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怠惰の始まり

初めて書かせていただきます、うまく出来るかどうか不安ですが、良ければご教授ください!

なお、この世界はすべてふぃくしょんででしか出来ていません、国や地域の名前と関連性や因果関係などはまったく無いことを前提といたします。

浦崎うらさき表麻ひょうまは平和を好んでいる、何の争いもいざこざも起きぬ、ただ風の流れに身を任せるような自然な平和が、彼にとってこれ以上無い幸せな時間であった。

 しかし、今日はあいにく日本の東南から笑ってしまうほど大きな台風が日本に接近中のため風が強い、明日からあさってにかけては日本に上陸し、気分が根こそぎびしょ濡れになるほどの大雨を降らせてくれることであろう。

 科学という高度な技術を使っても天候は読めない、気候を完璧に読むことが出来るということは一種の予知と言っても良いであろう。

 表麻は学園の屋上に取り付けてある天体観測場と言う四角い建物の上に寝転がり、風を感じながら口端に薄っすらと笑いを浮かべている。

 あぁ、平和だなと、小さくつぶやいたのだが、それに答えるように誰もいないはずの屋上から第二者の声が表麻の耳に届いた。

「あんたぁ~! こんなところで昼寝してるたぁいい度胸じゃない! 授業サボって何してるかと思えばそれか! あんたにはそれしかやることがないんかいボケェ!」

 声というよりは怒号に近い、表麻はビクリと反射的に体を起こすと、いつの間にか目の前に、オーラという見えない物により髪が逆立ち、目は裂けてしまうのではないかと思うぐらい見開いている一人の女子が立っていた。

「うわっ、ゆっ、夕香?」

 彼女の名前は氷野ひの夕香ゆうか、淡い青の長髪に漆黒に近い紺青の大きな瞳を持つ飛び切りの美少女、夏休みも間近とあってか、半そでのワイシャツと短めのスカートからは真っ白な手足が除き、時折降り注ぐ太陽光をきれいに反射する。

 と、そんな悠長な説明をしているほど、表麻の心理状況はよろしくない、今は、追い詰められた袋のねずみといったところか、首筋に嫌な汗を感じながら表麻はにっこりと営業にも使えそうな社交辞令スマイルで少しずつ後ろへと足を使い下がろうとした。

 其の時、パキィと普段の生活ではまず聞かない音が響く、途端表麻は金切り声を上げる。

「冷った! いや、ちょっと待ってくださいよ夕香さん!? いくら猛暑が続くからって人の足首から下を凍りつかせて地面に接続させるのは拷問の中だけにしてください!」

「今から、あたしの言うことが聞けないのだったら、あんたの足を少しずつ凍らせていくわ、どこまであんたの足の細胞は酸素なしで生きていけるか見ものよねぇ?」

「わかりました、言うことを聞きますから頼みますからそれだけはご勘弁!」

「じゃあ、今から授業に出るわね?」

「出ます、出させていただきます!」

 表麻は目じりに涙を浮かべながら懇願するようにそう言った、それを見た夕香はため息をつくと、表麻のそばにしゃがみ、凍った足を撫でる。

 すると、まるでうそであったかのように表麻の足を凍りつかせた氷が消えた、冷え切った足首を摩りながら表麻はホッと安堵のため息をつく。

「まったく、あんたはいつもいつも授業をサボってばかりで、代表委員になんかなるんじゃなかったわ」

 夕香は額に手をつきながら、呆れたように表麻を睨む、それを見た表麻は体を硬くする。

「そんなんだから、あんたはいつまでも下位なのよ、そこのところ自覚してるわけ?」

「……まぁ、一パーセントぐらいは?」

「特異能力者養成施設、九十九学園、この日本中探してもこれと対等につりあう学園なんて数えるくらいしかないわ、それに合格したのだから少しは努力をしなさいよ、力が無いなら無いなりに」

 この世にある特異能力、脳の力を酷使する際に発せられる力、または弊害と言われているが、それを養成し世に送り出す学園は数々ある、その中でも有数の学園、四年制をとる珍しい九十九学園、それは誰もが憧れ手を伸ばしても届かぬ高嶺の学園なのだ。

 表麻はそれに難なく合格した、もとより九十九学園は学力重視なのではなく、特異能力が重視されている、特異能力を調べ、また、脳内スキャンといわれる、特異能力が開花していない者が今後開花するかどうか、した際にはどの程度のランクなのかを調べ、それを踏まえてうえで、中位、上位以上の場合は合格となる、しかし、本人にその脳内スキャンの結果は知らされてはいないのだ、聞きたいものには聞かせてはくれるが、皆、己の能力には自信がほしい為、あえて聞かない生徒が多い。

 その中で彼女は脳内スキャンを受けなかった、すでに能力が開花し、それが中位特異能力者と認められたためだ、先ほど見せたように空気中の水分の振動を極力押さえ温度を下げ凍らせる氷点下アイスフリーズという高度な特異能力を持っている。

 彼らはまだ初々しい高校一年、しかし、夏休み前にはほとんどの生徒が能力の開花(もとより才能はあるためキッカケがつかめればどんどん伸びる)し、今ではクラスのほとんどは中位特異能力者となっている。

 しかしだ、ここにいる浦崎表麻は違う、周りとは圧倒的に遅れをとっている、特異能力検査と呼ばれる中間考査と同じような扱いのテストがあるのだが、表麻はいつもギリギリのスレスレで赤点を免れている。

「……そうだな~、努力、か」

一人空言のように表麻は拍子抜けしたような間の抜けた声でそう呟いた。

「なぁ、夕香」

と、不意に表麻は彼女の名を呼ぶ。

「何よ」

「俺ってさ、才能あると思う?」

真剣な面持ちで夕香の顔を見る、普通のものなら、才能はあるに決まっていると相手に自信をつけさせるための言葉をかけるのだが。

「このまま行けば、あなたの才能は枯れていくだけだと思うわ、それは最初から無いと同じよ」

 彼女は無情に言葉を突きつけた、それを聞いた表麻は一瞬驚いたように目を見開くと、フッと雪が溶けたかのように柔らかく笑う。

「そっか、俺は皆にそう見られてるのか……」

 少し淋しそうに、そしてほんの少し嬉しそうに苦く微笑む。

「さぁ、行きましょう、授業終わっちゃうわよ」

「へいへい」

夕香がそう言って、観測上の階段から降りていく、夕香の姿が見えなくなると表麻立ち上がり、学園から見渡せる町の風景を見つめる。

「風が、強いな」

そう言って表麻は夕香の後を追った。





 授業の途中で入ってきた途端、このクラス1-Eの担任、宮野みやの柚木ゆきの暗い心底震えるような怒り声が表麻に向けられた。

「コラァ! 貴様は何をやってるのだ! 授業をサボるほど出来た生徒かお前はぁ!!」

 すんません! と反省の色を上手に浮かべ、席へとつく表麻、宮野は少し表麻を睨むが授業を中断する気は無いらしい、昼休み職員室に来いとだけ言うと授業を再開した。

 退屈な授業が終わりお昼時、机の上でぐだっている(ほかの授業を抜け出そうとしたが夕香に阻止され疲労困憊状態)表麻の頭に硬いものがとチョンとあたる、表麻は目を細めたまま顔を上げると、そこには短めの茶色の髪をした可愛らしい少女が愛着のある顔でニコリと笑って立っていた、それを見ると表麻は笑い返す。

来生くうか、どうした?」

「お昼、どうするの?」

 おっとりとした声で空音そらね来生くうは聞く、彼女は表麻が小さいころからの幼馴染というやつだ、中学時代は距離をとっていたのだが、高校になり知らない人も多い中同じクラスだったのを期に最近ではよく話をするようになってきている、表麻自信もそれについては少しホッとしているところだ。

「メシか? そーだなぁ……パン」

 九十九学園にも購買部は存在する、種類は多種多様で中には餡子焼きそばパンと言う完全に罰ゲームを前提として出しか作られていないゲテモノ惣菜パンなども売られている。

「そういうと思って、お弁当作ってきたんだけれど、食べる?」

「……マジか?」

「うん」

 何の恥ずかしげも無く来生はニコリと微笑んだ、がそれを聞いた周りの男子生徒の視線が痛い、運が悪ければ特異能力が飛んでくる恐れもある。

 だが、ここで断るのも何か悪いと思い表麻は首を縦に振る、それを見た来生の顔が輝かしいほどの笑顔になるのを見るとさらに周りから威圧的な視線が入り乱れ、耳の隅でカッターナイフの戦慄じみた音が聞こえた気がしたが、表麻は聞こえない振りを決め込んだ。

「おっとぉ? 表麻が弁当なんて珍しーなぁ」

 来生の作ってきた弁当を突きながら他愛も無い世間話をしていると急に声がかかり、表麻の隣に人影が落ちた。

 脱色したクリーム色の髪にそれに似合わない茶色い瞳の青年、表麻の中学時代からのマブダチ、町利まちかが利峰としみねである、脱色したのは最近だ。

 利峰は先ほど買ってきたのであろうミルクティーを片手に表麻の弁当を覗き込み、来生の弁当を見ると首をかしげた。

「んお? 随分と来生ちゃんの弁当と表麻の弁当が酷似していないかーい?」

「そうだよ、私が作ってきたの」

「へぇそうなのかい、来生ちゃんってお弁当上手だな……って、表麻これは俺との血の契約を破るということかー!?」

 今まで仮定であったところを真実にされ、平静を保つのが限界に来たのか利峰は喰いかかるように表麻の首に腕を回す。

「おまえと血の契約を交わした覚えは無ぇだろうが!」

「そこの馬鹿二人、昼時ぐらい静かに出来ないのかしら?」

 ギャーギャーと騒ぐ二人の前に冷たい視線を送る夕香の姿。

「お昼は騒ぐ時間だろい? 湿気た教室ほど面白くないものは無いってーの」

「そう、じゃあ残念だけど、表麻、あんたは職員室に早く行きなさい、御呼ばれしてるんでしょう?」

「あ~、そうだったな」

 表麻はばれたかと小さく呟くと席を立つ、そしてチラリと食べかけの弁当を見た後に来生を見る。

「わりぃな来生、後で全部食うからよ」

「無理しなくて大丈夫だよ、いってらっしゃい」

表麻が席を立ち、教室から出て行くその背後で

「じゃーよー来生ちゃん、俺と話しようぜ」

「いいよ、何について?」

「そうだな、俺と表麻の絡みを邪魔する嫉妬深い代表委員について……なんていいと思うんだけどなー」

「なんですってー!」

 と言うとてつもない平和な喧騒が聞こえたのだった。





 カーテンが閉められた薄暗い部屋の中、高級デスクに座り薄暗く灯る昔風のランプの光の中で、書類に目を通す一人の男がいた、髪の毛は色が落ちて白髪で、あごには大そうな顎鬚が蓄えてある、九十九学園校長、平賀源内ひらがげんないである。

 彼は今年入学してきた新入生等の特異能力について生徒一人一人のレポートに目を通している、彼の頭にはすでにこの九十九学園生徒、総合にして千人近い生徒の特異能力とその成長について記憶している、ご老体とは思えぬほどのすばらしい記憶力を持つ方だが、彼の記憶方法はいたって簡単である、覚えるためには何でも印象が大事で、人間は忘れる生き物、しかし、忘れられない思い出も少なからずあるであろう、告白をしたときや悔しい思い出を残したときほど記憶に残らないことは無い、むしろ忘れたいのに忘れられないくらいなのだ、それを彼は上手く利用する、生徒一人一人になるべく印象を植えつけるようにしている、彼は温和で優しそうだなど、好印象でも悪い印象でもかまわない、ゆえに平賀源内のすごいところは記憶力などではなく記憶しようという心意気である。

 それに加え記憶に大事なことは重複であるが故に、彼はこれでこのレポートに目を通すのは二十回目である、その根性も見上げたものだが。

 ふと、彼のレポートを捲る手が止まった、平賀源内は目を細めると、微笑にも嫌悪にも似た表情で一つのレポート用紙をじっくりと見る、そして小さく呟いた。

「わからん」

 そのレポートに添付されている写真は立体の三次元フィルムが貼り付けられていて、角度をかえるごとに横顔や下から見上げたときの顔の形までわかるようになっている最新鋭の技術である、その三次元フィルムに真剣なまなざしで移っている一人の青少年の顔、少し癖のついた長めの黒髪に、真っ黒な黒色の強い瞳、純日本人というほど彼の顔かたちは日本と言う言葉がしっくり来る、と同時に、人ごみにまぎれて過ぎ去れば数秒で彼の記憶からも消えてしまいそうなほど、平凡でもある。

 平賀源内の言葉、わからんはこの平凡でいかにも、主人公になどなれそうも無い青少年が、この九十九学園に合格したことも含めた言葉であった。

 九十九学園の試験内容においてこちら側が用意できるのは試験問題だけである、特異能力測定検査や脳内スキャンなどは国が認めた機関でしか使用が出来ないため、そちら側に九十九学園は干渉することがほとんど無い、しかし、ここに入学さえしてくれれば、こちらの技術を総動員して教え子を育て上げることが出来るのだ、しかし。

 平賀源内は写真を眺める、写真に写る浦崎表麻の表情は変わることが無い。

 彼はこの学園に合格した唯一の落ちこぼれである、そして彼のレポートには重要な特異能力レベルが書かれていない、開花後の期待も見込みありと言う曖昧なものである。機関に問い合わせてみるものの返事は茶を濁すような回答ばかり、だが彼は合格なのだ、試験では赤点をギリギリで掻い潜り、授業はサボってばかり、客観的要因を追求すれば彼は下位特異能力者。

「ふん」

 平賀源内はそのレポート用紙をまるで良くない点数を取ったときの高校生みたいに、グシャグシャに丸めると、近くのゴミ箱に投げつけた、カコンと気持ちのいい音が響きその紙くずはゴミ箱に中に納まった。





 コッテリと油分まで絞られた表麻はぐったりとしながら重い足取りで教室のほうへと向かっていく。

 彼の平和はここに来て壊されてばかりである、何が面白くてこんな学園に入ってしまったのだろうかと、表麻は時々思いながらため息をつく、と、ため息と同時に目を閉じたためか前方から歩いてくる女子生徒とぶつかってしまった、肩と肩同士のためそれほどでもなかったが。

「あ、ごめん、大丈夫か?」

「あ…………はい、大丈夫です」

 妙に間の空いた受け答えに表麻の頭にはてなマークが浮かぶ、すると彼女の隣にいた女子生徒が。

「ね、いこ」

「う、うん」

 その子に引っ張られるように彼女は自分の横を通り抜けて行く、なんだ? と思いながらも表麻はさして気にする様子も無く歩こうとしたが、不運にも小声が彼の耳に届く。

(さっきのあれって、浦崎表麻って奴でしょ1-Eの?)

(そうだけど、どうかしたの?)

(この学園で一番の落ちこぼれ何だって、笑っちゃうよね~、夏休み前なのに下位のままとか)

(ちょ、ちょっと、聞こえるよ)

「はぁ~」

 そんな話を聞きながら表麻はもう一度深いため息を吐く、言わせておけば良いのさあんなもの、と表麻は勝手に結論付け、頭をかこうとした手に目が行った。

 幸か不幸かこの体に宿る特異能力。

(こんな平和と無縁な能力なんざいらねーっての)

 昔は核兵器などが点在した物のそれを行使しようなどと狂った輩等はいなかった、そんなものを地球の同じところに三発ぶっ放した瞬間地球上の生命と言う生命は根こそぎ絶滅しかねないからだ、しかし、特異能力はそれを簡単にひっくり返したのだ、上位特異能力者、特異能力者達のトップに立つ存在、上位と言ってもその中でさらにA~Eまで五つに細かくランクが分かれている、中でも上位特異能力者のAランクは核兵器すらも凌駕する能力の持ち主だと言われていて世界でも数は限られている、この学園にもランクAの上位特異能力者がいるとかいないとか……。

 そのような兵器並みの特異能力を日本は多く抱えているため、他の国から毎日のごとく干渉されているのである、日本政府はもともと憲法九条に則り、戦争など無駄な争いは生まないとして、特異能力者を戦場に狩り出すことなど無いと思うが。

 では何故特異能力の為の学園や大学があるのか……それは勿論争いを回避するためである。

 自衛と言う言葉がある、あくまで攻撃を受けなければこちら側からは何の圧迫もかけない、しかし攻撃を受けた際は全力でそれを防ぎ、さらにこれほど強力な人材があるのだから攻撃をしないほうが得策ですよと、特異能力者を多く輩出することで隠喩として世界に見せ付けているのである。

しかし、その所為で世界とのバランスも非常に不安定になってきている、アメリカとロシアはたまた中国などの勢力は、次第に日本と言う島国に勢力図をいつかは塗りつぶされてしまうのではないかと、不安を抱え込んでいのだ。

 そのような争いを生むこの特異能力、表麻は非常に不愉快に感じているのだ。

 もともと、平和を酷く好む彼だからこそ……。

 と、表麻が自分の教室に戻ろうとしたときだ。

 教室でなにやら怒号が飛んでいる、しかし、出て行くときの平和的な争いではない、声にどこか殺気が混じっている。

 声を良く聞くと、そのうちの一人は夕香だということがわかる、それに声を返しているのは聞いたことはあるのだが、名前を覚えていない男子生徒二名だと思われる。

 表麻は少しばかり表情を曇らせながら教室の扉をあける、いつもより扉が響かせる音が大きく感じられた。

「…………」

 教室に入ると、まるで砂漠の昼夜のように怒号がピタリと途絶え、鳥肌が立つほどの冷たさが教室を支配した。

 表麻が予想したとおり、争っていたのは夕香と男子生徒二人、だが表麻が入ってきた瞬間にその三人は表麻を見るとばつの悪そうな顔をしていた。

「? どうかしたか、俺の顔に何かついてる?」

「別に、なんでもねーよ、行こうぜ」

 二人の男子生徒は表麻から強引に視線を外すと前の扉から出て行く、教室内は少しずつだが話し声が戻りつつある、表麻はこちらを見続けている夕香に視線を移した、夕香は地面をへこませかねない勢いで此方に歩み寄ってくる、自らの危機を感じた表麻は体を硬くしながら。

「え、えーっと夕香さん? 何かあっ―――」

「放課後……少し付き合いなさい」

 すれ違いざまにそう言われ表麻は言葉を飲み込んだ、夕香はそのままどこかへと行ってしまい、詳しいことを聞くことが出来なかった。

 表麻は首をかしげながら自分の席へと戻り。

「利峰」

「なんだーい?」

 呼んでからすぐ、彼は表麻の机の前に立つ。

「何があったんだ?」

「まぁ……簡潔に言っちまうと、だ」

 少し躊躇うように利峰が口を動かす。

「お前のことについてなんだよなー」


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