第三章 やっぱりおっちゃんは天才だな
最近寒くなりましたねぇ。毎朝布団から出るのに時間がかかって仕方がないです(笑)
前回の投稿から時間が空きましたがよろしくお願いします。
あの後、まだもめ合ってたフィーネとマルコの首根っこをつかんで道真とジークに拠点に返すように頼んだ。
なぜ俺が拠点帰らないかって?
俺にはクエストに行くにあたって、いくつかのやらないといけないことがあるので、今その準備に向かっているんだ。
正直めんどくさい以外形容する言葉がない。
「あーだりぃ……」
とりあえず最初は修理に出していた武器を取りに行くことにした。
この町はこれでもかと言うほど広いので酒場から行きつけの鍛冶屋には少し距離がある。
町はレンガを基調とした城を中心に店やら、家やらが軒を連ねていて人々でにぎわっている。
しかし今日はそんな賑わいすらも暑苦しく感じる。
「あー、暑い……」
今日は普段より暑く普通に歩いているのに汗が噴き出てくる。
どうやら地面からは陽炎が出ているようだ。
それでも出店の方々は暑いことなんか関係なしにはつらつとした声で商売に精を出している。
「あら、蓮君じゃない。ほら、これ見て。いいロルボフィッシュが入ったのよ安くしとくから買って行かない?」
いつも何か食材を買うときはここで買っていくのでここら辺の商人の人とは顔見知りだ。
ちなみにこのふっくらした人はラボさん。魚屋を営んでいる。
「あ、ラボさん今日はすいません鍛冶屋の方に用事があって……」
「あら、そういえば本業は冒険者だものね、じゃこれあげるから頑張って来なさいよ」
と言ってラボさんは海ブドウをくれた。
「ありがとうございます」
ラボさんは満足そうに背中を勢いよく叩いた。
ははっ、俺冒険者ってこと忘れられてるんですね。
若干……いや、かなり悲しくなった。
そもそも、なんで冒険者ってことを忘れらるかって言ったらすべてあいつらが悪いんだよっ!
俺は俺のできることを必死になってやってるし、しかもクエストの準備だって全部俺がやってるし、そのくせにあいつらは何なんだよっ!
あーなんか腹立ってきたから、あいつらの晩飯抜きにしようかなぁ……
とかなんとか思ってみたものの、9割ぐらい冗談が入り混じった愚痴のようなものだったので、いつものことだと思い自分を鼻で笑った。
モルク・ボルクを結成してから毎日が破天荒だ。
独り言も増えたし、愚痴だっていうことも増えた。
ただ、なんだかんだで、この生活が楽しい何ても思ってる。
なんかしんみりしてきたな。
……さて、今向ってるところはよく行く鍛冶屋だ。
どれくらいの頻度で行くかと言うとクエストに行くたびに毎度お世話になる。
つまりは、クエストに行くたびに武器や装備がボロボロになるということだ。
お察しの通り連携が取れないと多少無理したり、武器を乱暴に扱うことが多いので毎度武器は修理に出さないとすぐに壊れてしまうんだ。
こんなことも連携が取れていると考える必要もないんだろうな……
案外、何かを考えてるときは時間が経つのが早いものでいつの間にか鍛冶屋についていた。
ここの鍛冶屋のおっちゃんにはモルク・ボルクができた当初からお世話になっている。
重々しい扉を開けるとギギギと年季の入った音がした。
少し鉄の混じったような鼻腔をツンとするようなにおいがする。
あたりには重そうな鎧からもはや公然わいせつともとれるような明らかに肌の晒される面積が多い鎧が器用に並べられている。
当然だが、武器も豊富に置いてある。
ロングソードやら、ジークが使うような大剣、レイピアといった一般的に使う武器から、シークレットジョブに向けた鎖鎌、鞭など特殊な武器も置いてある。
「おう、蓮じゃないか。修理はもうとっくに終わってるぞ」
頭の毛が完全にお亡くなりになられたイカツイおっちゃんがまるで待ってましたと言わんばかりに仁王立ちしていた。
「お、おう、おっちゃん」
おっちゃんは満足げに不格好な笑顔で頷くと、鍛冶場の修理した装備品を取りに行った。
「なあ、蓮。今回も修理ついでに改良を施したんだが予想以上にいい仕上がりになったんだよちょっと試してみろ。」
「へーどんなのになったんだよ?」
「まあ楽しみにしてろって」
と言うとおっちゃんは鍛冶場からゴーグルやら、ピストル、ソードを持ってきた。
修理は完璧な仕上がりだった。さすが行きつけの鍛冶屋。
ただ、改良を施したというが見た感じよく分からなかった。
「ん?どこを改良したんだ?」
と言うととおっちゃんはまた不格好なにんまりとした笑顔で少し弾んだ声で答えた。
「修復したのはこのゴーグルなんだが、まあ、まずはこれを頭にかけみろ」
おっちゃんはゴーグルを乱暴に取り俺に渡してきた。
「?……ん?」
革製のゴーグルは少しかけるのが少しめんどくさく革臭い匂いが、ほんの少しの不快感を与える。
「お、おい、おっちゃんこれ!」
しかし、かけてみるとそんなことどうでもよくなっていた。
今まで、塵や、棘が自分の目に入らないようにする目の保護用でしかなかった、ゴーグルが、右上に種族とレベルとステータスが表記されていた。
レベルとはそのモンスターや人といったすべてのものつけられる強さの基準の様なもので、例えばゴブリンとかスライムの下級モンスターはレベル10~20程度、オークとか、ドラゴンといった中級モンスターはレベル20~50程度、リヴァイアサンや、サラマンダーといった上級モンスターはレベル60~100程度。
一応レベルは250まで設けられてて、その上はいないと思うけどもしいたら識別不明と表示されるらしい。
そして、我々モルク・ボルクの一人一人のレベルはフィーネがレベル60、ジークがレベル63、マルコがレベル58、道真がレベル60。
んで、この俺がレベル69だ。
しかし、このステータスを確認するためには、鑑定士という上位職の鑑定を受けないとレベルを知ることが出来ない。
でもこのゴーグルはその鑑定を受けなくてもレベルと種族を知ることができる。
いや画期的すぎん?
【人種】
レベル ?
「そう、このゴーグルをいかに実戦で使えるようにしようかと考えた時な、じゃあレベルと種族が分かればいいじゃないかと思ってな。ちょっとめんどくさかったがお前らモルク・ボルクの為だ。特別だからな?感謝しろよ?」
じゃあレベルと種族見れるようにしようと思って、本当に見れるようにしたのはよくよく考えたらやばいな。
よくよく考えなくてもやばいな。
「す、すげー!……ん?でも、なんでおっちゃんのレベルって表記されてないんだ?」
おっちゃんのレベルは「?」で表記されている。
「さあ、俺が職人だからじゃないか?」
「ふーん」
その言葉はどこかお茶を濁したように聞こえたが、興奮している俺にとってそんなことなんてどうでもよかった。
「そういえば次行くクエストとかは決まってんのか?」
「あーレッドドラゴンの討伐に行く予定。正直、今回も失敗しそうでクエスト行く前から負ける気しかしないけどな」
「行く前からそんな気の持ちようだと失敗するぞ?少なくとも今回は討伐成功してほくほく顔で帰ってくるに方に賭けるな」
「そう言ってくれてうれしいよ。期待に沿えるようにこの新装備と共に頑張ってくるな」
「おう、頑張れよ。そうかレッドドラゴンか、あいつといえば火炎だな、火傷には気をつけろよ。レッドドラゴンか……」
「ん?どうかしたか?」
「あ、いや何でもない。ま、まあ頑張って来いよ、きっとお前らならレッドドラゴン位なら倒せるはずだからな」
「おう」
おっちゃんからもらった、ソードとピストル、ゴーグルを各ホルスターになおしたり、腰にさしたり、頭にかけたりと装備は完璧だ。
「よっし、じゃありがとな、おっちゃん」
「おう、今後ともごひいきにな。……あーちょっとまて」
「ん?」
店を出ようとしたときおっちゃんが何か思いだしたように声をかけてきた。
「そういえばそのレッドドラゴンの討伐はベルモンド大森林だよな?」
「あぁ、そうだけど?どうかしたのか?」
と言うとおっちゃんはすこし話しにくそうに、
「あー実はだな、ベルモンド大森林に今、レベル125ぐらいのドラゴンキングが出現してるらしいんだ。一応騎士団が討伐に向かってるらしいが、ベルモンド大森林に行くなら気を付けとけよ」
……は?
「な、なあおっちゃんベルモンド大森林にドラゴンキングって言った?」
「そうだがどうかしたのか?」
いや、いやまさかそんなことはないはず。
確かにドラゴンキングは居たけれどレベル125ぐらいってなぁ……
たぶん俺らが戦ったドラゴンキングとは違う個体だろう。
「あ、そういえばそのドラゴンキングはその……異様に人間を憐れんでたらしいぞ。聞いた話だからそんなモンスターがいるのかどうかは知らんがな」
「おいっ!俺たちが戦ったの確実にそいつじゃねえかっ!」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
もうそろそろ戦闘シーンが始まりますのでご期待ください。