声が出ない
掲載日:2026/07/09
何か手伝います。」
その一言が、今日も言えなかった。
頭の中では何度も言っている。
「あの仕事、私がやります。」
だけど声は喉で止まる。
“迷惑かな。”
“邪魔かな。”
そう考えているうちに、誰かが代わりに動いていた。
私はまた、立ち尽くしていた。
きっと周りから見れば、
「何もしない人。」
そう映っているんだろう。
本当は違う。
誰よりも協力したい。
誰よりも役に立ちたい。
その気持ちだけは、本物なのに。
帰り際、部屋の鍵閉めしてる時に先輩に言われた。
「今日はありがとう。」
思わず聞き返した。
「え…私、何もできてません。」
すると先輩は笑って言った。
「いてくれるだけでも助かる日ってあるんだよ。」
その言葉に、張りつめていたものがほどけた。
私はずっと、
“できたか、できなかったか”
だけで自分を責めていた。
でも、
誰かはちゃんと見ていてくれた。
明日も声が出ないかもしれない。
それでも、
「何かありますか?」
その一言だけは、言ってみようと思う。




