8羽
太陽が強くなって、風が強くなってそれから手が寒くなった頃に、俺は宮の家の前まで行った。
チャリをとめて、冷たくなって動きにくい手でチャイムを押した。
少し、待って、酷くいやになってから帰ろうと逃げようと思ったとき宮の家のドアが開いた。
「きてくれたのね?ごめんなさいね、朝早くにさあ入って頂戴ね。」
そう宮のおばさんは言ってくれた、張り詰めて一杯一杯の雰囲気がたくさん出ていた。
おばさんは白い色の封筒を渡してくれた。
見覚えのある封筒で、俺があの日おばさんたちに無理やり押し付けた封筒だ。
開いた後のある封筒がまるで重いなまりのように感じた。
何が書いてあるんだろう、俺に対して悪口なのかもしれない。
それとも他の奴の事なのかもしれない。
俺は必死に、自分のことが書いていないように、加害者になりたくない気持ちで一杯だった。
宮が死んだとか、そんなんじゃなくて、俺は汚い。
おばさんのせかすような目が痛くて
ゆっくりと動機のする胸をなだめながらゆっくりと、時間をかけて封筒から手紙を出した。
手から冷や汗が吹き出て、手紙が指の跡に沿ってふやけた。
手紙は
「お前に死ぬと言った。もしかしたら本気に取らなかったと思う。俺は冗談のように言ったから。
多分お前は俺と同じような気持ちなのかもしれないから。
今の俺には何もないし、皆みたいに夢とかわからない何もしたいことがないし、淡々と続く日々がこれからも続くかと思うと正直ぞっとする。
この先も不透明だし、やりたいこともない。何をしていいのか、わからない。
世の中は何も俺を必要としないし、いつも面白そうに騒ぎ立てているだけで、何の価値も感じないんだ。
今死ねればいいと思う、今幸せなんだ。だから死のうと思う。
胸の奥が燻っていてたまらないんだ。俺は汚い。皆見たいに夢だとか楽しみだとかそういうのがよくわからないし、誰かにどう思われてるだろうとか考えていたりする。
正直俺の中には何もないんだ。空っぽなんだ。それだけだけど
父さんや母さんや妹には悪いと思う、でもこの無気力な感情を消せないんだ。
皆によろしく。」
それだけの内容で、俺の名前が書いてなかったことに少しほっとするのと
そうだな。と思う気持ちが深くあった。
封筒を強く持つとまだ硬い感触があって封筒から、
1枚愚か者のカードが出てきた。
あいつは自分も周りも愚か者だといいたいんだと思う。