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ハアロとミア

ミアは馬を降りると「お疲れ様」と言って馬を撫でた。

馬丁に馬を託す。

ララも馬を降りた。


「ララ。あなた、とっても乗馬が得意ね」

ミアはララを褒める。

ララは「有難う御座います。でも、奥様程では御座いません」と微笑んだ。

ミアは、落ち着いていて有能なこの若い侍女を大変気に入っていた。


「奥様。リエッサ様がお見えでした」

馬の世話をしながら馬丁が言った。

「えっ? 午前中から?」

ミアは驚いた。

「それでどうしたの?」

「もう、お帰りになりました」

馬丁は返した。

ミアはほっとした。


部屋に入ると食べ散らかしたテーブルの前で将軍がぼーと座っている。

「あなた、リエッサが来たのですって?」

ミアは尋ねた。

「ああ……」

ハアロはぼんやりと答えた。

「お前がレノン湖へ行っているから一緒に馬で行こうと誘ったのだが……」

ミアはどきりとした。

「ねえ、まさか私の別荘の事を話していないでしょうね?」

ハアロもどきりとした。

そうだ。別荘の事は黙っていてくれと言われたのだった……。

すっかり忘れておった。



「別荘の事など何も言っておらん」

ハアロは慌てて言った。


「そう。それならいいけれど……。リエッサは行かないって言ったでしょう?」

ミアは言った。

「何で知っている?」

「だって、前に私が乗馬に誘った時にも断ったもの。……おかしいのよねえ。王宮に帰ってから別人みたいで。ねえ、あなた、リエッサには悪魔でも取り憑いたのかしら?」

そう言ってミアは突然閃いた。

「あなた、これはきっとジィド伯の呪いよ! ジィド伯の怨念がリエッサを健忘症にしているのよ!」

「ば、馬鹿を言うな」

ハアロはぎょっとして言った。

「ねえ。このままではリエッサは廃位されてしまうわ。頭がおかしいと言われて。即急にブラックフォレスト王国のゼノン大神殿へ連れて行って悪魔祓いをしてもらった方が良いのでは無いかしら?」



 ミアは賢い女性だった。

ルイスの言う事もよく理解していた。確かにウチのダンナは「リエッサはルシールでルシールは魔女だ」と言った所で信用などする訳が無い。(それはダンナに限らずの話だが)。だから下手に騒ぐと侮辱罪で処罰されてしまうと言うルイスの言葉も納得していた。

それにダンナに言ったら必ず事を荒立てて悪い方向へ進んでしまうに違いない。

確かに薄氷を踏む思いだ。


ミアにはもう王位などどうでも良かった。ルシールがリエッサの体を返してくれて、あの魔女が消えてくれればそれでいいと思っていた。それには悪魔祓いしか無いと思っていた。出来る事ならブラックフォレスト王国のネオサルト大神官に祓って貰いたいと思っていた。


ハアロはミアの言葉を考える。

今までは一笑に付していたが、ジィド伯の呪いと言われると、それはそうかも知れないと考え始めた。リエッサの様子は余りにも変過ぎて。



「……儂にサンドラ王女の事を聞いて来た」

ハアロはぽつりと言った。

「サンドラ王女?」

「そうじゃ」

「お祖父様のレンドル侯が連れて行ったのじゃないの?」

「いや、レンドルじゃ無い。どこか別の貴族の所だ。リエッサはレンドルの軍(東軍)の分割を命令した。そして分割した半分を我が西軍に組み入れた。事実上の東軍の消滅じゃ。

その見返りにサンドラ王女を城から出した。

 

貴族達には城で幽閉してあると言ってある。面倒じゃからのう。

だが城にはおらん。


サンドラ王女は幼い頃に大病を患ってそれ以来失明してしまった。何も出来ぬ王女よ。嫁にしようとする男もおらん。王妃に睨まれて命を捨てる様なモノじゃからのう。誰もあの王女には興味を持たぬ。だからうやむやのままじゃ」


「どこにいるかはレンドルとリエッサしか知らん。リエッサはレンドルと仲の悪い貴族の所だとは言っていた。じゃが、レンドルと仲の悪い貴族など掃いて捨てる程おる。頑固で真面目過ぎるし、気難しい男じゃからのう。


それで儂にも教えんのじゃ。儂に教えたら儂がサンドラ王女を殺してしまってレンドルに復讐されると言ってな。そうなったら王都はめちゃくちゃだとまで言いおった。全く腹立たしい! 一体誰のお陰で王妃になれたと思っておるのか! あの娘は!」

一瞬激高し、どんと机をたたいた。皿ががしゃんと床に落ちた。

ミアはびくりとする。


「それなのにサンドラ王女はどこにいるのかと儂に聞いたのじゃ! ありえへん話じゃろう!!」

ハアロは怖い顔でミアを見上げた。

「リエッサが忘れてしまったら、サンドラ王女の居場所を知っているのはレンドルだけになる」


ミアは何と言っていいのか分からなかった。


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