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2-5 男装お姉さんに鞭で打たれる一部の変態向けのご褒美回

早朝。ユートはくしゃみで目を覚ました。森の朝の空気は澄んでいるが、少し冷たいのだ。


目を開いて、布団をシューミルに貸してあげたことを思い出す。


日はまだ半分程を山際に隠している。モーガンさんはまだ寝ているだろう。


ストレッチでもしようかと思い、馬車から飛び降りて、軽い柔軟運動から始める。


「精が出るな。私も参加させてもらっていいかい?」

「ええ、いいですよ――――って、元に戻しちゃったんですね」


モーガンさんは男装に戻っていた。ちなみに声も変えてある。


「ほかの奴隷にも女性だとは言っていないからね。盗賊に油断させるには十分だったのだろうけど。シューミルにも後で口止めをしておかねばならんな」


それからしばらく、モーガンさんと一緒に走り込みをしていると、シューミルが起きてきた。服は血でべっとりと汚れていたので、サイズが合わないことは諦めてモーガンさんの着替えを着ている。よく眠れなかったかと聞いたら、疲れすぎて思ったより寝られたと言っていた。


「じゃあシューミル、最初の仕事だ。私たちは盗賊の居場所を知らない。手掛かりとなるのはこの槍だけだ。つらいとは思うが、においをたどってくれ」


シューミルは最初は怯えていたが、落ち着きと緊張がやってきたようで、意を決したように頷き、槍を受け取った。


鼻を槍に近づけ、何度かにおいをかぐ。それからしばらく馬車のあたりを嗅ぎ回り、「血の臭いが濃すぎて確証は持てませんが、こっちだと思います」と森の奥を指さした。


「よくやったな」とモーガンさんが頭をなでる。実はユートにはモーガンさんがこっそり魔法を使っているのが見えたていたりする。あれが感覚を強化するような魔法だったとしたら、存外甘々な人なのかもしれない。まあ、慰めも兼ねているのかもしれないけど。


それから暫く木々をかき分け歩いていると、獣道のようなものが見つかった。三人で警戒しつつ歩く。


「ッ!? 誰か来てます。隠れてください!」 シューミルが足音を聞きつけて、木陰の方を指さす。ユートたちは隠れた。


「ここからなら大丈夫だろう」少し離れたところで、様子をうかがう。ユートとシューミルは頷きあった。


が、そこにモーガンさんの姿は無い。


来る途中にはぐれたか? いや、そんなに距離は無いはず。確かに隠れる前までは居た。だとしたら・・・・


遠くから足音が聞こえてきて、身を隠すことを余儀なくされる。


草陰から、じっと見つめる。


歩いてきたのは、明らかにガラの悪い男。確証はないが盗賊だと推測する。


その男は何やらぼやきながら気怠そうに通り過ぎようとする。


次の瞬間、ユートたちの隠れる草陰の目の前で、巻き付いてきたモノに首を引かれ、倒される。


「ッ!?」急の出来事に息をのむ。


「一人で行動なんて甘いですねぇ。少し質問タイムといかせてもらおうか?」


首に巻き付く長い鞭を器用に唸らせ、身動きを取れなくした張本人であるモーガンさんが、姿を現し、言う。


逃れようとする盗賊を体術でいなし、縄で木に固定してから、こっちに合図を送る。安全になったから出てこいとのことらしい。


「この男に奴隷の居場所を聞く、ってのはどうだろうか」


いや最初からその気でしたよね・・・・今思いついたかのように言うモーガンさんにツッコミを入れたくなる。場所を聞くことについては効率的なので同意しておいた。


一方シューミルの方はと言うと、「ご主人様かっこいいです!!」と今にも尻尾をパタパタしそうな感じだ。あ、猫は尻尾振ったら機嫌悪いんだっけ?


「さあ、お前の心と口は、どっちが先に割れるかね?」


仮面がまた、不気味に笑った気がした。




___________________________________



拷問内容については言及しないとして、得られた情報だけを整理すると、獣道を上りきって、川を渡った先の洞窟が基地となっているらしい。合言葉などはないが、多分鍵があちこちにかけてあるだろうとのこと。


「もうすぐですね」


現在獣道を上っている途中だ。十五分くらい登ったところだと言っていたので、そろそろだろう。


結構入り組んだ道なので、元の場所に戻れるか心配だったが、モーガンさんもシューミルもしっかり覚えているらしい。シューミルはにおいで辿れるといっていたが、モーガンさんはただ単に方向感覚がすぐれいているだけだろう。去年の全国大会で東京に行ったときに乗り換えで四苦八苦した自分とは大違いだなー、とぼんやりと考える。そうこうしているうちに、川が見えてきた。


「ここを渡って・・・ああ、あれだな。ユート、覚悟は出来たか。気を引き締めていくぞ」


モーガンさんが戦闘用の鞭に持ち替えて言う。茨の鞭とでも呼ぼうか、とげがついたその鞭には、相手をマヒさせる類の毒が塗ってあるらしい。


坑道のように木で枠組みされた洞窟には、見張りのような人間は見当たらなかった。一人でどこかに行こうとする奴といい、警備がガバガバだが、まあ盗賊なんて烏合の衆なわけだし、そのくらいのほうがありがたい。


ユートたちはアジトに踏み込んだのだった。





えっ、拷問シーンカットなのって?そりゃあ焦らしプレイですよ(ニッコリ)

作者はソッチ方向ではないです。ご安心ください。

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