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結婚式

シンジノアとシャルルはノニ子爵の家に泊まって、ルイスを待った。

サンドラ王女の侍女達は荷物をまとめながらルイスを待った。


数日後、ルイスがレンドル候からの結婚許可の手紙を持ってサンドラ王女を訪ねた。

 そしてサンドラ王女を連れてもう一度レンドル候の屋敷を訪れた。


 すぐに領地のゼノン神殿で結婚式を挙げた。

ルイス側の付添人はシンジノア。出席者はシャルルとハシンと連れて来た兵士だけであった。

ジョレス国王が亡くなってから、長い間、孫娘と会えなかったレンドルとその老妻は涙を流してサンドラを抱き締めた。


 ドレスはブライアンの妻の物、参列者は身内だけという質素な式だったが、サンドラはとても幸せだった。


 ルイスは自分の顔にサンドラの指先を導いた。消えてしまった頬に触れるとサンドラははっとした。

そしてそこを自分の両の掌で包んだ。

ルイスはその上に自分の大きな掌を置いた。

消えた頬が温かかった。



◇◇◇



「この小道を行くと森を抜ける。森を抜けると山はカーラ山脈に繋がっている。だから森を行った方が早い。こちらの太い道はあなた方の来た道だ。来た道を戻るとかなりの遠回りになる。何しろ、アイリス湖群をぐるりと回らなくてはならないからな。だが、安全の事を考えるとそちらの道の方が良いかも知れぬ」

ブライアンは分かれ道でそう言った。

「時々、こっちの森にも蛮族が出るのだ。先月大規模な掃討作戦を実施したから、多分出て来ないと思うが……。残党がいるかも知れない。角笛の音がしたら、それは蛮族だ」



シンジノアは出来るだけ早くこの仕事を終えたかった。

この仕事を終えたら、まずブラックフォレスト王国のサツキナ姫の所に行ってダンテ王やみんなに自分が婚約者だと告げるのだ。もうリエッサ王妃とは何の関わりも無くなったのだから。大手を振って会いに行ける。

そしてリエッサを退位させて兄とサンドラ王女が新しく国を治める。兄はサンドラ王女を聡明で誠実な人だと言っていた。


これから自分は好きな場所で暮らせる。

オルカ国のシャーク宰相はサツキナ姫と結婚したらオルカ国へ戻って来て欲しいと言っていた。

だが、アクレナイトが大変な時に戻る訳にもいかない。

ブラックフォレスト王国から戻ったら父と兄と一緒になって魔女を始末する。

でも、まずはサツキナ姫に。

シンジノアはそう思うと首に掛けた指輪に唇を寄せた。



「私とサンドラは馬車だから太い道を行くしかない。森の中は危険だからシンジノアもシャルル殿も我々と一緒に行った方がいいのではないのか?」

ルイスは言った。


「シャルル殿。どうする?」

シャルルは首を傾げる。

シャルルも早く帰って兄達に父の立派な姿を話してやりたかった。それにもしもリエッサ王妃が軍をカーラ地方へ派遣したらと思うと居ても立っても居られなかった。

「森を抜けるのにどの位掛かりますか?」

「そうだな。急げば2ルワンと言う所だろう。途中に川がある。シテ川と言う、インディグランドの支流だ。かなりの急流だが、下流に向かえば丈夫な橋がある。川に沿って行くのだ。手前にある橋は止めておいた方がいい。あれは古くなっている」

「だったら、私は森の中を行きます。2ルワンなら平気でしょう」

シャルルは言った。


「俺もそうしようと思った」

シンシノアも笑顔で頷いた。

「兄上。カーラ山脈から行った方が近い。俺は早くブラックフォレスト王国へ行ってサツキナ姫に会いたいんだ。だからこっちから行くよ。シャルル殿も途中まで送って行く。大丈夫だ。馬ですっ飛ばすよ。それに腕利きの兵士もいるから」

シンジノアはそう言った。


「分かった。では気を付けて行けよ。サツキナ姫に会ったら宜しく伝えておくれ」

「分かった。兄上こそ気を付けて。サンドラ姫。また後程、領地でお会いしましょう」

ルイスとサンドラの馬車は出立した。


「では、シンジノア殿。シャルル殿。お気を付けて行かれよ」

レンドル侯の息子、ブライアンとその従者達はそう言って去って行った。


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