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0-3 新人天使が教える世界の理

「えっ、えっと、今回あなたのナビゲーターを務めさせていただきます、リュミと言います。新人なので至らぬところもあるとは思いますが、よろしくお願いします」


ナビゲーターとして送られてきた彼女は、ぺこりと頭を下げた。首にかけられた『新人』と書かれたカードがゆらりと揺れる。


「うん。じゃあ質問したいことはその都度聞いていくから、説明よろしく。僕は柊悠斗だ」


「はい。それでは説明させていただきます。今回柊様が転生されますのは、どのような世界がよいでしょうか?」


世界を選べるのか。ますますこっちを選んでよかったと思った。


「因みに、地球に戻るって選択肢は?」

「すいません。それは不可能となっております。知力主義の科学が発展した世界や、実力主義の世界など、たくさんあります。人種も、人間のみ、獣人のみ、混合などかなり自由です。悪魔のみなんてものもありますが」


獣人オンリーとかモフモフ度高そうだな。


「他に担当した人っている? 大多数が気になるんだけど・・・」

「すいません。私が担当したのは貴方で五人目なので何とも言えませんが、残りの四人は全て同一の世界を選択し、転生しました。その特徴としては、文明は中世程度、魔法、魔物、獣人やエルフ等も存在する、雑多な世界です。そちらの世界で言う、ふぁんたじい?というのに値するそうです。皆、そう言ってました」


おおう、それそれ。ガリ勉至上主義の世界なんかに転生したらまずいとこだった。悠斗の成績は決して悪くはないが良い方とは言えないのだった。現に今まで通っていた高校も進学校ではあるが、体操を使って特進したので勉強で受かったとは言えない。


「じゃ、それでお願いします。人種はどうしますか? 女性や獣人や魔物になることも可能ですが」


それもいいかもしれないが、獣人が差別階級だったりしたら過ごしづらいかもしれない。女性もそこはかとない魅力を感じたがパスだ。


「いえ、人間でいいです。人間も魔法は使えますよね?」


「はい。大丈夫なはずです」


「はず? ちょっと心配になるんだけど・・・・」


己の失言に気付いたのかリュミさんがぱたぱたと手を振って否定する。


「いえいえ! この前担当した方がたまたま魔力が使えない人だっただけで、他の人は大丈夫でした!」


「それならよかった。ところで、どんな人だった?」


「えーと、凄く怖い人でした。キツネみたいな目をしてて、背が高くて、声が低い人。ああ、確か長い銀髪が特徴的だったと思います」


地球人で銀髪か。珍しいな。


「えっと、それでは次に行きたいと思います。向こうの世界ではステータスというか、自分の能力を数値化したものを表示することができます。それについてです」


おっ。ちょっと楽しみだけど、ここでめちゃくちゃ弱いですね、とか言われた日には落ち込んで三日くらい寝込んでしまいそうだ。


「それでは、目を瞑って、じっとしていてください――――――《天使の明晰》―――――――完了しました。これが柊様のステータスとなります」


ユート ヒイラギ/男性-17歳

体力 170/170

魔力 15/15

腕力 47

知力 63

敏捷 72

耐性 40

スキル

《身体術Lv14》(敏捷強化・回避小上昇・体力強化)

《剣術Lv1》(剣威力上昇・剣耐久上昇)

《女神の悪戯Lv1》(鬼神の魔眼・連鎖する四肢)

《再生力Lv1》(体力自動小回復・魔力自動小回復・状態異常回復)


おおう。スキルとかもあるのか。


「あの・・・・・どうですか?」

「どうって言われても平均とか解らないから何とも言えないんだけど・・・・・オラ、ワクワクしてきたぞ」

「そうですね。それでは早速、説明に入らせていただきます」


リュミさんはミラと違って日本文化に疎いのだろう。渾身のボケをスルーされて多少傷ついていることに気付かないまま、リュミさんは説明を始める。


説明の結果、次のことがわかった。


ステータス・・・各能力の高さを数値化したもの。向こうで何らかのギルドに入り、ギルドカードを発行してもらうことで見ることができるようになるらしい。身分証明書として使うこともある。各能力はそれに見合った行動をとれば上昇するが、年を取ると少しづつ落ちていくらしい。


体力・・・文字通り体力。これが無くなると死ぬ。一般成人男性で150程度。


魔力・・・MPみたいなもの。魔法を使うと減る。魔力を消費するスキルもあるとか。一般成人男性で25程度だが、魔法職についているなど、MPを大量に使う環境にいると簡単に上がるらしい。


筋力・・・腕っぷしの強さを表す。一般成人男性で50程度。


知力・・・頭の良さを表す。これが高いと魔力の威力が上がりやすいらしい。一般成人男性で50程度。


敏捷・・・素早さを表す。一般成人男性で50程度


耐性・・・毒や病気や呪いなどの状態異常への耐性を示す。100が最大値で、一般成人男性で50程度。状態異常になると上がりやすくなるとか。


スキル・・・発声することによって発動するもの、常に発動しているもの、条件を満たすと発動するものの3パターンがある。上級者は発声無しで発動できるとか。大体の人間は才能スキルと技能スキルを一つづつ持っていて、最大は99とされているが、それを使う職業に就いた人間でも、30~40が限界。


《身体術》・・・運動能力を強化する悠斗の才能スキル。常に発動しているものが多い。~強化計は常に発動で、基礎ステータスに倍率がかかるのだが、回避小上昇はランダムで発動して攻撃を躱してくれるらしい。


《剣術》・・・剣を扱う技能スキル。常に発動するものもあるが、レベルが上がると意識して発動する技を手に入れられるらしい。


《女神の悪戯》・・・女神の気まぐれによって与えられる追加スキルで、人によって能力は様々。現地人にもこのスキルを得られる者はいて、加護持ちと呼ばれるらしい。大抵の能力は強いので、加護持ちは重役が多いらしい。


《再生力》・・・回復能力を高める追加スキル。女神が与えるもの。状態異常回復は直りを早めるだけで、かかりにくくはならないらしい。



・・・・・・これ、かなり強いような気がする。能力も腕力魔力耐性以外は平均超えていて、スキルも4つある。世界最強とまではいかないかもだけど、平和に暮らすには十分そうだな。


「嬉しそうですね。まるで二十年前案内役に任命されたときの私みたいです」とリュミさんが笑う。


「って、二十年も新人なんですか!?」


リュミさんは少し首を傾げた後、「ああ、百年間は新人ですよ?」と言った。


その瞬間、時間が少し凍り付く。


「え。リュミさんって何歳なんですか」


「私ですか?まだ1942歳、未成年なんですよ? 老けて見えますか!?」と心配そうに聞いてくる。生まれたころはまだ日本人土器とか作ってるぞ。天使の時間感覚が怖い。


「た、楽しみなので早く向こうに送って下さい」


どうなんですかと訊いてくるリュミさんを無視して、俺はそう頼むのだった。






次は木曜日になります。基本木曜・日曜の9時に投稿します。もたもたしないで次には転移するはずです。

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