憧れて…
憧れの白石先輩に
一勝をプレゼントするために入部した。6人の一年生…
個性溢れる先輩達がまだまだ本性を隠して登場です
入部して間も無く、僕ら一年生は、この野球部の惨状に頭を痛めた。
兎に角、2年生と三年生に目を覆いたくなるような…
人達が…居た!
特に3年生には、
未だに顔も知らない
幽霊部員が居る。
2年生には、キャッチボールすら、マトモに出来ない人が、2人も居る…
毎年…毎年…地区予選一回戦で姿を消す。このチーム…
形になっているのはセカンドを守るトミー先輩とファーストを守る俵先輩…
それと孤軍奮闘している3年生の白石先輩…
実は、僕とマァ坊東中バッテリーはこの人と野球がしたくてこの高校を選んだ。
この先輩は背も高く運動神経も抜群だか、肝心のメンバーが足りない。だから弱小中の弱小野球部として…何処からもマークされなかった。この先輩と一年間だけでも一緒に練習したい…この先輩と一年間だけでも一緒に練習したい出来れば…
少し欲を出して一回戦突破なんて…
考えて…みたりする。
僕の頭の中で組み立てる。オーダーはこうだ。
ピッチャーはマァ坊、キャッチャーは僕、ファーストは俵先輩、セカンドはトミー先輩、ショートは大ちゃん、サードは白石先輩…
外野は俊足を揃えて
レフトに隆、センターに中、ライトにナッピラ、他の二人に比べると少し、肩が弱い気もするが…
そこは…中学時代…陸上部の助っ人で
100メートル。
400メートル。
800メートルの
県大会の記録を叩き出した。隆に離されない足は魅力だ。
僕らの教育係は
2年生の出川先輩に決まった。
先ずは部室の掃除を言いつけられ…
一年生3人が練習に出る。
ジャンケンに負けた残りの三人で部室の掃除を始めた。
アチラコチラに散らかる。スライディングパンツ…アンダーシャツその他諸々の男臭い洗濯物を選り分け洗濯機に叩き込んだ。…
そこへ…凄く良い薫りが漂ってきた。
薫りの主は…2年生の金田先輩…
中性的なマスクと優しい物腰…
指などはしなやかだ。
女子にも人気がある。
まるで…宝塚の男役みたいな先輩だ。
金田先輩が洗濯物を洗濯機から取り出そうとしている。
『先輩!僕らで大丈夫です!任せてください!
どうぞ…練習に戻られて下さい!』
『良いよ…僕はあんまり野球が得意じゃ無いからね…君達の手伝い位しか力になれないからね…』
ここは、甘えて手伝って貰おう…
作業を進めて行くと金田先輩が僕に声をかけてきた。
『やっぱり…君達も白石先輩に憧れて入部したの?』
『わかります?!
何とか白石先輩に
一回戦突破をプレゼントしましょう。』
力強い僕の勢いに押されながら。
『うん…君らは…
僕のライバルだね…』
この言葉の意味を理解出来た一年生は誰一人居なかった。
春の合宿に入るまでは…
金田先輩のライバルの意味とは…
本当にギリギリの戦力で戦えるのか?
未だに本性を出さない先輩達と
白石先輩に一勝をプレゼント出来るのか?
徐々に本性をむき出しにして来るせんぱい達の話を進める前に
次回は《真剣勝負》
乞う御期待…