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レノン湖 3

「ルシールおばあ様ぁ~」

ルシールは甘えた声を掛けた。

うとうととしていたリエッサはその声で目を開けた。

思わずぎょっとする。


「会いたかったわ。ルシールおばあ様。一体どこに隠れてしまったのかと思っていたの。お母様ったら、貴族の別荘に遊びに行っているなんて言って、自分がその貴族じゃないのよぉ。もしかしたらと思って来てみたけれど、当たりだったわ~」

「ひぃぃぃ~」

リエッサは悲鳴を上げた。

「た、助けて。ま、魔女が」


ベッドから転げ落ちそうになった所をルシールは「おっと、危ない」と言って支える。

「落ちて打ち所が悪くて死んでしまったら困るでしょう? お話が聞けなくなるもの」

「さ、触るな。ま、魔女、だ、だれかあ~。ひぃぃぃ~ま、魔女が~」

リエッサは掠れた声で叫ぶが、誰もやって来ない。

「誰も来ないわ。だって、みんな死んでいるんだもの」

ルシールはにっこりと笑った。

リエッサはその言葉に凍り付いた。



「聞きたい事があるのよ。それにいつまでもここにいられないの。教えてくれたら命は助けてあげるわ。その代わり、死ぬまでルシールとして生きるのよ。いい? 決して自分がリエッサだなんて二度と言っては駄目よ。ミアにもちゃんと言うのじゃ! 今まで自分が嘘を吐いていたと。そうしなかったらミアも死ぬぞ!!」

リエッサはぶるぶると震えている。

「返事は?」

そう言うとルシールは老女の頭をぺしりと叩いた。

「返事をしなさい!」

また、叩く。

リエッサは「はい」と小さく言って薄くなった頭に手をやる。


ルシールはけらけらと笑った。

「ああ、いい気分だ。こうやってお前を叩いてやりたいと何度思った事か。生意気な子供のお前を。我儘し放題に育った愚かな娘。リエッサや。聞きたい事がある。お前はサンドラ王王女をどこへ隠した?」

「サンドラ王女?」

「お前は儂の言う事を聞かなかったのじゃな? 塔に幽閉しろと言ったでは無いか。幽閉したと言いながら、どこかへ送ったであろう」

「ああ。……そうねえ。どこだったかしら」

そう言って目を閉じた。


すうすうという寝息が聞こえる。

「寝るな! 早く教えろ!」

ルシールはリエッサの胸元を掴んでグラグラと揺すった。

リエッサは揺れながらにへらりと笑った。

ルシールは手を止める。

「今、笑ったか?リエッサ?」

ルシールは凍るような声で言った。



リエッサはクックと笑った。

「おいぼれのゲス魔女になんか話す事など無い。お前は火あぶりになればいい」

リエッサの言葉にルシールはムカッとした。


「サンドラ王女の居場所を知っているのは私だけだ。後は誰も……ああ~。そうだ。ルイスも知っている。何故ならルイスが選んだ貴族に王女を預けたのだからな。今頃、サンドラ王女にプロポーズでもしているだろうよ。はははは。いい気味だ。

お前は私がお前に唆されてやった全ての事を背負ってリエッサとして処罰されるのだ。私は自分が毒を盛ってジョレス国王とリナ王妃を殺害した事を文書にして、ある人物に託したよ。もしも私が死んだらそれを公表してくれと頼んだ。ひぃひぃ。(笑)


ああ、誰かは教えない。お、し、え、なぁ~い。


ルシール婆よ。その内、お前は魔女だという噂も広まるだろう。いい気味だ!」

そう言うとリエッサは狂った様に笑い続けた。

怒りに我を忘れたルシールが殴っても笑いは止まらなかった。

「ひぃひぃ、魔女は火あぶりだ!げほっ、げほっ。ひぃひい。魔女は、ひ、火あぶり、ひ、あ、ぶ、り ♬」

「うるさい!!」

ルシールはリエッサの顔に枕を押し当てた。

「く、苦しい。あは、あはは」

藻掻きながらも笑いを止めないリエッサの顔にもっと強く押し当てる。

リエッサは苦しがっていたが、その内ことりと動きを止めた。



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