母の愛。
私の文章力の無さで、上手く伝わらず申し訳ありません。アメリアは前世のダイジェストを知識として思い出しましたが、精神年齢は13歳のままです。13歳がほぼ失恋してちょっと達観したぐらいでしかありませんので温かい目で見てもらえたら・・・。
その後、お母様と2人だけでお茶会をして、私の戦略と今のところの経過報告、今後の展望について話をした。お母様は終始笑ってくれていた。
でも、ふと顔から笑みを消し、切ない顔で切り出す。
「リア、辛かったわね。ごめんね、一番辛い時に一緒に居てあげられなくて」
そう言ってお母様の胸の中に抱き寄せられた。
へ?
ツライ?
なんで?
今は最高の自虐ネタの時なのに?
お母様も笑ってくれてたでしょ?
ぎゅっと抱きしめられて宝物を撫でるように頭をひたすら優しく撫でられる。
「そんなに強がらなきゃいけないくらいボロボロに傷ついたんでしょ?自分を皮肉って、傷つけられるくらいなら先に傷ついてしまおうと。」
え、意味わからない。
その単語は口から発せられることは無かった。かわりに出てきたのは嗚咽だった。
「ぅぐ」
「傷つけられないように先に尖って。
お母様近くにいられなくてごめんね。よく頑張ったわ。」
「お、おかあ…さまっ…ひっ…ひっく、」
何でこんなに涙が出るか、何が悲しいのか自分でもわからないのにただひたすら咽び泣いた。こんなに泣いたのは、入学初日の日以来だ。
学園に入ってからずっと張り詰めていたのだろうか。
自分で自分の感情に蓋をして感じないようにしてたのか。
お母様の優しく甘い匂いのせいか。
長い間ぐちゃぐちゃに泣いた。その間もお母様の手がずっと私を優しく撫でてくれていた。
泣いて泣いて泣き疲れてぼーっとし始めた頃、お母様のまろやかな声が優しく降ってきた。
「大丈夫よ。アメリアの名前の意味はね、神の御業とか、愛される者。って意味があるの。」
ぽつりぽつりと落ちた雨が乾いた地面にゆっくりと染み渡るように、私の心にゆっくりゆっくりと染み渡る。心の奥までゆっくりゆっくりと。
そうか、私は愛されたくて泣いていたのか。愛されない自分を勝手に惨めだと位置付けて、エリー達の前で惨めじゃないんだとカッコつけてバリアを張っていたんだ。
愛されたくて、理論武装で喚いて。
優しさとか親切とかその他諸々を含んだ愛を、欲しいと叫んでいたんだ。
ジーク様のことでぽっかりと空いてしまった心の穴を埋めるために愛を欲していたのか。
ゆっくりと、でも唐突に分かっていく。手繰り寄せた一本の糸が後から分岐し、最近のいろいろな場面の記憶を連れてくる。ああ、なんて醜悪なんだろう。でも、不思議と全て受け入れられた。
私は前世の知識の上辺をなぞっただけで分かった気になって、傲慢に振りかざして過ごしていた。
私はどれだけ浅ましく、どれほど滑稽だっただろう。
何が恩を売るだ。
何が上目遣いだ。
急に恥ずかしくなっていく。
優しくされなければ優しくする事ができないのか。私が優しくある事と、相手が私に優しくある事は全く関係がない事なのに。私が優しくありたいから優しくする。それだけだったのに。
ライナスの顔が思い浮かぶ。
私は、弱い。誰かに何かを無償で与えられるような人間じゃなくて、ただひたすら「こんなにも傷ついたから傷をいやすのに愛がいるの、愛を頂戴」と関わりあう人みんなに強請るような浅ましい人間だ。いや、もしかしたら奪おうとしていたのかもしれない。
「・・・お母様はこんな浅ましい私を嫌だとは思わないの?」
「浅ましい?そんなこと全く思わないわ。リア、人は変われるのよ。」
「ふふふ。さっきも言ってたね。」
ああ、お母様の言う言葉すら皮肉にしか受け取れないくらい荒んでたのか。
「お母様ありがとう。私、これからは与えられる人間になるわ。優しくありたい。強くなりたい。1人でも立っていられるように。」
「そんな寂しいこと言わないでちょうだい、支え合って生きていきましょ。誰かに負ぶさるわけじゃなくね。」
「はい。・・・はい。誰かを支えられる人間になります。」
私はお母様と笑いあう。こんな風に何も意識しない笑みを浮かべたのは久しぶりかもしれない。最近の私はすべて自分の意志の元に笑顔を作り出していた。
前世の知識に性格が引っ張られたんじゃない。わたしが勝手にひねくれただけだった。
ジーク様とメアリーを見るたびに心が傷ついたり、ひびが入ったり、ひねくれて、ねじれて、汚れて、棘が生えて、決してもう綺麗な丸い心じゃないけれど、いびつでも乱反射が綺麗だね、って思えるようにこれからも磨き続けたい。そう思えた。
その日は夕食を食べずにそのまま寝たけれど、いつまでも心の奥が温かくて深く優しい眠りにつけた。
最初の方の話を少し修正しました。改行を入れたのがメインです。加筆した部分もありますが、話の内容は変わっていません。




