異世界転移
他作品が思いつかずこれを書きました。
「ただいまーってあれ?」
俺こと白木迅助は家のドアを開けたと思ったら何故か草原にいた。
すると空から一通の手紙が降ってくる。
『白木迅助くん
突然ですが君は異世界にいます。私が召喚しました。君の他にあと2人の人間がいます。とにかくそこから西にまっすぐ進むと街があるのでそこに行ってください。
女神』
「……なるほど。」
稚拙な文だが要点は押さえてる。とりあえず西だな。
しかし問題もある。それは俺が方向音痴なことだ。
「……じゃああっち行こう。」
後に知ったことだがその方向は北だった……。
「腹減った……。」
それから俺は2日間何も食べずに歩いていた。いくら進んでも街らしいものは見えない。
「女神め…騙したな。」
それからさらに1日かけて山を超えるとようやく街が見えてきた。
「おおぉー!やっと着いた。もうはらへって死にそうだ。」
ってもう夜中じゃん!どこも開いてねーよ……。
それでも歩いてみたがやはりどこも開いてない。
もうダメだ……。
バタッ
俺は道の真ん中で倒れた。まさか異世界に来て早々死ぬなんて……
「さぁーて!今日も開店だよ!……ってなんだいあれ?」
「人…ですね。ミーマさん。どうしますか?」
獣耳を携えた少女はミーマと呼ばれた女性助けてあげたそうに問う。
「店の邪魔だよ。中に連れてってやりな。ついでになんか食わせてやってもいいよ。全く若いのに何してんだか…」
「ありがとうございます!」
♢
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ〜。
「……うん?」
どこだ?見たところ家…?たしか俺は倒れたはず…?
「あ、起きました!大変でしたね。ささ!これを食べてください!」
「え?いいんすか?」
獣耳の少女は俺にご馳走を持ってきてくれた。
人間に獣耳がついてるなんて普通なら気持ち悪いと思うかもしれないけど、彼女は可愛らしかった。
「ありがとうございます。……いただきます!」
何日ぶりかのご飯は今まで食べてきたどんな物より美味しく、そして暖かかった。
「ふふ、いい食べっぷりですね♪」
「こんなに美味しいもの初めてです。ごちそうさまでした!」
食べ終わると、ドアが開き一人の女性が入ってくる。
「おや?やっと起きたのかい。あんた丸一日寝てたんだよ。この子が看病して自分の昼飯まであげたんだ。感謝しなよ?」
「えっ?今のは…あなたの?」
「いえいえ!いいんです!私はお昼を抜いても死にませんから!」
手をパタパタ振り笑顔を見せてくれたが、
くぅぅぅう。
「「「……」」」
「ち、違うんです!今のはミーマさんです!ですよね!?」
「あたしゃ今食べたばっかだよ!無理しちゃダメさ。」
なんていい人なんだろう。自分も空腹なのにこんな見ず知らずの男にご飯をくれるなんて……。
「ってなんで泣いてるんですか!?」
俺は彼女ほど優しい人をみたことがない。また、そんな優しさを受けたことも当然ない。
「俺は白木迅助と言います。この御恩は必ずお返しします。」
「あ、私はシンラと言います。それに、気にしなくていいですよ?私があげたかったんですから!」
天使だ……。
「そういうことならここに雇ってあげるよ。シンラと同じく住み込みでね?」
「いいんですか?」
「もちろんさ。元より人手不足だったし……シンラが気に入った子だからね。」
ミーマさんの計らいで俺は『ムミール食苑』に勤めることになった。
幸い飲食店でバイトしていたから覚えは早かった。
「いらっしゃいませ!お席にご案内致しますね。」
「あ、はい…よろしくお願いします……」
何故か分からないが、女性客を接客すると赤面される。変なとこあるか?
「いやージンスケに接客されたらあちきと常連になるさー。」
「シンラもほっといていいのー?」
「わ、私は別に……」
「くぉらぁ!!口じゃなくて手を動かしな!手を!!!」
「「「ひゃいっ!!」」」
うぉっ!ミーマさんブチ切れてんじゃねーか…。
シルナとクラリナはいつものことだけどシンラまで怒られるなんて珍しいな。
ちなみに話し方が変なのがシルナで語尾を伸ばすのがクラリナだ。シルナはふわふわ系で可愛らしくて、クラリナはどこか色気があり綺麗系だ。
ちなみにミーマさんは長身でスラッとした美人だが何故か戦闘力が異常だ。
シンラ?天使以外の何者でもないが?
「あ、いらっしゃいませー!」