4-1 代償と報酬
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
四章は準備的ななにかです。またーり出来るはず、今度こそ。
あと、魔法についてもうちょっと深めて説明します。
「痛てぇ・・・・・・・・・・」
目覚めてすぐに、全身の痛みを知覚する。予想通り、筋肉痛である。
「まぁ、昨日あんだけ動けばそうなるわな・・・・・」
寝る前に軽くストレッチでもしておけばまだましだったのだろうが、色々ありすぎて帰るのが遅かったこともあり、すっかり失念していた。
ただ、それ以上に腹が減っている。よく考えたら最後に何か食べたのは昼にシューミルを探しながら少しつまんだ時だったからな。まともな食事は丸一日弱摂っていないことになる。
「取りあえず朝食でも貰いに行こうかな・・・んしょっと」
体を起こす。シューミルは先に起きていたようで、メイド服に戻っていた。
「あ、おはようございます、ご主人様」
「うん。おはよう。・・・・・・少しくすぐったいな」
「?」
「————いや、様付けで呼ばれるとかなかったからね」
畏まった敬称付けで呼ばれることなんてなかったし、あっても先輩くらいだ。改めてそう呼ばれることに違和感を覚える。
「では、いかがしましょうか」
「あー、どうだろ。何かレパートリーないの?」
「後はユート様って呼ぶか・・・旦那様、お兄様、先生、とかでしょうか?」
やっぱり様はつくんだな。先生も別に医者でも作家でも何かを教えているわけでもないし、それも趣味で呼ばせてるみたいでアレだよなぁ・・・・
「やっぱりそのままでいいや。俺が慣れることにするよ」
「はい。かしこまりました」
「ところでシューミル、お腹空かないの? 俺は今から朝飯にいくつもりだけど」
シューミルは昨日の朝からいなかったので、丸一日以上食べていないことになっている。
「・・・・えへへ、実は、かなりお腹がすいていました」
「だろうね。んじゃ、一緒に行こうか」
「はい」
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「おはようございます、モーガンさん」
「おはよう、ユート君。何やら動きがぎこちないようだね」
「昨日散々走り回ったせいで筋肉痛で。モーガンさんは元気そうじゃないですか」
「ああ。昨日やっと居なかった分の仕事が終わってな。ちゃんともう君に渡す分の報酬も準備してあるよ」
いつも通り大量の朝ご飯をつぎ分けるモーガンさん。それでもスタイルがいいのが何故なのかかなり不思議になる。ちなみに奴隷は別の場所で食べるのが当たり前らしく、シューミルは他の奴隷たちと何処かに行ってしまった。
「あっそうだ、もしモーガンさんが今日も時間あったりするのなら、魔法を教えてくれませんか?」
「構わないけど、依頼はいいのかい?」
「報酬頂けるのならお金に困ることもないだろうと皮算用してますし、なにより今日は流石に体が動きそうにないです」
「ふふふ、それもその通りだな。報酬を渡し終わったら、教えてみようか。いろはから始めたほうがいいかい?」
「本を読んで【射撃】だけは使えるようになりました。治癒魔法とか使えたら便利かなーって」
「その呑み込みの早さに期待しておくとしよう」
それからしばらく他愛もない話をして、食べ終える。今日はいつもに比べて気持ちモーガンさんが食べ終わるのが遅かった気がする。
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「これが今回の件すべての報酬だ。盗賊のこともシューミルのことも、深く感謝している」
「どういたしまして」
革製の丈夫な袋を受け取る。中には銀貨が数枚と銅貨が入っていた。一番価値の低い賤貨を一円として、銅貨は一万円分、銀貨は百万円分なので、かなりの金額が入っていることになる。
「いいんですか?」
「君が助けてくれた奴隷の総額を聞きたいかい? 私ならその額には不服を申し立てているだろうね」
「えっ!?」
「ふふふ、だからもう一つ、準備してある。窓を見てくれ」
指された通りに窓の外を見る。そこには立派な馬車があった。
「あれは一人乗りだっただろう? シューミルを乗せるのならもう少し広いほうがいいと思ってな」
確かに、荷台に乗せるのもどうかとは思うし、何よりそれでは荷物が乗らなくなってしまう。その視野の広さは素直にうらやましいと思う。
「これで全てだ。これでいいかい?」
「はい。 ありがとうございました」
「これからもいい取引ができることを私も願っているよ。ところで魔法を教える件の授業料の話だが・・・・・・」
「えっ」
「ふふふ、冗談だ。私もプロというわけではないのでな。さ、庭の方で教えるとしようか。厳しくしてもいいか?」
「お、お手柔らかに・・・・」
モーガンさんの後につけて、庭へと向かうのだった。




