魔物討伐祭
「シンラ!ジンスケ!あんたら今日は祭りに行ってきな。」
「「えっ?」」
今日は年に一度の魔物討伐祭と言う腕自慢の冒険者とモンスターが戦う祭りがあるらしい。
「でもミーマさん。俺達が抜けたら店が…」
「あんたらは休めって言っても休まないからこうでもしないとね。店なら任せな!いいから行ってきな!」
「ミーマさん……ありがとうございます!」
「シンラーまだー?」
「もうちょっとです!待っててください!」
かれこれ1時間近く待っている。そんな俺にシルナが近寄ってきた。
「女を待つのが男ってもんさー」
「いやまぁ…その通りなんだけどさ、」
「お待たせしました!」
いつもの給仕服とは違い、可愛らしい服といつもは結んでいる髪もほどいてとても綺麗だ。
「いつまで見とれてんのさー。早く行ってくるさー。」
シルナに声をかけられて正気に戻った。
「い、行こうか」
道中にシンラのおすすめの店でご飯を食べて、一緒にショッピングも楽しんだ。
「着きましたね。」
「うん。空いてる席は…あった。あそこに座ろう。」
俺たちはちょうど二つ空いた席に腰を下ろした。
「今日のメインイベントはデビルクロウですよ!」
「デビルクロウ?強いの?」
シンラによるとデビルクロウはA級冒険者と同等の強さを誇り、その特殊能力は目を見張るものがあるらしい。
『お集まりいただき誠に誠にありがとうございます!本日は凶暴な魔物を集めてまいりました!皆様のご期待に答えられますよう、尽力いたします!それでは魔物討伐祭をお楽しみください!』
なんかパチンコの店員みたいだな。まぁ闘技場もでかいし演出にも期待できそうだ。
『初戦はこいつだ!鋭い爪に獰猛な牙!そしてその巨躯な体!ホワイトファングベアだ!』
ホッキョクグマっぽいけど体長は5mくらいある。バカでけぇ…。
『対する冒険者は、カールミーグループの英傑!ジームス=カールミーだ!』
ウオオオオオオ。
どうやらこの人物は相当な人気者らしい。周りの声援が何よりの証拠だ。
『さぁ!この戦いは見逃せない!いくぜ!開戦だ!!』
試合の結果は意外なものだった。
ジームスの攻撃はすべて当たるが効果はなく、ホワイトファングベアの一撃によって試合は決した。
『なんと……。誰も予想だにしていなかった!ジームス=カールミーがまさかの敗北!?続く挑戦者は!?』
闘技場の入口に立つのはゼネスだった。
「おいおい。情ねーな。」
『次の挑戦者はあのゼネス=フィオーネだ!彼ならやってくれるはずだ!いくぜ!開戦!』
「gugaaaaaa!」
「へっ!『爆炎乱舞』!」
ゼネスの手から極大の業火がとめどなく出現する。
そしてホワイトファングベアは呆気なく消し炭になった。
『なんという圧倒的な強さ!これがフィオーネ!これがゼネスだ!!』
「へっ!とーぜんだっての!」
ゼネスは口だけじゃなかった。凄まじい強さを誇る。
しかし俺の目にはゼネスよりも、アーネルさんの方が圧倒的に強いと見えた。
「アーネル=フィオーネさんですね?彼女は戦乙女と呼ばれていて、戦闘中はいつもの無表情から一転して歯を向いて笑うことからこの異名らしいです。」
「へぇー。シンラは物知りだな。」
「うわぁぁぁあ!」
「逃げろ!デビルクロウが逃げ出したぞ!王国に申請しろ!祭りは中断だ!」