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6-16 よふかし

明日も投稿します。明日はエイプリルフールですが、本当に投稿します(断言)



「夜更かし・・・ですか?」

「ええ、夜更かしよ。小さい頃やらなかった? ああ、高校生ならテスト前に徹夜とかするのかしら?」


ユートは早寝早起きタイプだ。徹夜したのはせいぜい修学旅行の時くらいのもので、基本的には早く寝ることが多い。寝てないことを自慢するのは余り好きではないし、何より体調管理は大事だからだ。


壁に掛けてある時計を確認すると、短針は午前十一時を指していた。外が魔界なせいで、明るさで時間を察することは難しい。


「今日は眠ったら女神に会うでしょう? それは私たちの調査上、翌日の六時までだとわかっているわ。それを防ぐため今日は寝ずに、六時まで起きておいてほしいの。私たちも毎週必ずそうしているわ」

「どうしてですか?」


どこから説明しようかと考えているらしい夏芽さんを手で制したのは稔さんだった。


「んじゃ、それは俺が説明しようか。夏芽は昼飯の準備でもしてくれ」

「わかったわ。それじゃあよろしくね」

「ゼフィーも手伝うよー!」

「任せた。じゃあちゃっちゃとやるか」


作業服のような厚手の上着のポケットから羊皮紙でない紙とボールペンを取り出し、何やら書き始めた。


「俺たちがどうやってこっちの言語、つまりそこの亜人ちゃん――シューミルちゃんだっけか? と同じ言葉で話しているかわかるか?」

「えっと、詳しいことはよくわからないんですが、文字を見たり言葉を聞いたりすると勝手に頭の中で翻訳されているような気がします」

「そうだな。俺たちもそんな感じだった。それが記憶の書き換えによって出来ているってことも知ってるか?」

「はい、聞いたと思います」


紙には天使と悪魔、それと人間の脳の絵が出来上がっていた。


「じゃあ仮に俺たちに転生の話を持ち掛け、こっちに送り込んだ女神という存在が良い存在だったとする。それが俺たちの脳ミソを弄繰り回して、言語を習得させているわけだ」


天使から脳に矢印をひっぱり、知識、と書く。次にボールペンが指したのは、悪魔だった。


「で、これは知らない情報だろうが、この邪神の地には、邪神が封印されている。――と言っても一見ただの岩なんだが―――、邪教徒はそれの力に縋る奴らだ。邪神の力を得るには、その岩に触れるといい。するとどうなるか。答えは簡単、何らかのスキルを得られる、だ」


悪魔から引っ張られた矢印に書かれたのは、スキルという文字だ。


「余談だが、スキル名表示は《邪神の恩恵》だ。俺たちの《女神の悪戯》とは違うから安心していいぞ。スキルはいきなり体になじんでいたかのように記憶される。これを説明するには女神の時と同じく、脳に書きこまれた、と言うのが妥当だよな」


二つの単語を丸で囲み、イコールで繋げる。そして今度はもう一体天使を書き、そこに悪魔と同じ顔を書き加えた。


「で、だ。毎週顔合わせて記憶回収してるのが本物の女神じゃなくてその過去だって言ってるのは知ってるな? どんな奴がいた?」

「えーっと、最初は保健室の先生で、次が中二病、その次が喫茶店の客で、そのまた次が本物、最後は占い師でした」

「おっ、やっぱり自称本物に会ってたか。じゃあ〔意志〕は貰ったな?」

「はい、受け取ってます。多分アレがなかったらもう死んでるかと」


そりゃあ災難だったな、と言いつつ三体目の上に本物と書き込み、今度は矢印に意志、と付け加える。


「そのスキル、どんなスキルだった?」

死の欲動(トーデストリープ)というスキルで、体を勝手に動かして戦ってくれて相手を無力化してくれるスキルでした」

「なるほど。それであの騎士相手に生き延びていた、と。お前たちが脱出した後、相手になって時間稼ぎしていたのは俺なんだからな?」

「そうだったんですか。あっ、あとその前に兵士たちと戦った時にも使ってます。このスキルがなかったら兵士全員を気絶させるなんて出来ませんし、そのまま処刑されてましたよ」

「死線くぐって来てるんだなぁ・・・って、どうした? 顔色悪いぞ?」


稔さんの視線の先には青ざめたシューミルが立っている。


「ご主人様・・・?」


疑うような、そして怯える様な視線をこっちに向けてくる。


「どうした? シューミル」

「い、いえ・・・なんでもないです」


俯いて黙ろうとしたシューミルに、何かを察した稔さんが動く。


立ちあがって、両の手で肩をつかんだ。表情は真剣そのものだ。


「何らかの問題が起きていることはわかった。それはきっと俺たちが危険な目に遭わないための大事な道しるべになってくれると思う。もし話しにくいことだったら悠斗にだけでいい。話してくれないか」


困ったように、おどおどとした視線をこっちに向けてくる。


「ああ。良かったら稔さんにも話してやってくれ」

「・・・・・・はい」


決心したように拳を握り、大きく息を吸って言う。


「兵士と戦った時、ご主人様は、全員・・・・殺しています」


殺・・・・・した?





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