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《空気使い》って?  作者: 善文
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王都での準備期間

投稿の期間が遅くなりすみません。

 取り調べ室にて、


  ハイ、オレです

  尋問中です


  カツ丼、出るかなぁ…


「冒険者のヤマーダ、お前にはアルトでの窃盗の容疑がかけられている」

「…はぁ、なんで?…逆に追い剥ぎには会いましたけどねぇ」

 (いか)つい尋問官にヤマーダは気さくに答える。


「お前がいくら嘘を言っても無駄だぞ、真実からは逃れられない」

「…あのさぁ、今の俺の格好を見て、盗人だと思えます? ゴブクロコーデ(ゴブリン装備)なんですけど…」

 確かにヤマーダの服装は、貧民街の住民よりも(ひど)い。


「…確かに、汚い格好だな」

 尋問官もあまりの服装に哀れな眼差しを向ける。


「で、そもそも俺は何を盗んだことになってるんですか!?」

 ヤマーダもちょっとキレぎみに問いただす。


  よくよく考えてみると、

  あの臭三人衆だろう!


  マジでムカつくっ!


  オレから追い剥ぎしくさったくせに

  虚偽の訴えをしやがるとは!


  クッソ供だよ!


  アイツら、絶対常習だな、常習!!


 脳内で批判を繰り返していると、尋問官から回答が帰ってくる。

「パーティーの所持金200,000Gが盗まれたと訴えている」


  ちょっと待てよ!


  アイツらそんなに金持ちか?


「誰がそんなふざけた訴えを受理したんだよ! (まった)く!」

「アルトの領主様が受理しているな…」


  誰だよ、そいつ!

  領主だと!?


  アイツら、領主とグルじゃんかよ!!


  この紋所が目に入らぬか!

  水戸の黄門様が黙っちゃいねぇぞ!


 ヤマーダぷんぷん丸にネーコが小声で

『“大きい街には《真贋の目》スキルを持ったサルがいるはず(キュウキュウキュウ)”』


  なるほど!


  ノルンに黄門様がいるのね!!


 ヤマーダは尋問官に向かい、

「では、《真贋の目》を使ってくれ!」

「う、うむ…確かにそうだな…少し待っていろ」



30分ほど後


 尋問官が頭に犬耳を着けた10代の獣人女性を連れてきた。


  犬耳だよ!犬耳!

  それに、初獣人だよ!


  それにしても彼女、

  僧侶みたいな格好だな!


 女性が法衣を(まと)っていたため、ヤマーダには僧侶に見えた。


「俺は冒険者のヤマーダだ。悪いんだけど、早く確認してくれない?」

「ハイ、ハイ。()かさんといて!」


  か…関西弁か!?



 獣人女性は集中し、《真贋の目》スキルを使う。

「じゃ、始めるでぇ」(獣人女性)

「頼む」(ヤマーダ)


「あんさん、アルトで金を盗んだんか?」

「盗んでないよ」


「今までに、犯罪を犯したことは?」

「ないと思うよ」


「ほんまか?」

「…親の財布から少しクスネたことぐらい!」


  正直に話したぞ!


「最後や、ウチは綺麗(べっぴん)か?」


  何だよ、その質問!?


「綺麗かどうかは、人それぞれじゃないの。俺は綺麗だと思うけど」


 最後の質問の答えに、獣人女性は大満足。


「は~ん、な~るほど。ハルトはん、どうやら彼は無実のようですわ」

「むぅぅ…やはりそうか、ご苦労」

 獣人女性の返答に尋問官(ハルト)は納得した。


  「やはり」って、なんだよっ!


  本当はこのオッサンも無罪って

  察してやがったな…



  …ってことは


  仮に冤罪で捕まえてしまっても

  ()いって思ってんのかよ!


  この世界の人間、クソばっかじゃん!


「無罪放免でいいんだよな!」(ヤマーダ)

「あぁ、疑って悪かったな」(尋問官)


  まぁ、

  このオッサンにも事情があんのかも…


「まぁ、仕事なんじゃ、しょうがないだろ」(ヤマーダ)


 ヤマーダと尋問官(ハルト)の会話に獣人女性が入ってくる。

「ヤマーダはん、アルトでなんぞやらかしたんとちゃうか?」



 ヤマーダはアルトで冒険者達に騙された経緯を説明する。


 すると、尋問官(ハルト)から

「ヤマーダ、忠告として受け取ってほしいんだが…今後、アルトに近づかないほうがいいぞ。元々、あそこの領主様、良い噂を聞かないからな」

「おい! だったら、何で最初から疑ったんだ!」

 ヤマーダは貯まっていた不満を口にする。


「最近、ノルン周辺で強盗が頻繁に出没していてなぁ。正直、お前を強盗団の使いっぱしりっぽく見えたんだ」

「なるほどねぇ…やっぱり…早くちゃんとした服を揃えたい」

『“そろそろ行くわよ”』

 しびれを切らしたネーコが小声で伝えてくる。

『(…ヤマーダのためにも、獣人女性(かのじょ)は仲間にしたほうが良さそうね)』

 ネーコの小声は途中からヤマーダに聞こえないような独り言になっていた。



「じゃあ、もういいか」(ヤマーダ)

「通行料の500Gを」(尋問官)


  散々(さんざんうたぐ)っておいて、

  金まで取んのかよ!


「悪いんだが、所持金がなくて…魔核での支払いでもかまわないか?」(ヤマーダ)

「500Gに相当するものなら大丈夫だ」(尋問官)


  しっかりしてやがるな…


 尋問されていた建物を出るとリンが待っていた。

「…大丈夫だった?」

 リンが心配そうに聞いてきた。


「まぁ、なんとかな。リンは大丈夫か?」

「…わたしは、元々ノルンで活動しているから…すぐ、自由になれた」


 ヤマーダは尋問の内容をリンに説明する。


『ヤマーダ! いつまでも喋ってないで、宿に行くわよ!(キュウ! キュウキュキュキュウキュキュウ!)』

「リン、ここの良さげな宿って、どこか知ってる?」

「……夕顔亭なら…知ってる」


 一行はギルドで魔核を換金すると、真っ先に夕顔亭で宿を取った。


 その後、ヤマーダは残った所持金で服装を整える。



----------

夕食にて…


「リンはさ、直ぐに俺達の仲間になってくれたけど、今まで目標とかなかったのか?」

「…生きていくことが…目標かな」


『ヤマーダ、アンタみたいなおバカと違って、(みんな)、生きることに精一杯なのよ(キュウ、キュキュウキュウ)』


  まぁ、オレもそうなんだけど…


「リン、俺は特に目的なんて無くてさ…今はネーコの旅に同行させて貰っているんだ」

「…ネーコって…わたし達の言葉も分かるの?」

『当たり前じゃない、分かるわよ(キュウキュキュウ)』

「分かるって言ってる」

「…ネーコって…何の目的で旅をしてるの?」

『あ、今《人化》スキルのレベルが上がった!』


 人と会話することで、ネーコの《人化》スキルのレベルが上がったのだ。


「…わたし! ネーコの言葉が…分かる! …どうして?」

『アタシ達アヤカシギツネの特殊なスキルのお陰よ。これでリンといつでも会話できるわ』


 会話のスピードが上がる。


『まず、あたしは《成人の儀式》のために、北・西・東の里長(さとおさ)を訪れて、一人前の修業をするために旅をしているの』

「へぇー、じゃあ、俺達はネーコの同行者ってことになるのかな。リンも旅に同行してもらってもいい?」

「…うん……大丈夫…」


  ネーコの旅の目的が今、判明した!


  それにしても、

  リンはオレ達に付いてきちゃって

  本当にいいんだろうか?


『とりあえず、この街で《北の里》に向かう準備をするわ。これは決定だから!』


  決定なんだ…


「「わかった(わ)」」


 ヤマーダ達はそれぞれの寝床へ向かっていった。



----------

10日後


  今のオレ達はこんな感じ


名前・ヤマーダ

種族・人間?

年齢・14歳男


職業・無職(Lv-)、魔物使い(Lv6)、戦士(Lv3)

   魔法使い(Lv3)、木こり(Lv2)、猟師(Lv2)


ギルドP・D(359p)


レベル・10

体力・20(+16)

魔力・25(+18)

攻撃・15(+17)

防御・22(+4)

知識・21(+6)

敏捷・28(+14)

運・40(+20)


装備・鉄の剣(攻撃+5)

   バンダナ(防御+1)

   ウサギの毛皮(防御+2)

   布のズボン(防御+1)

   手袋(防御+2)

   皮のクツ(敏捷+10)


魔法・呼び寄(Lv6)、回復(Lv6)、火魔法(Lv3)

   水魔法(Lv3)、風魔法(Lv2)


スキル・空気使い(Lv5)、言語理解(Lv5)

    宿泊回復(Lv-)、時間回復(Lv-)

    スキル補正(Lv-)、芸(Lv6)、突き(Lv3)

    旋回切り(Lv2)、身代わり(Lv2)

    伐採(Lv1)、枝打ち(Lv1)、斧術(Lv1)

    罠(Lv1)、解体(Lv1)、加工(Lv1)


所持金・470G

所持品・なし



名前・ネーコ

種族・アヤカシギツネ(魔物)

年齢・5歳女


職業・無職(Lv-)


レベル・17

体力・35

魔力・49

攻撃・30

防御・35

知識・62(+10)

敏捷・59(+10)

運・27(+20)


装備・かわいい首輪(知識+10)


魔法・火魔法(Lv4)、闇魔法(Lv4)

   空間魔法(Lv3)


スキル・鑑定(Lv3)、宿泊回復(Lv-)

    時間回復(Lv-)、スキル補正(Lv-)

    人化(Lv3)


所持金・2,000G

所持品・なし



名前・リン

種族・人間

年齢・16歳女


職業・戦士(Lv6)


ギルドP・D(875p)


レベル・11

体力・21(+12)

魔力・16

攻撃・30(+26)

防御・18(+19)

知識・34

敏捷・17(+10)

運・16


装備・銅の剣(攻撃+8)

   髪留め(防御+1)

   皮の上ヨロイ(防御+10)

   皮の下ヨロイ(防御+8)

   皮の手袋(防御+6)

   皮のクツ(敏捷+10)


魔法・なし


スキル・鑑定(Lv-)、収納(Lv-)、認識阻害(Lv-)

    誤認(Lv-)、指し示す道(Lv-)

    宿泊回復(Lv-)、時間回復(Lv-)

    スキル補正(Lv-)、突き(Lv6)

    旋回切り(Lv6)、身代わり(Lv6)


所持金・4,250G

所持品・皮のカバン、回復薬×2



夕食の後の一時(ひととき)

『そろそろ、旅に出発しなきゃね』


  オレはネーコの皿に《水》を注ぐ


「…ある程度準備は出来てる…明日、出発する?」


  リンのコップにも《水》を注ぐ


  …あれ?

  オレ、小間使いみたいじゃね?


『出発前にあの()を仲間に加えたいの』(ネーコ)


  初耳なんだけど


「あの娘って、誰?」(ヤマーダ)

『真贋がわかる()よ』(ネーコ)


  あ~、あの関西娘(かんさいっこ)


「あ~、(ここ)に来たとき、俺が嘘つきかどうか調べた獣娘か!」

『これからの旅にあの娘のスキルは絶対必要になるわ』


  詐欺に騙されないためか?


「それはわかったけど、どうやって誘うんだ?」(ヤマーダ)

 ヤマーダの問いかけに、リンが割り込んだ。

「…ヤマーダには言わなかったけど、…私とネーコは、彼女と仲良く食事している」

「なにそれ?聞いてないけど」


  オレは仲間外れなのかな?


  目から汗が出ちゃうよ!


『あの娘には、アタシから旅の話をしているから大丈夫よ、明日、正式に仲間へ誘って出発よ』

「…了解したわ」


 ネーコ達は(から)の器を無言でヤマーダに突き出す。


  なんか、しっくりこないなぁ


  あー、

  ハイハイ《水》のおかわりですね

  お嬢様



 それぞれが明日の出発に向けて準備するのだった。

不定期ですが、完結まで続ける予定です。

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