表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の迷宮  作者: K.D.L
3/5

1章 異世界で魔法使いになった男 -3-

 深い森に足を踏み入れてからしばらく経つ。


 拠点までの道を見失うことがないようにだけ注意しながら歩き続けているが、動物にも食べられそうな野菜や果物といったものにも出会わない。


 キノコや虫は見かけるものの食べられるかどうかなど分からないし手を付けたくはなかった。


 だが歩かなくてはならない。食料と水源を見つけなければ最悪の場合3日程で俺は動けなくなってそのまま何もできず餓死してしまうからだ。


 時々、顔の辺りに伸びてきて鬱陶しい枝を避けながら目印となるように草を強く踏みつけながら歩いていると、次第に草が生えていない、土だけの地面に、そしてなんと石畳と出会った。


 「人が…いるのか?」


 微かな希望と共に現れたのは、数時間ぶりの足を取られないしっかりと踏みしめることができる石の道だ。きっと、もしかしたら、この先に人がいる。そう信じて歩いていった先にあったのは…巨大な石碑と扉、そして長大な壁に覆われた建造物だった。


 巨大だ。とにかく…巨大だという表現しか思いつかない。その建造物は、形としては塔になるのだろう。見上げてもその天辺が見えない程に長い塔だ。


 石碑とその奥にある扉がくっついている外壁は中国にある万里の頂上を思いださせる造りになっている。扉の入り口まで近づいてみれば、石碑が光を放ち石でできた扉が勝手に開き始めた。


 まるで、よくぞ来た。さぁ入れと言わんばかりの様子である。


 その物理を無視した神秘的な光景から感じられるのは、未知に対する恐怖のみである。獣に追われ、トンネルを抜け、訳の分からない場所に来たと思ってから僅か数時間の事だ。もう俺の頭はどうにかなりそうになっている。


 大きな口を明けるその建物を前にそっと後ろを振り返る。予感があるのだ。とびきり嫌な予感だ。

 これに入れば、これ以上何が待ち受けているのか分からない。それはきっと碌でもないものであると。


 しかし、後ろに引き返したところでこれ以上、何もありはしないという予感もある。


 俺は大きく息を吸い込み、後にこれが神造物と呼ばれる巨大迷宮であることを知る、ダンジョンへと入っていった。


 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ