第2話 回る少女はお転婆で
天気の良い、森のいつもの風景。
フルツホルツの森は今日も太陽の光を受けて木々やそこに棲む生き物たちは気持ちよさそうだ。
少女の笑う声も森に響く。
回ると広がる、森によく似た緑色のワンピースを揺らしながら木の葉が舞うように森中を駆け回る。
「ダヴィーラァ!早くー!」
少女は森を歩き着いてくるエルフの男を急かした。
エルフは名前をダヴィーラという。
サンドイッチとスコーン、紅茶の入った保温効果のある竹の水筒が入っている籠を抱えている。
「リル……セリエム!赤い実の木は逃げない、どうせあれのことだ!眠りを堪能している!」
ダヴィーラと少女の距離が空いている為、少し声を張らなくてはならない。
少女の名前はセリエムと言った。
足元に気をつけてとダヴィーラが言う。
わかってるとセリエムは返す。
森と似た色を着ているせいか森の妖精がいるみたいだと錯覚してしまう。
天気の良い日は決まって赤い実の木の根元に座って食事をとることがセリエムが来てからのお決まりになっている。
目的の木まできたセリエムは木の前でひと回りした。
「見て!今日のワンピースは森と同じ緑色なの!」
セリエムは回ると広がるワンピースがお気に入りなのだ。
『わぁ、素敵!私も着てみたいわ!ダヴィーラってワンピースも作れるのねぇ』
惚れ直しちゃうわと木が葉を揺らしながらはしゃぐ。
褒められたセリエムは満足げだ。
ふふふと笑いが止まらない。
後から追いついてきたダヴィーラは木の根元で黙々と食事を広げる。少しだけ口角が上がっている。
セリエムはダヴィーラを見つめて、彼の元に駆け寄る。
「ダヴィありがとう!」
未だ笑うセリエムは花びらのようにふうわりとダヴィーラの後ろに抱きついた。
「ああ」
自分より小さい彼女の体温や呼吸が背中に伝わる。
セリエムの喜びがダヴィーラの胸に太陽の光のように森の緑が鮮やかに濃くなるように軽やかで楽しげに踊る。
何気ない彼女のひと言や仕草、表情に一喜一憂する。
長い時間を生き続けるのも悪くはないと思うダヴィーラだった。




