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むかしむかしのお話です

 そのお姫様はとても美しく、心優しい、まるで妖精のようなお姫様でした。


 お姫様が笑えば庭の花々は咲き始め、お姫様が泣けば雨が降り、お姫様が喜べば小鳥が歌い風が吹きました。


 お姫様はいつも、お城の向こうにある小高い丘の上でお花と会話を楽しんでいました。

 しかしある日、ある一輪の花がお姫様に言いました。


 あなたは今までのお姫様とは、まったく違うのね。


 その時です、お姫様はその大きな目から大粒の涙を零しました。その涙は頬を伝い、地面に染みを作りました。

 一滴、二滴、涙はどんどん溢れていき、とうとう涙の水たまりが出来てしまいました。


 空は黒い雲でおおわれ、雨が降りはじめました。黒い雲は雷も呼んできて、恐ろしい光が空を走ります。


 お城では、お姫様がいないと大騒ぎです。

 お姫様のため、何人もの騎士が探しに出ました。

 その内の一人、ジョセフという騎士がお姫様が泣いている、小高い丘にやってきました。


 ジョセフはすぐにお姫様を見つけることができました。しかしお姫様ははらはらと涙を零し続けています。


「お姫様、どうしてそんなに泣いているのですか」


 お姫様は首を振り、何も言いません。

 しかし、お姫様の前にはお姫様の涙で真っ青に染まった一輪の花がありました。王国のどこを探しても、青い花など存在しません。

 ジョセフはその花を見ると、お姫様にたずねました。


「お姫様、この青い花はどうされたのですか」

「私の涙で染まってしまったのです」


 そう言うとお姫様は涙を止め、ジョセフの方を向き、話し始めました。


「このお花は私の正体を見破ったのです。

 私は、神がこの国に使わした者。争いごとをせず、民が幸せに暮らす王国への、天からの褒美なのです。

 しかし私は人ではないもの、この世の理に反する者。正体を見破られたそのとき、見破ったものと同じ姿になってしまうのです。

 私は姿を変えますが、この国を愛しています。どうか私をお城のどこかに飾ってください」


 そう言い終えると、お姫様は一輪の花になってしまいました。


 ジョセフは花になったお姫様の言葉を守るため、お城に持って帰りました。


 それからです。王の間に一輪の花は飾られるようになりました。

 青く輝くようなその花はブループリンセスと呼ばれ、それからも枯れることなく王の間にずっと飾られています。

 それはまるで、この国を見守っているようでした。


 めでたしめでたし



 この国に伝えられる物語。


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