5-7 最低の裁定
どうも。
学年末テストで死にかけているので、次々回の投稿はなくなるかもしれません。次回報告します。
あと息抜きに書いている恋愛ものが進んでいるので、近々そっちがお披露目になるかもしれません。短編ですから別にこっちに差し支えは無いですけど。
それでは、本編どうぞ⋂(・ω・)⋂
「さて、君たちが恐れ崇めていた守り神様はもう生贄を要求しなくなった訳だけど」
「―――――――はい」
マッドブッチャーが帰ってからすぐ、村人を先程の戦闘で崩れてしまった広場に残らず集めて、正座させている。反省会―――いや、説教会の始まりだ。
「俺の手で全員の命が救われた、ってことで何かないの?」
「申し訳ありませんでしたァーッ!!」
村長が土下座する。
「そんな顔して実際の所、いい気になりやがって、とか思ってるんじゃないのか? ええ!?」
「すみませんでしたァーッ!」
村長に見習って、残りの村人も全員土下座する。ふふ、いい気分だ。
「じゃあ、責任取ってもらおうか」
えっ・・・とざわつき始める。何人か頭を上げる者もいた。
「刃向かう気? それとまだ頭上げていいなんて一言も言ってないんだけど?」
ぴたりと止んで、また頭が下がる。
「ご主人様・・・・」
シューミルが困ったような顔でこっちを見ている。
―――――――いや、こんなことさせるために集めたんじゃないよ?ほんとに。
「私たちに出来ることなら、何でも致しますので、どうか気をお収め下さい・・・・」
村長が泣きそうな声で頭を地面に擦り付けんばかりに下げる。コイツは人望無いくせに実は村のことを一番考えていたりするのな。いいリーダーじゃないか。人望無いけど。
「うんうんそうか。それならよかった。それじゃあ好きに言わせてもらおうか。一回しか言わないからよく聞け。まず、馬車の車輪を直してもらおうか。ああ、変な真似はするなよ?」
村長が合図を出す。一人文句を言おうとしたが、村長が怒鳴り返していた。
「完了致しました」
すぐに戻ってくる。よしよし。
「じゃあ次は、壊れた部屋のがれきを片付けて。そこに出来るだけ綺麗な宿泊施設を建てること」
「・・・・・・へ?」
困ったような反応をする村長を無視して続ける。
「出来るだけトイレとか水回り関係を整備すること。寝床もしっかり作ること。残りの人は昼は村全体の掃除、夜は料理や接客を学ぶこと。接客はリュートの国のモーガン奴隷商に行って、これを渡せ。きっと良い先生が来てくれるだろうな」
羊皮紙に厳しい先生をつけてチェーン化するよう頼む旨を書き綴り、サインをして村長に投げ渡す。
「ここは周りに宿が無い。昔から商人や冒険者が通る道なんだから、ここを宿場町とすれば必ず暮らし向きはよくなるはずだ。守り神に祈らなくて済む程度には、な」
「で、ですが・・・・」
「お客様には口答えするなと習うだろうな。さっき何でもすると言っただろう? 客をもてなしてこその良い宿だぞ?」
「は、はぁ・・・」
きょとんとしている村長に、さらに畳みかける。
「まさかよそ者が何を抜かす、なんて思っていないよな? 気づいているだろうが、俺はモーガン商店の関係者だ。本物の宿というものを知っている。それに、しばらくしたらここに戻る予定もある。もし変わっていなかったら・・・どうなるだろうな?」
すっかり唖然としている村長に、トドメの〈鬼神の魔眼〉。想像以上に効果があったのか、泡を吹いて倒れてしまった。
「それが俺が皆殺しの代わりに要求する事項だ。わかったらさっそく役割を分担しろ。昼になったら建築に取りかかれ。それと、総責任者は村長に一任するが、お前らにも責任は降りかかることを忘れるなよ。わかったら顔を上げて返事!」
「「はい!」」
「声が小さいぃッ!!!」
「「「はいぃッ!!!!!」」」
「よろしい。お客様は神様だ。食い物にするんじゃないぞ」
馬車の方に向かい、車輪を確認する。しっかり留まっていた。
「行くぞ、シューミル」
「は、はい!!」
ざわついていたが、そのまま馬車に乗り込んで、馬を走らせる。日はやっと、明けようとしていた。
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「変だったか?」
あれから三十分ほど。シューミルはずっと俯いて考え込んでいた。
「変です」
即答だった。やっぱソレ、何度言われてもぐさっとくるなぁ。
「・・・・どの辺が?」
またしばらく考え込んだ後、閃いたような笑顔で答える。
「急に態度が大きくなったり、と思ったらみんなのためになることを提案したり、結局その儲けをモーガンさんの方に回そうとしたり、ともかく全部です」
・・・・まあ、はい。そう並べられると納得しました。ごもっともです。
「けど、悪くないかもしれません。恨みとか報復とか、そんな人の汚いところから離れられることは、いいことだと思いました。私には、きっとできないことだと思うので・・・」
「そうか? 俺だって今度来た時にあそこに宿があったら便利だなーって思ったから言っただけで、別にあいつらのことを考えたつもりは無いぞ? お金に困ったらせびりにいくかもね」
「そ、そうですか・・・・」
そんなことを話していると、太陽が地平線の端から昇ってきた。暖かく、力強いその光は、どこか安心感があった。
「いやぁ、捕まった時は正直もう朝日は拝めないかと思ってたが、なんとかなるもんだな」
「そうですね。ご主人様の知り合いの方でよかったです。ご主人様が話しかけるまでは、もうだめだー、おしまいだー、って思ってましたもん」
「ついてきたこと、後悔した?」
「うーん・・・・そんな余裕はなかったと思います」
「それはよかった」
光を浴びているはずなのに余計に眠くなるという不思議な現象が起きたので、昼頃まで仮眠をとることにした。今回の一件のせいで多少予定より遅くなっているが、大事をとるべきだろう。
シューミルが見張りをすると言ったが、それもそれで悪いので一緒に寝ることにした。実は抱き枕としてもふりたいという邪な考えがあったりするが、黙っておいた。
「おやすみ、シューミル」
「はい。おやすみなさい、ご主人様」
五分と経たないうちに、ユートは眠りに落ちた。村の宴会の時とは違った、自然で、暖かい眠りだった。
意識しないうちにシューミルちゃんが毒くなってますが、これはあくまで「ご主人様に嘘は吐けない」という忠誠の現れです。ええ。そうですとも。
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