スターダスト
地球から約8000万㌔離れた場所にある「くず星」
直径はわずか10km。太陽・地球と正三角形をなす位置ラグランジュ点4にあり、小さいながらも、奇跡的に安定して軌道上を周回することができている。
「2222年度 第1回くず星移住計画」に参加し
た人々は、クレーターでボコボコな地面の上には小さな家々を建て、3年前から1000人程で暮らしていた。
「痛い!!」ゴツっと頭に石が割れるような音とともに、何かがサランに降ってきた。
「油断した….。」手に取るとそれは漫画だった。
クサイの仕事は、なぜか地球から長い年月をかけてこの屑星にやってくる「くず」と呼ばれるモノを、いつかその受け取り主がこの星に移住してくる時のためにこの収集所で分別することだった。
「あっ!これはメトシェラおじいさんが友達に貸してたって言ってた漫画じゃん!後で届けに行こーっと!」
なぜ、この星にこうしてモノが集まるようになったのかは誰も知らない。分かっているのは、地球で亡くなった人が誰かに渡しそびれた物が、この場所に集まる。ということだけだった。
時々積み重なったガラクタの中にはお金が紛れていたりする。地球で人間が誰かに返済し忘れた借金だ。誰かに届けたかった唯一の物が借金だなんて、可哀想とは思うものの、受け取り主の分からないお金は自分のものにして良い為、クサイはこの仕事を気に入っている。
しかし、3年もの間に積み上がったガラクタからでる腐臭の中で1日を過ごさなければならないこの仕事は、くず星では最も人気のない仕事でもあるのだった。
ガラクタの山をかき分け、地面の奥底に黒く、濡れてしなったボロボロの封筒を見つけた。「これはなんだろう。分別しなくちゃいけないからね。勝手に開いちゃいまーす!」好奇心を抑えられないクサイは仕事だと自分に言い聞かせ、封筒に手を伸ばした。興味本位で無理やりこじ開けたボロボロの封筒に入っていたのは1枚の手紙とブレスレット。
「泣き虫のクサイへ 6歳のお誕生おめでとう。
たくましく元気な子になってね。母より」
「お母さん、早く帰ってきてよぅ…。」玄関扉の前で仕事からなかなか帰ってこない母をずっと待っていた幼い頃の自分の記憶が蘇る。あの日帰らぬ人となっていた母からもらいたかった手紙とプレゼントを8年もの月日を経て手にしたクサイは、ボロボロの封筒を大事に抱えながらガラクタ山の前で泣き叫び続けた。
涙を拭きながら暖炉に火を焚べる。火の中に手紙を放つ。紙は端から黒くなりよじれながらオレンジ色の炎に包まれ、星屑となって宇宙へ消えていった。
名前の由来
クサイ・・・おおいぬ座にある星クサイ・カニス マーイョリスから取った。星言葉は「優しく穏やかな純粋さ」。日本語では「臭い」と捉えられる言葉で、星言葉のイメージとはかけ離れている。




