ヤマーダ、異世界に立つ
「何で?」
原野に真っ裸でポツンと立つ俺、14歳
and 所持金・0G 所持品・無
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話は2週間前に遡る。
「俺も年とったなー」
って独り言を吐く俺、
今日は14歳の聖誕祭だぜー!
「バカなこと言ってないで早くご飯を食べなさい」
ちなみに今のは母親のありがたいお告げだ
俺はカッコよく納豆ごはんを掻き込み、
日曜日の昼下がりに
ウキウキウォッチング?に繰り出す
近くの公園で今日一日
ずっとダラダラしてやるぜって
気分で歩いていたら、
キレイなお姉さんを発見!
14歳の幸先がいーいーねー!!
“髪長げー、足細っそ、こりゃ一発カマスか”
なんて考えたのが運のつき
柵に手をつき、ジャンプ一発すっころぶ。
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「知らない天井だ」
一度言ってみたかったんだよな~
少年が真っ白い空間に仰向けになって寝ていると、
「知っている天井って?」
右上を見上げると、怖いくらいの黒髪美人が立っていた?
んっ!?
なんかちょっと浮いてねーか?
ヤバい! 挨拶しないと!
「スミマセンなんか手がスベって、でももう大丈夫です。ここ病院なんですかねぇ。家族に連絡入れたいので携帯って借りれますか?」
矢継ぎ早に喋って身の回りを探っていると、
「死んでますよ」
…?
…??
「だから、あーなーたーはー、死んでます」
「芯出ます?」
シャー芯?
「「……」」(二人)
暫し、沈黙。
「死亡、お亡くなり、バイバイ、さようならですよ!!」
イライラ感が表に出ている。
なんか黒髪美人って…
あー長くて、面倒臭い
略して《クロビ》でいいか…
そのクロビ、めっちゃ怒っているよ!
「……てことは、ここは天国? クロビは神様?」
「ここは天国ではありません。それに、あなたは徳が足らないので、天国にいけません! はい、残念でした!」
何、その投げやりな感じ!?
「あと、私は神様ではなく神様見習いのアヤです!」
「山田歩です」
被せて名乗りを入れる。
「「……」」(二人)
また、暫し、沈黙。
「さっき、《クロビ》って…」(アヤ)
被せるように、
「アヤ様、もしかしてなにかのイベント発生でしょうか?」
やばい、神様見習い?に
さっき作った渾名で呼んじゃったよっ!
敬語敬語
「…」(アヤ)
短い沈黙、
「ゴホン、あなたのように運の悪い短い人生を送った残念な方には、特別に3つの選択肢が与えられます」
なんだろう…ディスられてるような…
「とっても感謝してください」(アヤ)
スッゲー恩着せがましい…
このあと、クロビからラッキーチャンスの説明が入る。
クロビが淡々と長編歴史小説のような
説明をするんだが…
全く頭に入らんっ!
チョー長かったよ、ホントに⤵️
要約すると
・異世界に転生する
(ボーナスパック有/赤ちゃんから)
・異世界に転移する
(サポートパック有/死亡時の状態から)
・特定の誰かと成り変わる
(特典無/特定の誰かの人生を引き継ぐ)
「因みに、その異世界ってどんな感じの世界なんでしょうか?」
よー分からん世界に
いきなり飛ばされても、
ハッキリ言って嫌だからなぁ
「あなたの世界で言うところの、愛・正義・友情・魔法といった感じです」
少年マンガのスローガンかよっ!
「なんだか、漠然としてますね」
「まぁ、あなたのいた《地球》からしてみれば、異世界なんてどこでも、ハードモードになりますから、グチグチ言っても仕方ありません!」
ちょっと待って!
オレ、
ゲームはイージーモードから始める主義!
「アヤ様のオススメは?」
「あー面倒…転移…でしょうか?」
今、メンドクセーって言いそうに!?
それになんで、間が空くんだよ!
なんで疑問形?
歩のグチグチに、クロビはうんざりしながら以下の説明を付け加える。
・転生
○スキルが5つ付く
✕転生先を選べない
・転移
○スキルが2つ付く、転移先を選べる
✕原住民にとっては、いきなり不審者登場
・成り変わり
○いきなり王様も
✕死亡時リスタートなので、いきなり高齢者、いきなりピンチかも
なんだかなー
なんなんだかなー
うーん、うーんと唸っていると
「後、30秒です」
なにそれ竜王戦
「20秒」
やばい
「10秒」
「えーとアヤ様を信じて、《転移》でお願いします」
「ファイナルアンサー?」
少し貯めて
「ファイナルアンサー!」
・・・
・・・っておい!なんか言って
「正解っ!」
なんなのよ、この茶番
「あっ! もうこんな時間っ! 後はこちらで適当に見繕っておきますので!」(アヤ)
「ちょっと待って…」(歩)
「向こうに着いたら《ステータス》と念じれば、何とか成りますので?」
「なんで疑問形ぇ!!」
「良い異世界ライフをー!」
「おーい…」
やばい…
なんか……
意識が………
歩の身体が透けて、消えていった。
少しするとアヤの後ろから男が現れ、
「問題なく送りだしたのかね」(男)
「はい。若干戸惑っているようでしたが、大丈夫でしょう!」(アヤ)
「始めての《空気使い》の適合者、異世界でどんな活躍を見せてくれるか、楽しみだ」(男)
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ある草原
頭痛てぇーなぁー…
ヤマーダは見渡す限り一面緑の草原に仰向けになっているところで、ゆっくりと目覚めた。
服装は地球で死んだ時と同じ服を着ている。
さっき、クロビに…
何か言われていたなぁ…
何だったっけ?
そうだっ!
“ステータス”
んっ!?
なんか、頭の中に浮かんでくるぞ
名前・ヤマーダ
種族・人間?
年齢・14歳男
なんでヤマーダ?
それって名字じゃんかよっ!
普通アユームじゃねぇのっ!
それに何で
人間に《?》が付いてんの!?
職業・無職(Lv0)
無職…
まあ、中学生って職業じゃないけどさぁ
っておい、
無職にレベルがあんだけど!?
レベル・0
体力・10
魔力・2
攻撃・5
防御・2
知識・1
敏捷・8
運・10
知識が1って?
どういうことっ!
装備・変なフク
変なズボン
ちょっと洒落たクツ
装備に《変な》って…
悪意しか感じられん!
魔法・なし
スキル・空気使い(Lv1)、言語理解(Lv1)
これっ、サポートパックってヤツ?
所持金・100,000G
まあ、金は結構ある…のかな?
あぁ、なんかもっと詳しく、こうか!!
“職業”
戦士、魔法使い、僧侶、武闘家など各種ある。レベルに応じて、ステータスが補正される。
“魔法”
魔力を使って攻撃や補助などが出来る。
レベルに応じて効果が変わる。
特定の職業に就き、経験を積むと覚えられる。
“スキル”
ある種の才能や技能。
レベルに応じて効果が変わる。
特定の職業に就き、経験を積むと覚えられる。
ただし、種族や固有のスキルは後天的に覚えられない。
ふーん、なるほどなるほど?
でも…無職じゃ駄目じゃね…
うーん…こうかっ!
“空気使い”
空気使い(Lv1)・
空気を操り、水などを作ることが出来る。ちょっと美味しい空気が吸える。
「水など」ってなんだよ…
“言語理解”
言語理解(Lv1)・
供用語(子ども程度)の会話と読み書きが出来る。
なるほどねぇ
《空気使い》って水が作れるんだ
あっ!
空気中の水分子ってヤツか!
まず、
《空気使い》ってので《水など》を
作ってみるか!
30分経過
どういうこと?
更に30分経過
作れんっ!
念じても、
声に出しても、
つーくれーましぇーん!
ハァ…
とりあえず、
町にでも行こうか ( 。゜Д゜。)
えぇと、
現在位置はっと…
見渡す限りの草原
あっちに太陽?
遠くには、
ちょこっとだけ山脈が見えて
太陽の反対側は
だだっ広い草原っと!
左右には薄気味悪い森かぁ~っ
…ちょっとイヤだな
とりあえず広い草原でも歩いてみるかなぁ
2時間程歩くと、明らかに整備された街道にぶち当たる。
更に2時間、歩き続けると、町に到着。
もう夕方だよ、
足パンパン……ふぅ…
「見慣れない顔だが、町に何用だ」
門番とおぼしき2人組の1人が尋ねてくる。
そりゃ~
こんな夕方に町を訪れる不審者は
取り調べるよなぁ
「えーと、旅人でして、今晩、町で泊まりたいのですが」
門番達は見たこともないヤマーダの服装を見て、とても怪しんでいる。
「怪しいヤツ。何か身分を示すものはないのか?」
そう言われてもなぁ…
学校の学生証はあったけど、
今、持って来てないんだよなぁ
「特にはありませんねぇ…」
「では、この水晶玉に手を乗せろ」
門番の指差す先には、薄汚れた青色の水晶玉があった。
ヤマーダは水晶玉に手を乗せる。
あれっ?
何も起こらない?
「よし、通行料として100Gだ」
えっ!?
いいの?
こんなユルユルじゃ
テロとか起きちゃうよ!
…まぁいっか!
「これでお願いします」
お金の袋を見せると、門番の一人が100G分を抜き取った。
「あっそうだ! 何処か泊まれる施設ってありますか?」
「それなら、隣にあるレンガ造りの建物《憩亭》で泊まれるぞ」
指差す先に目を向けると、ボッロボロの赤レンガで出来た建物が見える。
この憩亭、食堂も兼ねた宿屋だった。
宿泊代は1泊300G。
食事代は1食50G。
茶髪で恰幅の良いおかみさんがカウンターにいる。
「とりあえず、2泊でお願いします」
「あいよ、部屋は103号室ね」
元気なおばちゃんだなー
「ここが103だよ。体を拭くお湯が必要なら、別料金で10Gいただくよ」
103って言われても、
雑な扉に汚い字で書いてある…
それにこの扉、
鍵が掛かんないじゃんか…
「分かりました」
まずは、
飯を食って、
体を拭きますか
今までで、分かったことを整理すると
お金→50G(一食)、300G(一泊)だから、
1G→10円?
飯代を500円とすると……
一泊、3,000円か…
宿泊代として安いのか?
マン喫みたいっこと?
…施設はメッチャ最悪だけど
最後に…
町に入るときは身分証が必要っと!
入町、お金か身分証(おばちゃんの説明より)
出町、不要
《空気使い》スキルの使用方法
水を作るには、空気から水を取り出す感じ
お湯を使っていて、
やーっとこさ、水が出せたよ!
…数滴ね………使えねぇスキル
…ハァ…
気を取り直して寝る前に、
もう一度ステータスの確認、確認っと
“ステータス”
名前・ヤマーダ
種族・人間?
年齢・14歳
職業・無職(Lv1)
レベル・0
体力・5/10
魔力・0/2
攻撃・5
防御・2
知識・1
敏捷・8(+1)
運・10(+2)
装備・変なフク
変なズボン
ちょっと洒落たクツ
魔法・なし
スキル・空気使い(Lv2)、言語理解(Lv2)
宿泊回復(Lv1)
所持金・99,250G
おっ、
なんかレベルが増える?
んっ!
ちょっと待て!
体力と魔力がメッチャ減ってる!!
早速、確認っと
“無職”
あらゆる職業のベース。
《宿泊回復》、《時間回復》、《スキル補正》を覚えられる。一般には12歳までにマスター(Lv-)し、別の職業に転職する。
能力補正は敏捷(Lv×1)、運(Lv×2)。
なるほどね
“体力”
魂のキャパシティ。
0になると死ぬ。
薬、魔法、スキルなどで回復可能。
い、今 5 じゃんかよ!!
“魔力”
精神のキャパシティ。
0の状態から更に減ると昏倒する。
薬、魔法、スキルなどで回復可能。
昏倒寸前!?
“宿泊回復”
睡眠をとることで体力、魔力を最大値まで回復させることができる。
回復量はレベル、睡眠時間に比例する。
ちょっと待て…
もしかして…
ただ歩いただけで、体力が減ったの…?
もし、無職から何かに転職してたら……
寝ても覚めても、
体力と魔力が回復できないじゃんかよ…
おいおいっ!
コロッと死んじゃうところだったよ
…危ねぇー!
クロビィーーッ!
ちゃんと説明しろよぉーーー!!
後さぁ
さっき数滴《水など》作って、
魔力0って!
……すぐ昏倒するじゃんかよっ!
ハァ……焦ったら疲れた
早よ寝よ…
----------
アルトの町
柵ーーーーー門ーーーーー柵
柵 柵
柵 武器屋 道具屋 柵
柵 柵
柵 礼拝堂 柵
柵 柵
柵 ギルド 馬屋 柵
柵 憩亭 柵
柵ーーーーー門ーーーーー柵
↑
※空白部分に道、民家など有。
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その後、ヤマーダは適度な運動(2時間程度の散歩)と食事、《水など》の作成、睡眠を繰り返した。
----------
2週間後
いやぁ~っ!
この世界にも、だいぶ慣れたな!
“ステータス”
名前・ヤマーダ
種族・人間?
年齢・14歳
職業・無職(Lv-)
(Lv-)は(Lv10)ってことね!
マスターだよ、マスター
水割りも作れちゃうかな?
レベル・0
体力・10
魔力・2
攻撃・5(+20)
防御・2(+35)
敏捷・8(+20)
運・10(+20)
装備・鋼の剣(攻撃+20)
旅人のフク上(防御+20)
旅人のフク下(防御+15)
皮のクツ(敏捷+10)
魔法・なし
スキル・空気使い(Lv3)、言語理解(Lv4)
宿泊回復(Lv-)、時間回復(Lv-)
スキル補正(Lv-)
所持金・約35,000G
所持品・皮のカバン、回復薬×5
学業成就のお守り、牛革のサイフ
なんか、冒険者っぽくねぇー!
空気使い(Lv3)・
《美味しい水》、《火》、《美味しい空気》を術者の半径5mまで作成可能。
重職は3つまで可能。
《水など》って不気味な液体が
《美味しい水》に!
《ちょっと美味しい空気》も
《美味しい空気》に!
《火》も使えるようになったんだよ!
なんかこんな感じの理由らしい
空気中の酸素のようなものを集積
→空気中の水分子が高速で衝突
→カミナリ発生
→着火
→燃焼
らしいよ、
ステータス先生曰く
因みに
《美味しい水》
《美味しい空気》って
本当に旨いんだよ!
これがっ!!
これで、水不足解消!
《空気使い》って意外と使えそうじゃね!
この前は使えねぇって思ってゴメンな
言語理解(Lv4)・
供用語の会話及び読み書き、エルフ語(子ども程度)及びドワーフ語(子ども程度)及び動物(興奮状態を除く)の会話が可能。
今後の多種族交流のためにも
このスキルには期待大だな!
ちなみにこの町には
人族しかいないんだけど…
あっ、馬はいるよ、生意気なヤツが!
喋りかけると
『ウルサイ、サル!』ってさ
……なんだかねぇ
時間回復・
一定時間、休憩することで体力と魔力を最大値まで回復できる。
回復量はレベル、休憩時間に比例する。
まあ、予想通りだな
スキル補正・
スキル使用時の減少する魔力を補正する。
補正量はレベルに比例する。
(Lv×10%)
実は、このスキルが結構重要
町の人に
《魔力とスキル》の関係について聞くと
『スキルを使っても、魔力は減らない』
って答えが返ってくる
でも、
《空気使い》のスキルを使うと
普通に魔力が消費されるんだよ
これがさ!
最初は、
町の連中がグルになって、
幼気なオレを
騙してんのかって思ったよ
人間不信だな
でも、
《スキル補正》をマスターしたら、
魔力を消費しなくなったんだ
こっちの世界では
子どもの頃に《無職》をマスターするから
《スキル補正》のレベルも最大になる
転職して何かスキルを使う頃には、
魔力無しはデフォルトってことなんだよ
《転移者》は、異世界から来たんで
《無職》のマスターが必要不可欠
《転生者》は赤ちゃんからだから
12歳までに勝手にマスターすんだろうし
《成り変わり》は
既にマスターしてんだろうし…
正直、
《無職》がマスター出来て良かったよ…
ますます、
クロビの悪意を感じるな…
「さぁこれから、俺様の大冒険の始まりだぜ!」
とりあえずこれで、
103での独り言完了っと!
今日はギルドにいって転職しなきゃ!
就活だよ、就活!
初アルバイト!!
まぁ、お金も減ってきたしねぇ……
「ヤマーダさん、今日も宿泊かい?」
朝食のカッチカチのパンをスープに浸けて食っていると、憩亭のおばちゃんが聞いてきた。
「今日からギルドで何か仕事をしようと思ってますので、夕方宿泊するかどうか考えますね」
ここ数日は夕方、
チェックインをするようにしている
鍵の掛かんない部屋に連泊するのはさ…
それに、
朝食のパン、
カッチカチで釘が打てそう
スープはメッチャクチャ薄いし…
白湯だよ
「ヤマーダさん、羽振りが良さそうに見えるから、気をつけなよ!」
「そんなに羽振り良く見えますかねぇ…」
「町に来て2週間、全く働かずに食べていけるってことは、そう言うことさね」
まあ、確かにそうかもな…
腰袋にお金が丸見えだしなぁ…
「行ってきます!」
おばちゃんに元気な挨拶をして、ギルドへ到着。
ギルドの建物は、石造りの一階建て。
窓は木製で小さく、所々に大きなキズがある。
良く言って味わいのある、悪く言えばボロい建物だった。
なんかギルドって
昔、テレビで見た刑務所みたい
なんだよな…
ギルドに入ると10名程度の冒険者が左右の掲示板を見て思案している。
とりあえず受付受付っと!
「どのようなご用件でしょうか?」
受付のカウンターには、左目が前髪で隠れている女性が話し掛けてきた。
バッリバリのキャリアウーマンって
感じだなぁ
「転職して、何か仕事をしたいのですが…」
「何方かの紹介でしょうか?」
えっ?
紹介がいるのか?
「…紹介では…無いんですが」
「なるほど。では、転職と仕事の斡旋についてご説明しますね」
ヤマーダの拙い受け答えから事情を察し、ギルドの説明を始めた。
転職について要約すると
・基本職に転職(紹介無)
戦士、魔法使い、魔物使いに転職可能
・上位職に転職(紹介有)
騎士、武闘家、僧侶などに転職可能
基本職の経験が必要
・それ以外
農民や漁師、木こりなどはそれぞれの仕事をしているうちに取得
・勇者や賢者など
賢者は神託によって礼拝堂で取得
勇者は世界に一人のみ、既に取得者有り
「…ということは…経験がないので戦士、魔法使いか魔物使いのどれかってことですか?」
「そうなりますねぇ」
うーん、
もっと職業が選べればいいのになぁ…
依頼について
・依頼(誰でも)
町での雑用や薬草の採取、狩猟、魔物の討伐など
・依頼(職業に応じて)
騎士や武闘家による指導、僧侶による浄化など
なんかギルドランクってヤツ?
によって変わるらしいが…
まぁ戦士、魔法使い、魔物使いだと
あんまりランクは関係ないようだな
後、
魔王討伐なんてのもあるらしいが
ギルド管轄じゃないらしい…
「転職するようでしたら転職代として10,000G頂きます」
へっ?
金取るの?
「また、ギルドからの依頼の斡旋を受けるには登録が必要になります」
「それって、お金がかかるんですか?」
「登録代として10,000G頂きます」
おいおい、占めて…
20万円じゃねぇかよ!
大丈夫かよぉ?
俺の異世界ライフ…
………
なんとか生きられそうだけど…
知識が全くない…
《戦士》は…
なんか普通
《魔法使い》か…
肉弾戦、弱いよな…
無しだな無し!
《魔物使い》
うん、やっぱ、
異世界って言ったらテイムっしょ!!
「《魔物使い》への転職をお願いします!」
「あまり就く人が少ないんですが…本当に《魔物使い》で構いませんか?」
あれっ?
結構、否定的だな!
「ハイ! よろしくお願いします!」
オレの意思は変わらんっ!
鉄よりも豆腐よりも硬いのだ!
キャリアウーマンが引き出しから黄色い水晶玉を取り出した。
また水晶玉かよ!
なんかこの世界って
水晶玉に頼りすぎだよな
「10,000G頂きます」
キャリアウーマンは右手のひらを上に向け、お金を出すように促した。
あっ、前払いなのね!
「ではこれで」
「水晶玉に手を…」
水晶玉に手を乗せるが何も起こらない。
「…もう終わりましたよ!」
コイツ、何も知らないなって顔をする。
何だ?
よく分からん…
とりあえず…
“ステータス”
名前・ヤマーダ
種族・人間?
年齢・14歳
職業・無職(Lv-)、魔物使い(Lv0)
…………
無職って残るんかい!
もしかしてっ!
《空気使い》の《重職》って、
こういうことか!!
「ステータスの確認は、いたしますか?」
キャリアさんに薦められたし…
「お願いします!」
「1,000G頂きます」
また金かよっ!
…ハァ
「お、お願いします…」
「1,000G頂きます」
払ってポーズをしている。
あっ、前払いなのね!
「ではこれで」
「では水晶玉に」
さっきの水晶玉に手を乗せるようだ。
なにこれ、騙されてる?
悪質商法?
また、黄色い水晶玉に手を乗せる。
「終わりましたよ」
何で、なんも反応しないの?
「こちらになります」
ステータスか印字された紙を受けとる。
なんか安い紙だなぁ…
えーと、なになに
ステータス
ヤマーダ
魔物使い
適性・E
何これ?
これで1,000G?
一万だよ、一万円!!
「ヤマーダさんには、あまり適性が無いんですねぇ」
おいおいキャリー!
なんてこと言いやがる!
こちとら、11,000G払ったんだぞ!
……しゃあない、登録すっか
「ギルド登録お願いします」
「10,000G頂きます」
はいはい、前払いなんでしょ!!
「ではこれで」
「では水晶玉に」
またなの!?
水晶玉に手を少し触れると
「終わりましたよ」
…早ぇよ…
「確認しますか?」
キャリー…どういうこと?
「確認とはどうするのですか? カードか何か貰えるんじゃ…」
「ステータスで確認できますが? 確認しますか?」
「…お、お願いします」
「1,000G頂きます」
どういうこと?
ギルドは守銭奴なの?
それともキャリーに騙されてるの?
とりあえず、自分で調べるか
“ステータス”
名前・ヤマーダ
種族・人間?
年齢・14歳
職業・無職(Lv-)、魔物使い(Lv0)
ギルドP・E(0p)
レベル・0
体力・10
魔力・2
攻撃・5(+20)
防御・2(+35)
…………
そういうことか!
多分、
《異世界人》には
詳細なステータスが
念じるだけで分かるんだ!!
そして、
こっちの世界の住民には
自分でステータスが確認出来ないんだ
すまんキャリー!
原住民のお前には、
異世界人の偉大さなんて
分からんよな!
「とりあえず確認は結構です」
まぁ、
断っていいっしょ!
わざわざ無駄にお金を払う必要、
全くないわなぁ
「仕事をお探しでしたが、何かご依頼を受けますか?」
キャリーが尋ねてくる。
どうすっかなぁー
・要望(依頼)
民家のゴミ捨て(600G)
ガンツ武器店の掃除(450G)
キャシー道具店の手伝い(350G)
など
・採取(常駐、声がけ不要、採取物提出)
薬草の採取×5(250G)
毒消し草の採取×10(1000G)
綿花の採取×20(200G)
など
・魔物討伐(常駐、声がけ不要、魔核提出)
スライムの討伐×3(300G)
ゴブリンの討伐×3(450G)
角ウサギの討伐×3(600G)
など
なるほどなるほど…
《要望》ねぇ
…多分こっちの世界のゴミ掃除ってのは
大変そうだし
《採取》?
…毒消し草は危険な所に生えていて
《魔物討伐》
…角ウサギは肉と毛皮も利用できる
…ってな感じなんだろうなぁ…
ちなみに、
魔物には魔核ってものがあるらしい
一泊(300G)+三食(150G)昼寝付きを
考えると…
ヤマーダが思案していると3人の冒険者が声を掛けてきた。
「オマエ、新入りか?」
3人は冒険者特有の臭いを振り撒いている。
なんか臭い野郎どもだなぁ
臭A、臭B、臭Cって感じだよ…
「何か俺にご用ですか?」
ヤマーダは、一応礼儀正しく受け答える。
「オレはマイク、でこっちがダンとラルだ!」
「ヤマーダです」
臭Aがマイクで
臭Bがダン
臭Cがラルっと
それにしてもコイツら臭いなぁ…
「ヤマーダはギルドにさっき登録してたようだが初心者なんだろ…何だったら、オレらとパーティーを組んでみないか?」
確かに初心者だし…
とりあえずパーティーもありか…
「うん、分かりました。これから、よろしくお願いします!」
ヤマーダが返事をする脇でキャリーが呟く。
「…ヤマーダさん、簡単に他人を信用して大丈夫かしら…」
----------
ヤマーダと臭3人衆は、町に入った南門とは逆の北門から町を出る。
街道を1時間程進み、街道から少し外れると原野に変わった。
「ここら辺が比較的稼ぎやすい狩場だ」(マイク)
「おい、あそこに角ウサギがいるぞ!」(ダン)
マイクが到着を告げると同時に、ダンが魔物を発見する。
「とりあえず…ヤマーダ、殺ってみろよ」
「分かりました!」
マイクの指示に返事をしていると、角ウサギがこっちに気づいた。
角ウサギ・
ウサギと言っても、肘から指先ぐらいの大きさがあり、体長40~50cmはある。
角は綺麗な円錐形で鋭利、10cm程度はあり、防具を貫通するには充分な長さがあった。
なんか…メッチャ睨んでるよ…
うわっ!
こっちに来た!
角ウサギは一直線でヤマーダに向かって来る。
コイツ!
思ってたよりもずっと早いぞ!!
ヤマーダの腰が引けて、後ろにスッ転ぶ。
角ウサギは勢いそのままに持っていた鋼の剣に突き刺さってきた。
…勝手に死んだよ
…あれ?って感じ
「おいおい、ヤマーダは良い剣、持ってんだな」(ラル)
「まぁ、結構しましたからねぇ」
気を良くしたヤマーダは得意気になる。
「よーし、ヤマーダの実力も分かったし、ガンガン採取と討伐するぞ!」
マイクから次の指示が飛んできた。
それから数時間、採取と討伐を繰り返し、ヤマーダのレベルは3になっていた。
リザルトリザルトっと
薬草×11(500G)
スライムの魔核×6(600G)
ゴブリンの魔核×4(450G)
角ウサギの魔核×7(1200G)
半日の成果は…2750G
27,500円だろ
今、四人だから、
…一人当たり
…6800円ってところか
まぁ、半日だったし…
切りの良い数の討伐は難しいか…
でもここは確かに、
安全な狩場なのかもな!
…臭いけど、マイク達は良いヤツらだしね
「そろそろ飯にすっぞ!」(マイク)
「「「了解!」」」
簡単な携帯食がマイクから配られる。
「僕は用意してきたので、大丈夫ですよ」(ヤマーダ)
「パーティー分は用意したから、気にせず食え!」(マイク)
「いやぁ…でも…」(ヤマーダ)
「気にするこたぁ、ねぇよ」(マイク)
「わ、分かりました、頂きます」(ヤマーダ)
ヤマーダとマイクのラリーが2回続いた。
まぁ…
大人の礼儀として2回断ったし良いよね…
ヤマーダが食べ始めて数分後に意識が遠のいていく。
「あれ…なんだか……眠………」
「「「やっと眠ったか」」」
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そして冒頭に戻る。
初回はいかがでしたか?
次回は仲間?が登場です。