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ミアとルイス 1

ミアはばたりと閉められたドアを見詰めていた。

有り得ない話だが、やはりリエッサはおかしい。

遠乗りの話も覚えていないなんて……。

結婚式に曲を演奏するなどというのは嘘だ。リエッサにカマを掛けてみたのだ。リエッサは見事に引っ掛かった。


 もしかしたら……ルシールの言っている事が正しい?

ミアは心に浮かんだその考えにぶるりと震えた。

そんな事が出来るのだろうか? 出来るのならそれは人では無い。魔女だ。

まさか、まさかとは思うが……。

ミアは体の震えが止まらなかった。


これはすぐに夫に相談せねばと思った。だが、夫は今ジェド伯対応で王都を離れている。それにこんな考えは馬鹿げていると言って一蹴するだろう。きっとそうするに違いない。

私だって信じられない。

一体どうすればいいのだろう。

ミアは混乱した。


ある考えが頭を過った。

もしかしたら、テスタロッテはルシールに殺されたのでは……?

リエッサが小さい頃から仕えていた。ルシールが入れ替わったならその言動はおかしいとすぐに気付くだろう。

彼女は王宮でも侍女として身近に仕えていた。

ミアは青くなった。


 その時、廊下の向こうからフロレス武官が慌てだしくやって来た。酷く狼狽している。

ミアは慌てて道を譲った。

フロレス武官はミアに気が付かなかった。それ位慌てていた。

後から数名の騎士がやって来る。ミアは先頭に立った大柄な騎士に目をやった。その堂々とした姿。ミアはあっと声を上げた。

騎士はミアに気が付いた。

そこに立ち止まってミアを見詰める。



頭巾に覆われた顔は目だけが鋭く、ミアはまた背筋が冷たくなった。

「これは、ミア・ハアロ様。私のかつての義母殿では有りませんか。ご無沙汰しておりました」

ルイスは冷凍されたみたいに固まったミアの前で礼をする。

「ル、ルイス・アクレナイト侯……死んだ筈では……」

ルイスは皮肉な笑いを浮かべた。

「生憎、命は永らえました。生死の境をさ迷いましたがね。天はまだ私に仕事をせよと言っているでしょうな。たった今イエローフォレスト王国へ帰って来た所です。まずはかつての我が婚約者殿にお会いしないと、と思ってやって参った所です。では」


ルイスは目礼をして去って行く。その後ろから数名の騎士が付き従う。

ミアは固まったまま彼等の後ろ姿を見ていたが、突然その後を追って走り出した。



評価してくださった方、有難う御座います。

すごく励みになります。これからも宜しくお願いします。

長い物語ですが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。

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