(エリー視点)
私の親友のアメリアは天使のように可愛い。
高級な絹糸のように鮮やかで艶やかな金色の髪、大きな空色の瞳は黒目がちで、ブルージルコンのようにキラキラしている。それらの輝きを綺麗に収める完璧に整った見た目。まごうこと無き美少女だ。
初めて会ったとき、あまりの可愛さに、雷に打たれたように感動で打ち震え、この子のことは絶対に私が守る!!と幼心に神様とご先祖様に誓った。
私の家は騎士の家系で、可愛いものが全然買ってもらえなかったのもあって、リアに夢中になった。
リアは大切に大切に育てられすぎて、現実の辛さや悲しさ煩わしさから隔離されて生きていた。結果、リアは、ものすごくふわふわした子に育ってしまった。夢見がちとでもいうのだろうか、地に足がついていないというか……。
リアは、すごく小さな世界で生きていた。家族と使用人とジークハルト様と私。
たったそれだけで…私は、そこに自分が入っていることが誇らしかった。
まぁ、あまりにも世間知らずだったので学園に入ったら、私が守ろうと思っていた。
思っていたのに。
初日の入学式の日にジークハルトがやってくれた。
今まで1度も傷ついたことの無いような子に、最大のダメージを的確に与えてくれやがった!
私は、リアが壊れてしまうんじゃないかと、その日は心配で眠れなかった。
それにしても、ジークハルト…死ねばいいのに。できるなら、去勢して、切ったブツを池の鯉にでも喰わせてやりたいわ。
でも、今日会ったリアは、壊れるところか、まともになっていた。地に足が着いている。それに、今日見ていただけでも、2人の人間と話をしていた。
今までのように、『その他の人間』ではなく、きちんと個人を見ていた。
自嘲してみたり、ちょっと擦れてしまった感はあったけども。
「ねぇ、エリー。どうかした?」
「えっ?ちょっとね……」
「おねがい、話してくれない?」
眉を八の字に曲げて上目遣いで見つめてくる。可愛い。これが天使か。
「私たちの間に秘密があるのってなんだか寂しい…」
と、ぽしょりと拗ねたように言う親友。あまりの可愛らしさに卒倒しそうになった。お願い、やめて、そんな目で見ないで、新しい扉を開けそうになるから。
「ねぇ、リア。1晩で、少し…いや、だいぶ変わったよね?」
「え?」
リアの表情が一瞬固まった。
「これまでのリアなら、値段なんて気にしたことなかったじゃない?エデン夫人から、あなたが散財しないように、買い物をするときは付き添うようにお願いされていたのだけど…」
リアが、また固まった。可愛い。
しばらくの沈黙の後、リアがぽつり、と話し始めた。
「私ね、ジーク様にフラれたことがすごく悲しくて…。ショックのせいか不思議な夢を見たの。ここではない世界で1人の女の人が生き抜くっていう夢。それを見て、このままじゃいけないと思って…」
リアが言葉を切り、私の目を見る。
「私、変わろうと思う。ジーク様に好きって言われるような…素敵な女の子になりたい」
こんな、リアは初めて見た。
「そっか…リアならなれるよ」
なんだか、置いていかれるような…急にそんな寂しさを感じた。




