表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/104

2-10 おもてなしは裏を隠さない

※2-6 奇妙な共闘にて、指摘がございましたので、多少の追加説明を加えています。盗賊が寝ている部屋に入った時に、盗賊を無力化するため吸魔の奪撃で昏倒させました。

昨日はブクマ・評価・感想など色々増えていたようです。非常にありがたいことです。

これからも頑張っていきたいと思います⋂(・ω・)⋂

「うーん、落ち着かない」


案内された部屋のベッドに座って、一人でつぶやく。誰も来ないことを確認して、持ち物は(身体収納(ストレージ))で戻してしまったので、装備品も少なく、身軽ではある。疲れているだろうと思いベッドにダイブしてみたが、石鹸の良い匂いとふわふわの触感が返ってくるだけだ。


確実に寛げる空間ではある、はず、だが・・・・・・


「落ち着けない。・・・俺ってこんなに落ち着き無い奴だったかな・・・・?」


確かに几帳面なほうではなかったし、部屋が散らかったりはすることは日常茶飯事だったが、散らかって居ないと落ち着かないほどではなかった。


では何が原因なのかというと、端的に言ってVIP待遇過ぎる、ということだ。


部屋の広さ、年季の入った品の良い調度品、その他諸々が、「金かかってますよー!」といった雰囲気を醸し出してくるのだ。


そして極めつけに、隣に置かれたベル。何か用があったらこれを鳴らせと言われたが、いかにもお坊ちゃま感があって、非常に使い辛い。


「もはや怖いな・・・・・・」ベルを音が鳴らないように注意しながら手に取って、しげしげと眺める。


・・・・・・ダメだ。使える気がしない。


「ユート様。夕食の用意が出来ま「うわああああああ」


呼んでもいないのに突然ドアの方から声がして、驚きのあまりベルを取り落としてしまう。


「ユート様、大丈夫ですか?」

「うんうん大丈夫大丈夫、すぐ出るから待ってて!」


慌ててベルを元の場所に戻し、ドアを開ける。


そこには、日本のものに比べフリルを減らしたメイド服のようなものを来たシューミルが居た。


「ベルの音が聞こえましたが、何か御用でしたか?」

「いやいや、ちょっと肘をぶつけちゃって」

「そうでしたか。こちらになります」


俺は一体何に緊張しているんだ・・・?と一周回った疑問に悩みながら、シューミルの後につくのだった。




____________________________________



ドアを開けると、モーガンさんはもう座っていた。食事の時ということもあるのか、仮面は無かった。


「思ったより早くよんでしまったけど・・・寛げたかしら?」

「冗談を。豪華すぎて僕みたいなのは肩身が狭いですよ」

「そうか? 立ち振る舞いからして貴族家を出て冒険者になったものかと思っていたわ」

「いやいや。単に親に厳しくされただけですから。別に貴族とかじゃないです」


厳しくされたというのはあながち嘘ではない。というか、新体操やっていると結構ね。コーチも厳しかったし。


「そうだったのね。―――あっ、そろそろ食事にしましょうか」


そうですね。とうなずいて食事を始める。素材は何だかよくわからなかったが、手が込んでいるのはわかった。


「ところで、キミは行くあてはあるのかしら?」

「いえ、別に知り合いがいるわけでもないです」

「そう。それならしばらくここに滞在していかないかしら? 宿代も浮くだろうし、寛げないなら部屋を変えても構わないわ」

「いいんですか? 助かります」

「ただ、その代わりといっては少し変な話でしょうけど、一つ頼まれ事をしてくれないかしら。そう大したことではないから安心してくれていいわ」


おおう。釣られた釣られた。モーガンさんも笑ってるし、悪意見え見えじゃないか・・・


「・・・・・ぁー。やることがないのは確かですし、やってもかまいませんけど」

「そう。よかったわ。ちゃんと報酬分に上乗せしておくから、期待してくれていいわ」


とか言いながらも、黒い笑み。なんかどんどんいいようにされてる気がする・・・・・・・


「内容については、明日の朝食の時でいいかしら?少しだけ準備残っているし、何より少し長くなるかもしれないわ。今夜は早く寝たいでしょう?」

「まあ、そうですね。けど僕がモーガンさんが女だって知っていることを忘れないでくださいね?」


我ながらクズいけど、ちょっとしたお返しだ。だが、モーガンさんは笑っている。


「残念ながらそれは徒労に終わりそうだわ。ユート君、あれを見てくれないかしら?」


ええーっ!! ってついノリで驚きそうになりながら指さす方を見て、本当に驚いた。仮面が真っ二つに割られていたからだ。


「私はモーガン=サージェント。れっきとした奴隷商だ。女であることを隠して奴隷商をするのはもうやめることにしたのだよ」

「すごい風の吹き回しですね。・・・・というかいつも口調が変わるので少し対応に困りそうですよ。またどうしていきなり?」

「ふふふ、君のおかげだよ。・・・まあ、そもそも鞭術や魔法だって、男に対抗するために身に着けたものだしな。宝の持ち腐れにしてしまっては勿体ないというのもあるがな」


おかげって言われても心当たりはないのだけど、まあ本人がいいならいいか。


結局、モーガンさんが女として商売を始めた理由は、ユートには分からずじまいなのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ