3-9 薬師の懇願
ここに感想くれってかいたら「だ が こ と わ る」って感想貰っている人が居たので、僕にも下さい(便乗)。
「薬屋か・・・・・」
商業区に競うように置かれている看板を見ながら、ふと自分が文字が読めることを意識する。
もちろん、そこに書かれている文字は日本語ではない。なんだかよくわからないものが並んでいる。それを読もうと思えばすぐに、日本語になって脳内に入ってくるのだ。
確か、案内天使のリュミさんが話すことに対しても同じ処理が行われるとか言ってたけど・・・・・・全言語に対応しているのかな?
だとしたら通訳として仕事することもできそうだし、動物と話せるとか、誰も解読できなかった文章とかがあれば読めるのかもしれない。
そもそも、このリュートの国と前にいたルーシェル王国とでは言語が違うのかどうかもわからない。冒険者ギルドは全国共通とのことなので、ひょっとすると統一されているのかもしれないな。
実際に生活してみると、かなり不明な点が出てくる。つまり案内が不慣れだとわかるのでリュミさんが新人であることを考慮してもマニュアルとかあるだろうし、そのマニュアルすら不完全と推測すると・・・・
「同じく転移した人間の絶対数は、かなり少ないということなのかな・・・・・?」
「なにやら不思議なことを言っているアルね。今日は亜人の子とは一緒じゃないアルか?」
突然、話しかけてくるチャイナドレスのエセ中国語使い。どこかで見たような・・・・・・・
「あっ、リンリンアルさん。こんにちは」
「まだ言ってたアルか・・・私はリンリンアルじゃなくてリンリンアル」
「そう言えばこのエセ中国語も翻訳されて聞こえているわけだよな。一体どんだけ不思議なチョイスなんだろうな・・・」
「話を聞くアルー!」
リンリンアルさんが急に怒り出し、ぽかぽかと幼女パンチを繰り出してくる。
「うんうんわかったって。で、リンリンアルさん、何の用ですか?」
「私はリンリンアルじゃなくてリンリ・・・・ってそうじゃなくて、私はそこの店で」
「そうだ、こんなところで油売ってる場合じゃないんだった。薬屋を探さないと」
「えっ、薬を探してるアルか?」
「風邪薬をね。それじゃあ、また今度にでも」
「ちょっと待つアル!!」
凄い気迫で肩を掴まれる。リンリンアルさんのつややかな黒髪が、ぴょこんと揺れた。
「今薬を買っても大損するだけアル。私と一緒に薬草を取りに行けば手伝い料として半分あげるアル」
「また胡散臭い話を・・・・」
「胡散臭くないアル! 少し前に王族が病気になって、薬が集められているアルよ。そのせいで値段が跳ね上がって大変アル。私は薬草のある場所を知っているアルけど、そこは魔物が出て大変アル。そこで、君が手伝ってくれたら、半分あげるアル」
目は真剣だ。信じてもいいかもしれないけど・・・・・
「あまり時間がかかるようなら買ったほうがいいかもと思うんだけど」
「魔物は出るけど結構近場だから問題ないアル。ここを知っているのは私だけアルから、協力するなら今のうちアルよ」
キメ顔で親指を立てる。そういうのが胡散臭いんだよな・・・・・・・・
少し嫌そうな顔をしてみると、リンリンアルさんは涙目でこっちを見てくる。情に訴えるな。チワワか。
「ま、いっか。半分もらえるんだよね? 手伝うよ」
「本当アルか?」
「うん。よろしく。リンリンアルさん」
「だから私は・・・・・いや、もういいアル。よろしくアル」
こうして、臨時パーティーが結成されたのだ。
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「こっちの方アル。もうすぐアルよ」
リンリンアルさんの言うとおりに森の中を歩く。
頼まれた薬草の名前はもう伝えてある。リンリンアルさんの言っている所にもたくさん生えているそうだ。
「もうすぐアル。魔物が出たら対処は頼むアル」
「わかったけど・・・その魔物ってどんな奴なんだ?」
「この位の大きさの肉切包丁を持った、マッドブッチャーって奴アル」
リンリンアルさんが示した肉切包丁の大きさは、背丈ほど。あの盗賊の首領が持っていた大剣よりも一回り大きい。
いや。それ駄目なやつでしょ。しかもマッドブッチャーて。冗談じゃない。
「よし帰ろう」
「ままま待つアル! このまま帰られると私が困るアルよー!」
「いやいや、そんな明らかに戦っちゃ不味いような魔物がいるなんて聞いてないぞ。俺は諦めて帰らせて・・・」
そこから先に、言葉は出てこなかった。
「グオォ・・・・」
目の前に、それと思しき大剣を担いだ獣が、屹立していたからだ。




