フロレス武官 2
フロレス武官はぽつんと小部屋で椅子に座っていた。
今からリエッサ王妃に手紙を書くから、そこで待っておれと言われたのだ。
彼はぼーと待っていた。
侍女がお茶とお菓子を運んで来た。
無言でそれを置くとフロレスを睨んで出て行った。
フロレスが部屋を出て、サツキナは覚悟を決めた。これはいよいよ本当の事を言わなくてはならないと思った。どちらにしろルイス様とスズメバチの結婚は無くなったのだ。
サツキナの話を聞いてみんなが驚いた。
誰もが唖然とした。
「ウチにやってきたあの男がシンジノア・シャークだと!? あの者はルイス・アクレナイトでは無かったのか?! 本人もそう言っておったし、周りの従者達もそう呼んでおった!」
サツキナはリエッサ王妃の錯乱について話をした。それから幼い頃にアクレナイト家に養子に出されたシャーク宰相の実子だという事も。
誰もが目を丸くして聞いている。
「そんな馬鹿な。兄と弟を取り違えるなど、有り得ない!」
ヨハンが言った
「じゃあ、シンジノア・アクレナイト=シンジノア・シャークなの?」
ロキが叫んだ。
「なんだ。それ!」
「モーレイ殿、これはどう言う事ですか?」
お鉢がモーレイに回って来た。
モーレイも黙っている訳にもいかずに本当の話を始めた。
カラミス王子は合点した。
「だから、兄上はシンジノア・シャークなど知らないと言ったのだ。頭巾の騎士が本当のルイス・アクレナイトなのですね?」
「そうです」
サツキナは小さな声で言った。
「黙っていて御免なさい。カラミス様。カラミス様には申し訳が無くて……お話したかったのですが、まだ秘密にしてくれとシンジノア様に頼まれて……」
サツキナは頭を下げた。
「ああ。やっと納得出来ました。色々と。だから彼はあんなに私が同行するのを嫌がったのですね」
カラミスはくすくすと笑って言った。
「と、言う事は今回ウチに攻めて来るのはサツキナの婚約者と義兄と義父という事になるのだろうか? モーレイ殿」
ヨハンは言った。
「かなりシュールな展開だな?」
「いや、それは絶対に有りません。有り得ません。多分、リエッサの独断です。私がアクレナイト侯の所に直接行って確認をしてきます。すぐに出立致します」
そう言って、部屋を出て行こうとした彼を遮ってダンテは言った。
「ちょっと待ちんしゃい。そう急がんでええから。……儂からアクレナイト侯へ手紙を持って行って欲しいんじゃ」
「あ、……はい。ダンテ王。仰せのままに」
モーレイは答えた。
ダンテは頭を抱えたままどさりと椅子に座った。そうしてサルに手を伸ばすと「モモや。その前に儂の頭をマッサージしてくれんか? 儂はもう何が何だか分からん」と言った。
「きっ。(御意)」
モモはダンテの体を駆け上がるとダンテ王の頭に乗ってダンスを始めた。




