6羽
立ち尽くしたまま、宮のニュースをひたすらじっとにらむように見続けた。
「あんた何やってんの。」
そう後ろからいきなり母さんから呼ばれた。
「なんでもない」
テレビの電源を切って、俺は2階の部屋に向かった。
部屋に戻って私服に着替えて、ベットに転がってみた。意味なんてない。
悲しいのかむなしいのか、胸の中に蟠りの様な不安に駆られるような、ゴミ箱に投げられたつぶれたごみの様な気分になった。
宮は、笑って俺に死ぬといった。
何気なく。当たり前に、まるで明日も続く日々があるようにそれがただ死だったかのように。
あいつは笑った。
あいつの笑う顔を思い出すと少しチリチリと胸が痛んだ。
あいつの死顔を見ても俺は何も感じなかったのに。
宮はいつ灰になってくれるんだろう。
現実にそして、俺の記憶から、チリチリとなって風に吹かれたら一瞬で飛び去るくらいの
灰に、早く変わってくれればいい。
俺は、そうただただ目をつぶった、まるで感情がボコボコと凹んでひどくゆがんだ道を歩いているようにしか感じられなかった。
この気持ちは、大事に飼っていた犬を亡くした時のように、ひどく不安定で
そして悲しいともいえない、俺にはわからない感情だった。
ただひどく胸がチリチリと焦げあがりむせ返りそうなことだけは確かだ。
気がつけば、俺は眠っていたらしい。
遮光カーテンのわずかな隙間から眩い光が目に酷く痛い。まだ時間はあると思ってまた眠りに落ちる寸前に、ふと宮の顔が浮かんだ。
目の前の眠気がただもやもやと膨らんで、そして嫌悪に変わっていく。
ただ俺は何に嫌悪しているのかわからなかった。
宮は、いつ灰になって、消えてくれるんだろう。
そればかり俺は願っていた。何故だか俺にもそれはわからなかった。