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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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がしゃどくろ

作者: 國米修市
掲載日:2026/10/12

本作は、TOKYO MXにて土曜朝7:30から放送されていた15分間の特撮テレビシリーズ『妖ばなし』(L4製作)の第38話「がしゃどくろ」として放映された映像を元に、AIの力を借りて小説形式に書き起こしたものです。

誘拐事件に巻き込まれたワガママなお嬢様と、彼女を助けようと奔走するちょっとドジな運転手。そんな絶体絶命の二人の前に、突如としてビルをも見下ろす巨大な骸骨の妖怪「がしゃどくろ」が立ちはだかります。

特撮ならではの巨大妖怪が街を破壊して迫りくるパニックホラーの迫力と、極限状態で育まれる二人の少しコミカルなロマンスを、文章でも楽しんでいただけるよう執筆しました。

少し恐ろしくもエンターテインメント性あふれる妖(あやかし)の世界を、どうぞ最後までお楽しみください。

皆様は、『がしゃどくろ』と呼ばれる妖怪をご存知でしょうか?

戦死者や、野垂れ死にして埋葬してもらうことのできなかった、たくさんの骸骨が集まって巨大な妖怪になったと言われている。夜、ガチガチと骨の鳴るような音を立てて現れては、人を襲うのです。

でも、安心してください。がしゃどくろは昔封印されて、今は人を襲うことはできません。……誰かが、その封印を解いたりしない限り。

時は現代。薄暗く埃っぽい、ある古びた倉庫の中。

部屋の中央に置かれた椅子には、真行寺財閥の一人娘である真行寺かおりが縛り付けられていた。口には猿轡(さるぐわつ)を噛まされ、必死にもがいているが逃げることはできない。

少し離れた場所では、誘拐犯である初老の男・西田と、柄シャツを着た小太りの男・菊池が、のんきにトランプに興じていた。

「本当に、警察に通報したりはしてないですよね」

手札を見つめながら菊池が尋ねる。

「今、トシのやつに様子を見に行かせているから、帰ってきたら何かわかるだろうよ」

西田が答えたその時、倉庫の扉が開き、グレーのパーカーのフードを被った若い男、山本トシヒコがコンビニ袋を提げて戻ってきた。

その頃、倉庫の外では、白いワイシャツ姿の若い男が壁伝いに息を潜めていた。真行寺家のお抱え運転手である上杉コウサクだ。彼は誘拐されたかおりを助けるため、自力でこの場所まで尾行してきていたのだ。

倉庫の中では、山本が買ってきた飲み物をテーブルに置きながら報告をしていた。

「警察に通報した様子はありません。家には誰の出入りもありませんでしたよ。コーヒー買ってきました」

「いい感じですね、兄貴」

菊池はいやらしい笑みを浮かべ、拳を握りしめて西田を見た。

「このまま上手くいけば、明日には大金持ってバンコクですね。あの国じゃ、俺たち三人が一生かかっても使いきれない金だ」

西田も満足げに笑い声を上げた。

一方、倉庫の裏手に回り込んだ上杉は、高い位置にあるビニールシートが貼られた窓から中の様子を窺おうとしていた。

しかし、背が届かない。上杉の足元には、古びたお札が貼られている丸く大きな石があった。

上杉はその石を足場にして窓を覗き込もうと、お札の上に思い切り靴で乗り上げた。

「あ……」

その瞬間、上杉は足を滑らせてしまった。

上杉はそのまま背中から石の上に激しく転落し、壁に頭を打ち付けられて気を失ってしまう。

上杉が苦痛に顔を歪めて目を覚ますと、そこは倉庫の中だった。気を失っていた上杉は、両手を太いロープで縛られ、天井から吊るし上げられていた。そのすぐ横には、椅子に縛り付けられたかおりが並ばされている。

その上杉のズボンの後ろには、石に貼られていたお札が張り付いている。

一方、倉庫の外、闇夜に包まれた裏手。上杉が足を滑らせた不気味な石からは、青白い妖気がゆらゆらと立ち昇り続けていた。

吊るされた上杉から、思わず苦痛の声が漏れる。

「うっ……」

誘拐犯のリーダーである西田が冷たい視線で話しかけた。

「おい。目が覚めたか。お前、一体何者だ」

「私、いや私は……ただ、この倉庫をいずれ借りようと思って、下見に……」

上杉が苦し紛れの言い訳を口にすると、隣でかおりが椅子をガタガタと揺らし、猿轡越しに何かを必死に訴え始めた。

「外してやれ」

西田の指示で、菊池がかおりの口から猿轡を外す。自由になった途端、かおりは怒りを爆発させた。

「上杉! あなた何しに来たの。私を殺す気!?」

「いえ、お嬢様が心配で……。変な奴がお屋敷を窺っていたので、後をつけてきたんです」

その言葉に、西田は隣にいた山本を鋭く睨んだ。

「お前のドジか」

「すみません……」

西田が忌々しそうに山本の頭を小突く。しかし、かおりの怒りは収まらなかった。

「本当にもう、余計なことばっかりして! パパがこの人たちにお金を払えばそれで解決なんだから。あなたなんかが首を突っ込んでも、役に立たないどころか話がややこしくなるだけじゃない。本当にもう、どれだけバカなの! しかも簡単に捕まっちゃって」

「すみません……。かおりお嬢様を助けたくて。まさかこんな簡単に……」

情けなくうなだれる上杉を見て、西田がいぶかしげに尋ねた。

「おい、お嬢さん。こいつ一体何者だ。警察か? 探偵か?」

かおりは吐き捨てるように答えた。

「うちの運転手よ。ただの。しかもバカ」

「か、かおりお嬢様……」

そのやり取りを聞き、誘拐犯たちは思わず顔を見合わせた。

「ヒーローがドジ野郎で助かったぜ」

山本が安堵の息を吐いてせせら笑うと、菊池も「全くだ」と声を上げて笑い出した。

ひとしきり笑った後、西田は冷酷な目で二人を見た。

「お嬢さんも、せっかくヒーローが登場したんだ。一緒に仲良くあの世に行ってもらおうか」

「えーっ! だって身代金が入ったら解放してくれるんじゃ……」

かおりが血相を変えるが、西田は鼻で笑った。

「本当にお嬢様だ。もう金を受け取る段取りはできてるし、俺たちの顔をこれだけ見といて、生きて帰れると本気で思ってたのか? おバカはどっちだ。いや、お人好しのお嬢様だ」

「やめてよ! 誰にも言ったりしないから!」

必死に命乞いをするかおりを無視し、西田は短く命じた。

「ハジメ、やれ」

「はい」

菊池が懐から鋭いサバイバルナイフを取り出し、ゆっくりと二人に迫る。

「上杉! なんとかして!」

「なんとかしてって言われても……!」

「きゃあああっ!」

縛られたまま必死に足掻く上杉とかおり。冷たい刃の輝きが、二人の目の前まで迫っていた。

その時、不気味な「カタカタ」という音が響き渡った。

続いて激しい地響きが起こり、倉庫全体が大きく揺れ始める。

「なんだ、どうした。警察か」

西田が上を見上げた直後、天井が轟音を立てて崩れ落ちた。もうもうと舞う粉塵の中、天井の隙間から突き出してきたのは、巨大な白い骨の手だった。

その異様な光景に、菊池は悲鳴を上げてナイフを落とす。同時に、上杉を吊るしていたロープも天井の支点を失い、彼は床へと落下した。

両手を縛られた不自由な状態のまま、上杉はすかさず菊池が落としたナイフを拾い上げ、かおりを縛っているロープを切り裂いた。

「かおりお嬢様」

「上杉」

上杉はナイフをかおりに渡し、力強く頷いた。

「逃げましょう」

かおりが上杉の手首を縛っていたロープを切る。

「待て」と西田が叫ぶが、崩落する瓦礫が彼らの行く手を阻んだ。混乱の中、菊池がかおりに襲いかかろうとするが、上杉が力任せに突き飛ばした。倒れ込んだ菊池の上に、無情にも重い瓦礫が降り注ぐ。

巨大な骨の手は容赦なく倉庫を破壊し、逃げ遅れた山本も瓦礫の下敷きになって潰されてしまった。

上杉とかおりは、崩壊する倉庫から表へと飛び出した。

「かおりお嬢様、早く」

夜の闇の中、二人が振り返って見上げた先には、信じられない光景が広がっていた。

倉庫を完全に破壊して立ち上がったのは、山のように巨大な骸骨――上半身だけの妖怪「がしゃどくろ」だった。

がしゃどくろがゆっくりと二人の方を見下ろす。眼窩の奥が不気味に光り、二人の目とがしゃどくろの目が合った。

カタカタ、カタカタと、骨の鳴る音が夜空に響く。

「きゃああっ!」

走り出す二人。がしゃどくろは二人を追って迫ってきた。その目が赤く発光したかと思うと、目から強烈な光線が照射され、逃げる二人の背後で次々と爆発が巻き起こる。

夜の倉庫街。建物や路上の車を巨大な手で払い除けながら、がしゃどくろが追ってくる。

化け物が路上の車の一台を巨大な手で跳ね上げると、車は宙を舞い、二人のすぐ近くへと落下してきた。

「危ない!」

上杉はかおりを強く抱き寄せた。二人はしっかりと抱き合ったまま地面を激しく転がり、すんでのところで車の大爆発と炎を避けた。

地面に倒れ込み、折り重なったまま、上杉は至近距離でかおりを見つめて言った。

「かおりさん。逃げてください。あの化け物は、僕が命に代えてもなんとかします」

上杉は決死の覚悟で立ち上がり、がしゃどくろの方へと向き直る。

「かおりさん。あなたは絶対、僕が、守る」

その言葉に、かおりは少しうっとりとした表情で頷いた。

上杉は雄叫びを上げ、迫り来るがしゃどくろに向かって無謀にも突っ込んでいく。しかし、巨大な骸骨の一撃であっけなく吹き飛ばされてしまった。

「ぐわっ」

「きゃー!」

上杉は路上に停まっていた黄色い車のトランクに腰から激しく叩きつけられ、地面に転がり落ちた。

その衝撃で、車の中で寝ていた白衣の男が飛び起きる。男は背後から大迫力で迫ってくるがしゃどくろの姿を目の当たりにすると、「うわーっ!」と悲鳴を上げ、慌てて車から逃げ去っていった。

仰向けに倒れた上杉の頭上に、がしゃどくろの巨大な手が振り下ろされる。ダメージで動けない上杉は、ただ迫りくる骨を見上げるしかなかった。

かおりが悲鳴を上げる。しかし、巨大な手が上杉を潰す直前――がしゃどくろの動きが止まり、上杉の背後にある車のトランクへと、一気に吸い込まれるように消え去ってしまった。

キョトンとする上杉。彼が腰をぶつけた黄色い車のトランクには、あの剥がれかけた「お札」がべったりと張り付いていたのだ。

かおりが走って駆け寄り、倒れている上杉のそばにしゃがみ込む。

「上杉! 大丈夫!?」

「はい、なんとか。でも、どうしてあの化け物は、いなくなったんでしょう」

「そんなのどうでもいいわよ。あなたが無事なら」

「かおりさん……」

二人が見つめ合った、まさにその時だった。

「うおーっ!」

背後から大きな叫び声が上がり、生き延びていた西田がナイフを振りかぶってかおりに襲いかかってきたのだ。

驚くかおり。だが、上杉が横から飛び出し、西田の顔面に強烈な拳を叩き込んだ。

西田はナイフを落として吹き飛ぶ。上杉は倒れた西田に馬乗りになり、怒りに任せて容赦なく殴り続けた。

「かおりは、僕が守る!」

「上杉……さん」

かおりは、すっかり上杉を頼もしい目で見つめていた。

ボロボロになった西田は隙を見て起き上がると、お札の付いた黄色い車に乗り込み、急発進して逃走した。

取り残された二人は、静かに抱き合い、見つめ合った。

一方、夜の街を猛スピードで走る車内。

ハンドルを握る西田は、憎々しげに吐き捨てた。

「覚えてろ。きっと復讐してやる」

その時、車の後ろで風に揺れていたお札が、ふいに剥がれて夜の闇へと飛んでいってしまった。

途端に、車の後部座席から青白い妖気が立ち上り始める。西田がふとルームミラーを見ると、そこには不敵に笑う巨大な骸骨の顔が浮かんでいた。

骸骨の片目が怪しく光った瞬間――西田の乗った車は、大都会のど真ん中で大爆発を起こし、炎に包まれた。

皆様の周りにも、どこかにお札が貼ってあるのを見かけたら、決して剥がしたりしないようにしてください。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

今回の『がしゃどくろ』はいかがでしたでしょうか? 特撮ならではの巨大妖怪が迫りくるパニックホラーの恐怖と、お嬢様と運転手の少しコミカルなやり取りを楽しんでいただけたなら嬉しいです。

もしこの小説を面白いと思っていただけましたら、ぜひ映像作品もご覧になってみてください。

作者が手掛ける妖怪ドラマの集大成とも言える映画『もしも、僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。』シリーズが、現在各動画配信サービスにてご覧いただけます。

本作のように、迫力ある妖怪や不思議な存在が登場する見応えのある作品となっております。

◆『もしも、僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。』シリーズ 配信情報

■第1作『もしも、僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。』

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■第2作『もしも、僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。(おかわり)』

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映像ならではの迫力や演出で、また違った妖怪の世界を楽しんでいただけると思います。お時間のある時に、ぜひチェックしてみてください。

どうか、よろしくお願いします。

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