2-9 モーガン商店
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馬車に戻り、丁寧に感謝を述べる奴隷たちに対応していると、しばらくして眠るシューミルを抱えたモーガンさんがやってきた。奴隷たちにシューミルを引き渡し、服を洗うよう指示するモーガンさんの顔には、仮面が戻っていた。
「いやはや、大変なことに巻き込んでしまった上に、見苦しいところをお見せしてしまったな。申し訳ない」
「いえいえ、とんでもない。シューミルは大丈夫そうですか?」
「あれから泣き疲れたのか、眠ってしまいましてね。私にもまだわかりません」
「・・・・そうですか。じゃあもう夕方ですし、大事を取って明日出発にしますか?」
モーガンさんは困ったように一時逡巡し、首を横に振った。
「食料が足りるならそうしたいのですが・・・・これ以上迷惑になるわけにもいけませんしね」
「確かに食料が足りなくなりそうです。では、今日の夜からってことで」
馬も日中は何もしていなかったことだし、大丈夫だろう。問題は奴隷だが、荷馬車に乗せられるわけではないので、歩いてもらうことになるだろう。
モーガンさんは多少鍛えているから大丈夫だと言っていたが、疲弊してはいるだろうし、場合によっては途中で朝まで休憩したほうがいいかもしれない。まあ、その場合は半日から一日ほど絶食を強いられることになるわけだが、仕方あるまい。
出発まで軽く寝てます、と言って毛布を被るのだった。
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夜の移動は、思った以上に捗った。目的地であるリュートの国が近づいてきて、しっかり踏み固められた道になっていたからだった。先程からほかの商人ともすれ違った。
奴隷を引いて歩いてくるモーガンさんたちを見て不思議に思ったようだが、盗賊の話を聞くと納得していた。あの盗賊団は結構有名なものだったらしい。
そうして、夜が明けて、昼過ぎるころには、リュートの国の城壁が見えていた。
「さて、到着だな。無事に辿りつけてよかったよ。ところでユート君、君はギルドカードを持っているかい?」
「ええ、持ってますけど、冒険者ギルドで」
「それは半分好都合、半分不都合だな。まあいい、こっちについてきてくれ」
モーガンさんが荷台から城門よりさらに横の方を指さす。
モーガンさんは荷馬車から降り、城壁の方に走っていく。そこで気が付いたが、分かり辛いように入口がもう一つ、作ってある。
そこに立つ門番に話しかけ、何やらこちらの方を指さして言う。門番が大きく頷き、そこの入り口を開けてくれた。
「顔パスってやつですか。かなり顔が知れているんですね」
「フフフ、顔は知れていません。知れているのは名前と仮面です」
裏口をくぐり、モーガンさんはおどけてみせる。
「ところで、何が好都合で何が不都合なんですか?」
「ああ、それはね。君が冒険者なら護衛だといえば納得させやすいだろう? 不都合なのは君を商人ギルドに誘うことができないということだ」
「なるほど、危うくモーガンさんの下で働くことになりそうだった、ってことですね」
「危うくって、そんなに嫌そうに言わなくてもよろしいのでは?私はいつでも歓迎ですよ?」
「いえいえ、僕は冒険者ですから」
軽口を叩きながら、奴隷の分の入国手続きを待つ。一般入り口の方には人だかりができていたので、大幅に時間を削ったことになるだろう。
五分と経たないうちに、全員分の用意ができる。ただ街を歩いて迷子になるよりか効率はよさそうなので、一旦モーガン商店まで一緒についていくことにして、モーガンさんに従って歩く。
時々裏道のようなところを使ってショートカットをするあたり、かなり道を熟知しているのだろう。後で地図でも作ってもらおうかな。
にしても、かなり治安が良いように思える。ごみや危ない類の人間らしきものが全く見当たらない。
「ここは騎士団がしっかりしていますから。悪党の類は大体城壁の外にいるんですよ」
モーガンさんが教えてくれる。やっぱり騎士団とかが居て、警察みたいな仕事をしているのか。そういえばルーシェル王国ではそんな話は聞いたことがなかったな。
今通り過ぎた石造りの家も、庭先に花の鉢植えがあったり、やはり全体的にお洒落だ。国によってこうも違うのだから、しっかり他国の情報を手に入れることも重要なのだろう。
ギルドカードは全国共通なので、またどこかに旅に出ることも可能だが、ここにとどまってもいいかもしれない。
それからしばらくモーガンさんと談笑していると、モーガン商店はこちら、と書かれた看板が目に入った。
その通りに従って歩くと、すぐに大きな屋敷に辿りつく。
西洋風の荘厳な雰囲気を持つ、屋敷、というのがぴったりな建物。大きさも冒険者ギルドより大きい。
「どうだい? 少しは見直して頂けたかな?」とモーガンさんが自慢げに言い、門扉を押し開けて入る。
玄関に置かれた鈴を鳴らすと、すぐにタキシードを来た執事然とした男がやってきて、話を聞いている。ユートのことも「恩人であり顧客になりそうな人物だから丁重にもてなせ」と説明していた。って、勝手に顧客にするなよ。
「それではユート君、私はこれから奴隷たちのことなどで忙しい。部屋に案内させるから昼くらいまでくつろいでいてくれ。ああ、これは無論礼の一環ではあるが、計上には含んでないから安心していいぞ」
と言って、歩いていくモーガンさんは、服装と言い立ち振る舞いと言い、きっちりと締まって見えた。
あっけにとられながら、「それではユート様。こちらへ」と案内を始める執事について行くのだった。




