チーム結成。
ブックマーク、評価ありがとうございます。
初めての投稿だったので、嬉しすぎて手が震えました。
今日は入学して5日目の金曜日だ。
この世界も基本的には前世と同じで、月曜から日曜まであり、1日は24時間、1年は365日だ。学園の授業は月曜から金曜までで、土曜日はそれぞれが学園でサロン(お茶会)を開く。そして、日曜はお休み。
え?サロンて何?て思うかもしれないけど、これは貴族にとっては必須なのである。
今世の文明は、前世でいうと15~18世紀くらいのヨーロッパくらいでしかない。ネットもテレビもない。娯楽もそこまで発達していないし、新聞はあっても、大まかな報道や大衆受けするゴシップしかない。
なので、情報交換・情報収集の場としての夜会・茶会・晩餐会が大切になってくる。その一つ一つに、貴族らしく様々な細かいルールがあるのだ。
自分がどれだけのメンバーを集めることができるのか、どれだけの求心力があるのか、それとも、あちこちから招待が絶えないような人間なのか、貴族社会での己の価値を示さなければならない。この学園は、来るべき日に向けての予行演習の場なのだ。
とはいえ、1年生はそんなに深刻に考えなくてもいい。なかよしこよしでお茶して、先輩に呼ばれたら、よろしくお願いします~と愛想でも振りまいていればいいはず。
だってまだ13歳だもんね!私も営業スマイルは得意ですのよ。おほほ。
なんて、ね、気楽に考えていたのは私だけだった。
午後の法学の教室への移動途中に、アシュレイが少し真面目な顔で話題を切り出した。
「ねぇ?サロンのことだけど、これから5年間僕ら4人で共同運営しない?僕らやりようによっては、なかなかイイ線いくと思うんだ。それに、コート嬢もこれから1人では、そこの振れば音がするマラカスのような頭のアメリアを庇いきれないと思う」
「スチュアート様にそう言っていただけて嬉しいですわ。私も4人でやっていきたいと思っていたところでしたの」
「ふふっ。よかった。それじゃ、2人とも僕のことはアシュレイと呼び捨てにしてね。あくまでも、このメンバー以外には僕は名前を呼ばせる気はないから」
……もしかして、昨日ベティーにリア呼びを許したのはいけなかったの?
「俺のことはルドと呼んでくれ」
励ますようにルドが頭をポンポンとしてくれる。
同級生にしてはかなり背の高いルドを見上げると、温かみのある緑色の瞳が優しくこちらを見ていた。
ルド…お兄ちゃんみたい。
「リアのおかげで、アシュレイと仲良くできて光栄だわ!私のことはエリーと呼んで」
「おい、俺は光栄じゃないのか。…まぁ明日は、この4人で集まって今後の方針を決めよう。よろしくな、リア、エリー」
4人で和んだところで、前からきらびやかな集団が来るのが見える。
思わずひゅっと息をのんだ。
黒と金銀ピンクオレンジ……すぐに誰か分かり、心臓がドクドクと音を立て、呼吸が浅くなる。ごくりと唾をのみ、自分に何でもないと言い聞かせる。できるだけ深く息を吐き出し、ゆっくりと吸い込んだ。
毅然と前を向き、口角だけ少し上げる。なんとも思っていないように見えるだろうか?
ただすれ違う。それだけなのに。こんなにも苦しい。視線は前に固定するけど、視界の端でジーク様を見る。こちらに気づくだろうか?気づいて欲しい、その目に私を映して欲しい、そんな気持ちを表面上はおくびにも出さずすれ違う。
……ヒロイン以外はこちらに目もくれなかった。だけど、ヒロインの目がきらめいたのに気づいたのは私だけだろうか?
教室につき、席に座る。気にしないようにしてても、胸が痛い。
ふいに、頭をポンポンとされた。でも、いつものルドとは違い、手つきが何となくぎこちないような気がして視線をあげると、エメラルドのキラキラとした瞳があった。
なんと手の主はアシュレイだった。
びっくりしすぎてぽかん、と口を開けて固まってしまう。
「ふふっ。ルドがいつもしてるからどんなものかと思ってたけど、なかなかいいものだね。リアのバカ面は可愛いからね」
いつもの天使の微笑みではなく、神々しい微笑みだった。そのまま、頭を撫でてくれる。
「びっくりしちゃった。アシュレイにも優しさがあったのね…」
「……辛気臭いのが嫌だからだよ」
いつもこの調子だったら天使なのになぁ。天使みたいな美少年に頭を撫でられて凹んでいた心がふわふわと軽くなっていく。
「励ますのが下手過ぎるよ。……ありがとアシュレイ」
「まぁ、みじめったらしい君を見るのも楽しいけど。それにしても僕としてはあの女性のどこがいいのか全くもって理解に苦しむけどね」
「ふふ。もしかしたら近いうちにメアリーさんがアシュレイの元に来るかもよ?その時にわかるかもね」
「…しつこそうだからルドに追い払ってもらわないと」
「おいっ。便利屋扱いすんなよ?ああいうのは思い込むとしつけーんだから」
と、ルドがため息を吐く。
私はさっきまでの気持ちは吹き飛び、興が乗ってきてしまった。
「ね、なんて声をかけられるか賭けない?私は『君、人生ってつまらないな。って思ってない?』かな」
「バカは他の刺激を用意してあげれば、すぐにそれまでの事を忘れてくれるからいいよね」
アシュレイがにこりと笑う。
「ごめんなさい、調子に乗りました!」




