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1-7 お約束は供給過多


森に隣接された村、ウッカ村。木を伐ってそれを王都に卸すことで成り立っているらしいこの村は、森の端の方を行ったり来たり、数年に一度移動するらしい。


「ここには何度か来たことがあるんですけど、何度見てもすごいですね」アカリが、身長の二十倍はある大きな木を見上げながら感嘆の声を漏らす。


ズンと響く音の方を見ると、村の資材やほかの木をうまく避けるように、木が倒れていた。あとはそれを、運べるようにカットして持っていくらしい。


「これ、全部人力でやってるんだよね?」

「いえ、一部は魔法もつかっているそうです。さっきも地魔法で壁を作って倒れる方向を調整してましたし、何人かは魔道具をもっているのでしょうか?」


なるほど。科学が進んでいないと不便かと思ったけど、それはそれでどうにかなっているのか。


「相変わらず燃やしたくなる村っさねぇ」

「おいおい、よすっスよ」

「でも、剣の的としては使えそうじゃないか?」


馬車を留めに行っていたファム、ファスター、クランが戻ってくる。・・・・・ファムは余計なことを言ったせいで村の人から厳重注意されている。


「おっ、そっちが先に終わってたっスか。村長は何か言ってたっスか?」


ファスターが、依頼主である村長に話を聞いてきた俺達に訊いてくる。


「いや、依頼書通り。だけど、ファムの魔法は極力延焼を防ぐように抑えて使ってくれってさ」


聞いたことをそのまま報告すると、ファムががっくりとうなだれる。炎魔法以外も多少は使えるが、どうにも使いづらい、らしい。


「・・・・・・ほ、ほら、とりあえず、まずは魔狼相手に一度戦ってみましょ?」


アカリの提案で、一度リハーサルをすることになった。



__________________________________


「ユート、そっちに行ったぞ!!」

「わかった!!」


ユートは走ってきた魔狼に〈鬼神の魔眼)。


魔狼/オス

体力 43/68

魔力 0/0

腕力 30

知力 11

敏捷 87

耐性 85

スキル

《魔狼Lv8》(咆哮・威嚇)


一昨日見たオークよりも敏捷が高い分多少強いが、大差はない。ユートは飛びかかってくる魔狼を体を捩っていなした。


「いいぞユート! 今だろうよ!!」


往復で飛びかかってきた魔狼を、戻ってきたクランが盾で防ぐ。魔狼はバランスを崩している。


「今っスよ!」ファスターが槍を正確に足に突き刺す。そして動きが止まったところを、ユートとクラン

で追撃。


魔狼はしばしの間のたうち回り、やがて動かなくなった。


「よっし! 完璧っスね!」ファスターが槍を突き上げて喜ぶ。


「お疲れさん」


クランたちとハイタッチしていると、


「お疲れっさねー。やっぱ炎ナシはきっついわー」

「お疲れ様です。怪我とかはありませんか?」とアカリとファムも戻ってきた。


「ああ、大丈夫だ。みんな無傷。パーフェクトだ」と、二人ともハイタッチを交わす。


さっき倒したのが六匹だったか。これをミス無しで対応できたのだから、本番はアカリの回復もあることだし、安全だろう。


「それじゃ日も暮れてきたし、そろそろ帰ろうぜー!」

「そうっスねー。飯だ飯ー」

「アタシはちょっと眠いっさねー」

「ごっはんーごっはんー」


ユートも帰って、明日に備えることにした。



__________________________________________



「いやーっはっはっは! 頼もしい限りですなぁ!」


禿頭をぺちぺちしながら上機嫌で笑う村長。


ユート達は、歓迎の宴会に呼ばれていた。


本来このあたりで大規模な魔狼の繁殖が行われることは少ないらしく、不安が募っていたらしい。そこにユート達が来たわけで、この有様だ。


寄合所のような場所に並べられた長机。その上の御馳走、そして大量の酒。参加者がかなりの人数いるあたり、どさくさで酒を飲みたい飲み好きの村人が提案したのかもしれない。


ただ、感謝されているというのは事実のようで、ここに来る最中にも、何度かよろしくお願いしますと言われて、木でできたお守りみたいなものも貰った。鑑定しても特に効果があるものではなかったが、やはり気持ちだけでもうれしい。


クランが一番戦士らしい見た目をしているからか、人気を集めているようだ。調子に乗らず仲間のおかげだと謙遜するのはすこし意外であったが、それがきっと彼がリーダーである所以なのだろう。


「えーそれでは、えー、みなさん、御着席下さい。それでは―――――――」村長が挨拶を始める。それと同時に、酒がなみなみ入った杯が配られる。


それからももたもたもたもたと話が続く。こういうのは異世界でも共通なのか。


あっ、そろそろ終わりそうだ。


「それではみなさん、杯をとって乾杯と行きましょう。―――――乾杯っ!」


みんなが盃を空ける中、飲まないわけにもいくまい。ユートは中の酒をちびりと舐める。


存外・・・・・というほど意外でもなかったが、美味かった。


「へえ・・・・悪くないですね」隣のアカリも、結構ご満悦なようだ。


ユートはまあいいか、と自分に言い聞かせ、ぐいと酒を飲み干した。




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