第3話 心にある穴のような感情
心に穴が空いているみたいに。
寒くて、孤独で、苦しくて。言い表すことが出来ないほどの嫌悪感が私を包む。
そんなことが私にもあった。
私はエルフとしてこの世に生を受けた。
家族構成は父と母、それから4人の兄弟達。
私は1番上の長男だった。
長命種族であるエルフはよっぽどのことがない限り死ぬことがない。よって、急激に増えることも減ることもない。
私の母はエルフとしては珍しく、5人の子宝に恵まれた。
父も心から喜び、どの子供にも同じくらい厳しく、そしてエルフとは何なのか、世界とは何処までをいい、命の始まりと終わりについて何度でも教えてくれた。
父も母も私達を愛してくれたと思う。
けれども、エルフとして百年を学び、二百と三百を過ぎた頃。
私は自分の心の穴を見つけてしまった。
それは見つけた瞬間から、寂しくて暗くて寒かった。
自分を抱きしめてみても寂しさはますばかりで、誰かに抱きしめてもらっても誰かを抱きしめても、私の中の暗いものが違う!と叫ぶ。
穴は小さくなることはなく、意識すると大きくなりどうしようもなくなる。
意識しなければ変わらない穴はこれからも私の心に居座るのか……。
いつしかこの穴を嫌悪するようになった。
穴を見つけてからは他の気持ちで誤魔化すようにした。
魔力の高いエルフは魔法に特化している者がほとんどで、私も生まれながらに魔法の才を持っていた。
だから
魔法をもっと深める為に他国に行ったり、変わりものと名高い二つ口の魔女の所にも行き魔法の知識と薬の知識を深めた。
二つ口の魔女がある時こう言った。
「もう気がついてもいいんじゃない?あなたのその感情は番〈つがい〉という存在でしか満たされない」
番が私にもいるのだろうか?
「フルツホルツの森はどう?少しは気が紛れると思うの。それに……「ああ、始まりと終わりの場所だ」
本当にこの穴はその番の存在一つで埋まるのか?
「行ってみる」
あとどのくらい待てばいいのか、私は番に会えるのだろうか?
ダヴィーラは魔法陣を構築して森へ消えた。
魔女はため息を吐いた。
「愛想のない子」
エルフはこうと決めたことを突き通す。
自分を貫くのは良いことだと思うが、他人〈ひと〉の話を聞かないことがあるのは困りものだ。
寿命は長いのだからのんびりどっしり構えて居られないのか。
次に会うことがあったら説教でもしようと苦笑いの魔女だった。




