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第10話 目を開ける かき分ける
目を開けるとまた糸に包まれていた。
いつまでも包まれていたいと思う気持ちといつかは出なくてはという気持ちになっていた。
人だった頃の感情が彼女の邪魔をする。
それは、痛くて辛いということ。何故そんな感情を覚えているのか?
わからないはずなのに糸をかき分けて外に出るのは、怖いと思わせる。
けれど、眠りから覚めて起きた彼女の体は少し成長していたのか眠る前より狭い。
このまま成長を続けるのだとしたら狭すぎてずっとはいられないと思った。
これ以上狭くなるまえに出るのだと、糸をかき分ける。