欠損した断面が淡く光、腕がみるみるうちに回復していく。


「う、腕が…()えてきた!」(サリア)



 今度はイズムに、

「元気に育ってくれ」(ヤマーダ)


チャパチャパチャパッ

 親指サイズのイズムの体に注がれた《聖水》が触れるや否や、淡い光とともに周りに飛び散っていたスライム汁が集まってきて、以前の拳大まで大きくなってきた。


復活(ふっかーーつ)っす!』(イズム)


「あー、ビックリしたぁ」(ヤマーダ)

 イズムの雄叫びに過剰に反応してしまう。



 とりあえず一息ついたヤマーダ達。


「それにしても、さっきの魔物(あれ)は何だったんだ? (みんな)は見えたか?」(ヤマーダ)


  オレは全く見えなかったけど


「うむ、たぶん翼竜じゃな。それもエンシェントクラスのな」(ターニャ)


  あんなスピードが見えたのか?

  ターニャって、凄いなぁ


「…まだ、近くにいるのかな?」(ヤマーダ)


  ちょっと、あんなヤツとは戦えない!


「アタイは何も感じないよ」(ルル)


  本当!?


(あるじ)、ワシも別段、感じないな」(ターニャ)


  そ、そうか!

  良かったぁー!


 どうやら、既に近くにいないらしい。


 安心したヤマーダの肩に飛び乗ってきたイズムが、

『旦那、魔物(ヤツ)はあっちの方向に遠ざかっているっす』


 イズムはスライムボディの一部を変化させて、器用に東の方角を指した。


「イズムには判るのか?」


  スライムのイズムに索敵能力があるとは…


『今、アッシの《分裂体》がヤツの爪にいますからね。それにしても、スッゲー速さで東に移動してるっす』(イズム)


  《分裂体》?

  何それ?


「《分裂体》って何だ?」(ヤマーダ)


 そこから、イズムの《分裂体》講義が5分程度続いた。



  イズム(いわ)


  どうやらスライムは《分裂》して

  増殖するらしい


  で、核を《分裂》させる時に、

  別個体にするか、

  同じ個体にするか選べるらしい


  同じ個体の場合は、

  感覚を共有しているんだと


  まぁ、

  単感覚の人族には判り(にく)いらしい


  (ちな)みに、さっきの攻撃で

  親指程度のイズムの体を

  持っていかれたそうだ


  当然、核の一部も一緒に


  そして、《聖水》で全回復


  その結果、

  翼竜の爪に付いたイズムも

  感覚が共有していて


  さっきの《聖水》で

  《分裂体》の体力も一緒に

  回復したって事らしい


「つまり、翼竜(アイツ)を尾行してるんだな」(ヤマーダ)

『そうなっちゃったっすね』(イズム)


「へぇ、イズムって、意外と役に立つじゃん」(ヤマーダ)

『いっやぁ、旦那に褒められて嬉しいっす。…やっぱりアッシって特別なんすかねぇ。他の魔物(スライム)と違ってカッコいいっすよね、このカラーリング。ちょっと小振りなボディーも自慢なんすよ。』(イズム)

 自画自賛が止まらない。


  コイツ、なんだか調子に乗ってきたぞ


  褒められて伸びるタイプだな


「でネーコ、これからどうする? 翼竜(アイツ)を追ってみるか?」(ヤマーダ)

「…うん…どうしようかしら…」(ネーコ)


  古竜らしいしな…

  ネーコも珍しく迷っているな


「…なぁ…一旦、街に戻った方がえんちゃう?」

 サリアから伝わってくる声には元気がなく、トーンも幾分か低い。


  流石のサリア、

  弱気になってるなぁ


  腕を千切られたんぜ


  こりゃあ、

  気持ちを落ち着かせる時間が

  必要なのかもしれない


  一旦(いったん)、仕切り直すか


「ネーコ、ここは街に戻って、リンやクロードさんも含めて話し合わないか? 水源の件もマーシャに報告したいし」(ヤマーダ)

「…うん、分かったわ」(ネーコ)

 少し迷っていたが、答えは了承だった。


「あのさ、イズム、アンタに聞きたいんだけど」(ネーコ)

『なんすか、(アネ)さん?』(イズム)


「《分裂体》って、いつまで使えるのよ?」(ネーコ)

『そりゃアッシが死ぬまでっすよ、姐さん』(イズム)


(ちな)みにさぁ、翼竜(むこう)の《分裂体》が見てる映像って、お前にも見れんの?」(ヤマーダ)

『見れるも何も、両方アッシですから』(イズム)


  つまり、

  向こうの映像が見れるってことでしょ


  何それ!

  凄いじゃん!


  2画面テレビみたいな感じなのか?


「へぇ、なんかスゴいわね、雑魚(スライム)のくせに。それにアンタ、どうして身体の大きさが元に戻っているのよ?」(ネーコ)

『ヤツの爪に残っている《分裂体》以外は、回収したっすから』(イズム)


  廃品の回収?


  なにコイツ、イズムさん、スゴくねー


『ただ、アッシが弱いってことをお忘れなくっす』(イズム)


「イズムは攻撃で身体が削られも、大丈夫ってことなのか?」(ヤマーダ)

『ちょっと違いますね旦那、体力が続く限りって条件が付くっす』(イズム)


「それでも、凄い能力だよ」(ヤマーダ)

 素直にイズムを褒める。


  褒めてやるから、

  グングン伸びてくれ


『やっぱ、旦那は他の有象無象とは違うっすねぇ。アッシをちゃんと評価してくださる。器が広いっす。よっ大統領、アッシは一生(いっしょ)旦那に付いていくっす』(イズム)


  あ…そうなの、ありがとう…


  って、この世界に大統領なんていんの?


  イズムって、お調子者?


「おい、褒めるのも、ほどほどにしてくれよ」

 なんて言いつつ満足げなヤマーダ。


 少し震えているサリアの手をサッと取り、ヤマーダ達は(フィルドン)へと歩き出す。



----------

夕方


北国ゲンク首都フィルドン付近〈道中〉


 ヤマーダ達が街に到着する少し前、イズムから翼竜の移動が止まったとの報告が入る。


『旦那、ここから東に行った洞窟の最深部が、ヤツの(ねぐら)のようっすねぇ』(イズム)

「報告、ご苦労様。引き続きヤツの監視、頼むぞ」(ヤマーダ)


「“せやったら、共有しとる《認識阻害》を使っとき”」(サリア)

 まだまだ、声のテンションがいつもより低い。


『了解っす、姐さん』(イズム)


  洞窟の最深部なのかよ…



----------

しばらくして


北国ゲンク首都フィルドン


 翼竜の住処(すみか)が判明してからもしばらく歩き、(フィルドン)に到着したヤマーダ達。


 イズムを魔物登録する為、ギルドへと向かう。



 ヤマーダ達がギルドに入り、カウンター付近で受付の列に並んでいると、とあるPTが声を掛けてきた。


「へぇ、アンタらが救世主ご一行様かい?」


 リーダーとおぼしき獣人の女騎士が声を掛けてきた。


「な、なんや誰かと思うたら、メリルやないか。()っさしぶりやなぁ」

 サリアの調子がいつものように戻ってきた。


「げげっ! 救世主ってのはサリアのことだったのかい」(メリル)


  「げ」が2つ、ゲッツ!


 どうやら、メリルとサリアは昔からの知り合いのようだった。


「サリア、この人を知ってんのか?」(ヤマーダ)

「まあ…昔、一緒のパーティーに()ったんや」(サリア)


 サリアはメリルに向き直り、

「へぇ、メリル、新しいPT組んだんやな」

 意味深な眼差しを向ける。


「えぇ、そうよ。二度と裏切らないPTをね!」(メリル)

「さよか…そらぁ、ええことやな。ウチもうかうかしとられへんな」(サリア)


  ふーん、裏切らないPTねぇ


 今度はグイッとヤマーダに近づき、ジロジロと物色するメリル。

「ところで、隣の貴方(アナタ)がサリアの彼氏かしら?」


「うん、せやな、なんちゅうか、彼氏、とちょっとちゃうような…」

 煮え切らないサリアの顔がちょっとだけ赤い。


 サッと前に出てきたネーコが、

「違うわ! ヤマーダはアタシのパートナー! そして、サリアはアタシ達の仲間よ」

 と否定しながら、接近していたヤマーダとメリルの間に割り込んでくる。


  あれっ?

  パートナーと仲間って違うの?


「何、このちびっこは?」(メリル)


 ヤマーダがカウンター付近で喋っているので、受付の列がつっかえてくる。


「世間話なら、他でやってくれないかしら」(冒険者A)

「用事がないなら、列から外れてよ」(冒険者B)

 後ろに並んでいる二人から苦情が出てしまう。


  なんだか、

  ガチャガチャしてきたぞ


  積もる話は、また今度にして


「メリルさん?だっけ、俺はヤマーダ。すまないが、今、このスライムをギルドに登録しなきゃならないから、話はその後にしてくれないか?」(ヤマーダ)


 ヤマーダの肩に乗っているイズムを眺め、

「へぇ、貴方《魔物使い》? それにしても変わってるスライムね」


  確かにイズムの性格、変わってるけど…


 メリルも周りの状況に気づき、

「確かにそうね…わかったわ、また今度にしましょう」

 そう言い残すと、メリルPTはギルドを後にした。


「サリア、あのメリルって(ひと)と、何かあったのか?」(ヤマーダ)

「うん…前にメリルと一緒のPTにおったんやけど…そのPTリーダーの裏切りに()うたんや」(サリア)


「リーダーの裏切り?」(ヤマーダ)

「せや…ダンジョンを探索中に強力な魔物(ヤツ)が来よってな、リーダーがとんずらや」(サリア)


「なら、その後はどうなったのじゃ?」(ターニャ)

「そら酷いもんやったで…そのせいで、ウチとメリル以外のメンバーは皆、死んでしもうたんや」(サリア)


  それって、

  オレと同じように裏切られたってことか


  この世界って、

  裏切りがデフォなのか?


 この世界の常識に冷や汗が出てきたヤマーダ。


「そん時の魔物って、相当強かったんだろうなぁ」

 ヤマーダは思わず、独り言を口に出してしまう。


「まぁ、今やったら大した魔物(ヤツ)じぁあらへんけど」(サリア)


  えっ?

  今のサリアって、そんなに凄いの?


「意外、サリアってそんなに強いんだ」(ヤマーダ)


「ちゃうでヤマーダはん、このPTに入っとるから強くなったんや」(サリア)

 ヤマーダの誤認識を軌道修正する。


  ってことは…

  このPTが凄いってことか…



----------

北国ゲンク首都フィルドン〈治療院〉


 ヤマーダ達はギルドへの用事を済ますと、治療院でリン達と合流した。


「どやった、リンちゃん」(サリア)

「…昨日より…患者さんは多かったわ」(リン)


「それって、病気の蔓延が拡大してんの!?」(ヤマーダ)

「…違う違う…《収容棟》の患者さんも治してたからよ」(リン)


  《収容棟》?


  あっ! 

  そういやぁ、患者さんがいるのって

  《治療院》と《収容棟》の2箇所だったな


「リン、ご苦労様」(ヤマーダ)

 優しく肩を撫でてスキンシップ。

「…うん」(リン)

 リンの顔が赤くなった。


「ヤマーダ! こっち!」(ネーコ)

 ヤマーダの手を取り、リンから遠ざける。



「…で、サリアちゃん。何かあったの?」(リン)


 流石(さすが)は仲良しの二人。

 早速、リンがサリアの異変に気づく。


「実は…」(ヤマーダ)


 マーシャ宅への帰り道、ヤマーダ達が出遭った翼竜の事を、リンとクロードに報告するのだった。



----------

夕食後


北国ゲンク首都フィルドン〈マーシャ宅〉


 マーシャ宅へ戻り、ヤマーダの苦手な夕食をご馳走になる。

 食事が終わると客間へ場所を写し、現在、ヤマーダ達とマーシャは向き合って座っている。


「…あのぉ~」

 (いぶか)しげな表情のマーシャ


 朝とは明らかに変わっている。

 ヤマーダの肩には、見知らぬスライムがチョコンと乗っているからだ。


 (ちな)みにこのスライム、微動だにしない。


「マーシャ、実はこのスライムが水源に住み着いた事が、病気の原因みたいなんだ」(ヤマーダ)

「せや、コイツ、水源(あそこ)を風呂みたいに使っとったで」(サリア)

『…申し訳ないっす』(イズム)


「…な、なるほど」(マーシャ)


「コイツ、勝手に住み着いちゃってさ。出汁(だし)が出ちゃったんだよ、スラ汁ってヤツ」(ヤマーダ)

「“スラ汁て”」

 サリアが小さくツッコむ。


「…つまり、私達はその汚染水を飲んでいたと」(マーシャ)


「そうそう。でも原液って訳じゃないよ。薄まって果汁(スラじる)1%未満だからノンアルコール? ノンスラコールかな?」(ヤマーダ)

「“カ◯ピス? 酒? そんなんちゃうやろ”」(サリア)


「…そ、それでヤマーダ様、何故そのスライムが今ここに?」(マーシャ)

 理由はなんとなく分かったが、一緒にいるのが意味不明だ。


「出てってくんないかなぁ、ってお願いしたらさぁ、俺達の仲間になりたいって言うんだよ」(ヤマーダ)


「…はぁ」(マーシャ)


「だから、俺達のPTに加えてやったんだ。ほら、可愛いでしょ」(ヤマーダ)

「“色はメッチャ毒キノコやん”」(サリア)


「…な、なんとなく、事情は分かりました。 (ヤマーダ様の性格も)」

 マーシャは呆気にとられている。


 気を取り直し、

「そのスライムを引き取っていただけるなら、私達にとって非常にありがたいことです」(マーシャ)

「でしょ」(ヤマーダ)


「…スラ汁」

 リンがボソッと呟くと、

「スラ汁」(ルル)

「スライム汁、略してスラ汁、フフフッ」

 クロードは、ツボにはまってしまう。


『その《スラ汁》って、なんか嫌っす』

 イズムは不満タラタラだ。



 話題は変わり、

「それでさぁ、マーシャに聞きたいんだけど、街の東に洞窟があると思うんだけど、何か知ってる?」(ヤマーダ)

「東…と言いますと、《竜神様》の洞窟ですかね」(マーシャ)

「「「「《竜神様》?」」」」


  アレが神様?


  無い無い!


  まぁ、もし神様だとしても

  邪神だよ邪神。アレは


「昔、《竜神様》が洞窟にいらして、我らエルフを見守ってくれたとの言い伝えがあります」(マーシャ)

「あります?」(ヤマーダ)


  昔(むか~し)(むかし)、ある所に

  それはそれは気難(きむずか)しい

  竜神様が棲んでいたそうな


  って感じか?


  確かに再放送のオープニング、

  竜に乗ってたけど


 《竜神》の伝承を話し終わると、

「……しかし、ポイズンスライムを仲間にしたんですか?」(マーシャ)

 病気の素であるイズムを繁々と観ていた。


「まぁね、イズムって名付けたんだ」(ヤマーダ)

『イズムっす』(イズム)


「…あのー、ヤマーダ様…魔物に名付ける事もできるんですね」(マーシャ)

「まぁね」(ヤマーダ)

 なんて事ないような返しをする。



 話題は変わり、

「マーシャ、治療は明日中に終わらせるから」(ネーコ)

「そうでございますか、ありがとうございます」(マーシャ)


「そして、明後日からは竜退治に出発よ!」(ネーコ)

「退治だ! 退治!」(ルル)

 意気揚々の二人。


「あのー…竜神様を退治するのは、ちょっと…」

 困り顔のマーシャを尻目に、ネーコは勝手に今後の活動方針を決めるのだった。



名前・イズム

種族・ポイズンスライム

年齢・6歳男


職業・無職(Lv-)


レベル・2

体力・12

魔力・7

攻撃・7

防御・10

知識・5

敏捷・3(+10)

運・7(+20)


装備・なし


魔法・なし


スキル・分裂(Lv-)、宿泊回復(Lv-)

    時間回復(Lv-)、スキル補正(Lv-)

    分解(Lv-)、毒化(Lv-)、毒耐性(Lv-)


所持金・0G

所持品・なし(《収納》内を除く)



名前・ヤマーダ

種族・人間?

年齢・14歳男


職業・無職(Lv-)、魔物使い(Lv-)、戦士(Lv-)

   魔法使い(Lv-)、木こり(Lv-)、猟師(Lv-)

   漁師(Lv5)、農民(Lv4)、商人(Lv3)

   武器職人(Lv2)


ギルドP・C(2497p)


レベル・18

体力・28(+59)

魔力・41(+40)

攻撃・23(+58)

防御・38(+4)

知識・37(+20)

敏捷・44(+40)

運・64(+20)


装備・鉄の剣+1(攻撃+6)

   バンダナ(防御+1)

   ウサギの毛皮(防御+2)

   布のズボン(防御+1)

   手袋(攻撃+2)

   皮のクツ(敏捷+10)


魔法・呼び寄(Lv-)、回復(Lv-)、火魔法(Lv-)

   水魔法(Lv-)、風魔法(Lv-)


スキル・空気使い(Lv6)、言語理解(Lv7)

    宿泊回復(Lv-)、時間回復(Lv-)

    スキル補正(Lv-)、芸(Lv-)、突き(Lv-)

    旋回切り(Lv-)、身代わり(Lv-)

    伐採(Lv-)、枝打ち(Lv-)、斧術(Lv-)

    罠(Lv-)、解体(Lv-)、加工(Lv-)

    釣り(Lv5)、投網(Lv5)、潜水(Lv5)

    耕作(Lv4)、連作回避(Lv4)

    品種改良(Lv4)、交渉(Lv3)、商売(Lv3)

    値切り(Lv3)、武器錬成(Lv2)

    武器強化(Lv2)、武器修繕(Lv2)


所持金・56,070G

所持品・なし(《収納》内を除く)

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