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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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19/33

二回戦

了解。先発オーダー(1〜9番)をそのまま使って、初回(1回裏)の攻撃を“球の質・打者の狙い・ベンチの声・スタンドの家族”まで入れて、細部まで描くね。



1回裏 大阪タイタンズの攻撃(詳細)


相手先発は、城東ナインドリームズの左腕。

オーバースローから腕が大きく振られ、球が「上から落ちてくる」というより、「伸びてくる」。

球速はリトルリーグの中でも頭一つ抜けている。

ただ、制球は安定しない。

気持ちが前に出ると、外へ抜けたり、逆に置きにいって真ん中に寄ったりする。


ベンチの有村恒一郎は、キャッチャーマスクを膝に乗せながら、

投球練習の球筋を目で追っていた。


(速い。でも、抜ける。ピンチで置きにくるタイプやな)


川原監督の声が短く飛ぶ。


「最初は焦らせろ。追い込まれてもええ。粘れ」


スタンドでは河内家。

父の恒一は腕組み、母の恵子は膝の上で手を組み、姉の一香は黙ってグラウンドを見ている。

弟の打席の時だけ、視線が少し鋭くなることを、本人だけが気づいていない。



1番 遊撃手・梶原


梶原は打席に入ると、まず左腕の「握りの深さ」を見る。

球が指先で暴れるか、縫い目が立っているか。

今日の球は縫い目が立っている。つまり伸びる。


初球。外角高め。

“パシッ”とミットが鳴る。ストライク。


(速っ……でも、真っ直ぐや。見える)


二球目。今度は内角に食い込む。

梶原は当てにいくが、差し込まれる。


詰まったゴロがセカンドへ。

一塁アウト。


ベンチで有村が小さく言う。


「内に来るとき、球が強い。けど、外は抜ける。そこ待て」


梶原は戻りながら、何も言わずに頷いた。



2番 中堅手・宮本さくら


さくらは“つなぐ役”だ。

出塁できなくても、投手に球数を投げさせて、癖を洗い出すのも仕事。


初球、外角低め。ボール。

わずかに外へ抜けた。


(やっぱり抜ける)


二球目。ストライクを取りにくる。

外角の甘い球。さくらは強振しない。叩いてファウル。


三球目。内角高め。

伸びる球に差し込まれる。セカンドゴロ。


ツーアウト。


城東ベンチが落ち着き始める。

左腕も、少し肩の力が抜けたように見える。


「三者凡退で終わる」

その空気が球場に流れかけた瞬間——



3番 二塁手・加藤亜由美


亜由美は打席に入る前に一度、ベンチを見る。

川原監督は何も言わない。

でも目が言っている。


(出ろ)


亜由美のテーマは最初から決まっている。


四球でもいい。塁に出て上位に回す。


初球。外へ外れる。ボール。

二球目。外角いっぱいに来る。ストライク。

三球目。内角に食い込む。亜由美は当ててファウル。


投手が少し苛立つ。テンポが崩れる。


四球目。外へ抜ける。ボール。

五球目。際どい外角。


亜由美は“止めた”。

振り出さない。目だけで追う。


ミットが鳴る。


――ボール。


フルカウント。


六球目。

投手は「歩かせたくない」。

だから腕を振る。振りすぎる。


球が外へ逃げる。


フォアボール。


ツーアウト一塁。


タイタンズベンチが一気に息を吹き返す。

加藤家の母・早苗が胸の前で手を握りしめ、父・直人が小さく頷く。


有村がベンチで短く言った。


「よし。ここからや」



4番 三塁手・池永智雄


智雄はバッターボックスへ向かうとき、足取りが少し硬い。


(ここで打てば……)

(正則より先に……)


自分でも分かる“余計な気持ち”。


初球。内角高め、ストライク。

二球目。緩い球でタイミングを外される。


智雄の体が前に出かける。

でも、バットの先で拾った。


打球はボテボテ。三塁線の内側へ転がる。


サードが前に出る。

捕って投げる——間に合わない。


内野安打。


ツーアウト一、二塁。


智雄は一塁で息を整えながら、ちらっと正則を見る。

その目には、嫉妬じゃなく「回した」という仕事の手応えが混じる。



5番 右翼手・河内正則


正則が打席へ向かうと、スタンドの空気が変わる。


母・恵子は無意識に手を組み直し、

父・恒一は顎を引いてグラウンドを見据える。

姉・一香は声を出さない。ただ視線だけを外さない。


正則は落ち着いている。

投球練習の時点で、軌道予測は立てている。


(速球は伸びる)

(外は抜ける)

(フルカウントで怖くなると置きに来る)


初球。ストライク。

二球目。ボール。

三球目。ファウル。

四球目。ボール。

五球目。ファウル。

六球目。ファウル。


フルカウント。


七球目もファウル。

投手の眉間にしわが寄る。


(歩かせたくない)

(でも、外は抜ける)

(じゃあ、ストライクを取りにいく)


八球目。

球がほんの少し高い。

ほんの少し甘い。アウトハイ寄り。


正則が迷いなく振り抜く。


――ガキン!!


打球は一塁線をえぐるように伸びた。

ライト線へ転がり、外野の奥へ抜けていく。


二塁走者がホームへ。

一塁走者も三塁を回る。

二人とも生還。


2点先制。


正則は二塁へヘッドスライディング。

砂が舞う。セーフ。


タイタンズベンチが爆発する。


恵子がようやく息を吐く。


「……打った……」


恒一は小さく頷く。


「ほらな」


一香は何も言わない。

ただ、ほんの少しだけ口元が緩んだ。



6番 捕手・有村恒一郎(ここで“追撃”の布石)


打席に入る有村は、さっきまでベンチで投手を見ていた男だ。

今の左腕は、確実に動揺している。


(点取られて、さらに走者二塁)

(ここは“ストライク取りたい”はず)


初球。外へ抜ける。ボール。

二球目。置きに来る。ストライク。


有村は振らない。

相手の「置きに来る球」を確認するだけ。


三球目。外角低め。

有村が叩く。セカンドの頭を越えるライト前。


正則は三塁へ。


ツーアウト一、三塁。


ベンチの川原監督が頷く。


「ええぞ。まだ終わらん」



7番 一塁手・岸本奈緒


奈緒は大きくは振らない。

転がして一点でも取る。今日の役割はそれ。


初球、低め。ボール。

二球目、外角。ストライク。


三球目。

奈緒は転がした。ファーストゴロ。


だが、打球が一塁線寄りで処理が難しい。

一塁手が捕って投手に入るが遅れる。


奈緒は全力疾走。

ギリギリで一塁セーフ。


その間に三塁走者・正則が還る——と思ったが、

三塁コーチが腕を回すか止めるか、一瞬迷う。


相手投手がボールを受けるのが遅れ、

結局、ホーム送球が間に合わない。


追加点。3-0。


(※ここ、次の展開に合わせて調整可能)



8番 左翼手・三宅陸斗


三宅は緊張している。

でも“最低限”はできる。


バントの構え。

相手が前に出る。

引いて打つ。


ボテボテのゴロがサード前。


三塁手が捕って二塁へ——フォースアウト。


チェンジ。



タイタンズは、初回から「三者凡退の流れ」を

3番の粘りでひっくり返し、

4番が“運”も味方につけ、

5番正則が“読み”で仕留めて先制した。




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