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ダンテ王とお客人 

ある日、ダンテ王の所に二人の使者がやって来た。


一人は西の検問所からの使者である。

「ダンテ王。西の検問所にカラミス・ブロンテ公が見えています」

「何? カラミス殿が?」

うーむ。何か忘れ物でもしたのかの?

それも西から来るとなるとサンドドラゴンとやらに乗って来たのに違いない。

緊急の要件なのだろうか?


「して、どのようなご用件で?」

「レッドアイランド王、ホラン国王の親書を携えておられます。直々にお目通り致したいとの事で御座います」

「よい。許す。こちらからも兵を送りお迎えに上がる。大切なお客人だから失礼のない様に。ロベルトよ。すぐに手配せよ」

ダンテ王は傍らのロベルトにそう言った。



そしてもう一人の使者はイエローフォレストで暗躍中のヨハンが送って来た使者である。

使者の言葉を聞いてダンテ王は驚いた。

「な、な、な、何だと? 妊娠は嘘?」

「はい」

「……」

「ヨハン様の情報ですと、森番の作った月のものを止める薬を飲んでいたと」

「何と!!」

「大変高価で需要の少ない薬なので不思議に思って誰が買っているのか調べに行ったそうで御座います」

「……それがリエッサ王妃だと?」

「はい」

「……」



ダンテ王は暫く声が出なかった。

ぽつりと「呆れた話よ」と言った。

「話にならん。これはリエッサ王妃の退位も近いの。のうロベルト」

「真に。しかし、騙されたアクレナイトはいい笑い者ですな」

「全く。気の毒な事じゃ」

ダンテは先頃ブラックフォレスト王国を訪れたジョージとリエッサの様子を思い出していた。妊娠しているリエッサを目を細めて見ていたジョージの顔が浮かぶ。

「温厚なアクレナイトも流石に黙ってはおらぬだろう」

ダンテ王は呟いた。


その数日後カラミス王子は王宮へ到着した。



◇◇◇



「ホラン国王が我が国と親交を?」

 ダンテ国王はホラン国王からの親書を手に取りそう言った。

「はい。その為に私をブラックフォレスト王国へ遣わしたのです。その下準備の為に」

カラミス王子はそう言って頭を下げた。



「きぃ」

カラミス王子の隣に控えるサルも頭を下げる。

「うむ……」

ダンテ王は暫し考える。

「確かに西の大砂漠に道が開かれるのなら、我が国の商人もレッドデザイアーの国々に商売に向かう事が出来る。其方らの狙いはブラックマッシュルームだろう」

ダンテ王は言った。



「流石ダンテ王。ご明察通り。我が国はレッドデザイアーにおけるブラックマッシュルームの流通を請け負いたい。そう願って参ったので御座います」

カラミス王子は返す。

「うむ……して、その見返りは?」

ダンテ王の問いに対してカラミス王子は首を傾げる。



「何をお望みですか?」

「きぃ?」

サルも首を傾げる。

ダンテはカラミス王子とサルを見比べる。サルが気になって仕方が無い。


「カラミス王子。そのちっさいサルは一体何じゃ?」

ダンテは尋ねた。

「私の従者モモです」

「そんな小さいサルを見たのは初めてじゃ」

「サラマンダー国に生息するポケットモンキーです。これはジル王女が私の従者にと貸してくださったのです」

そう言ってカラミス王子はサルに手を伸ばした。

サルはカラミス王子を駆け上がり、肩の上に乗る。



「賢いサルです。人の言葉が分かるみたいです。……ダンテ王。触ってみますか?」

ダンテ王は頷いた。

カラミスは立ち上がってサルをダンテ王に手渡した。掌に乗る程のサルである。サルは大人しくダンテ王の掌に乗って円らな瞳で彼を見上げている。

ダンテは微笑んだ。



「可愛いのう。其方はモモと言うのか。モモよ。儂の肩にも乗っておくれ」

ダンテがそう言うとモモは腕を駆け上がってダンテの肩に乗った。

ダンテは至極満足である。


「さて、カラミス王子。話の続きであるが、何だった? ……そうそう、見返りの話じゃ。見返りは軍事支援じゃ。今、我が国はイエローフォレストとの関係が悪化しつつある。我等はリエッサ王妃にこれ以上金を払うのは拒否する事に決めたのじゃ。支援は表立ってでなくとも良い。傭兵という形であっても良いのだ」

ダンテ王は言った。



「分かりました。それではその様に国の兄に遣いを送りましょう。すぐに送ります。

……ダンテ王。サツキナ姫のご婚約、おめでとう御座います」

カラミス王子は微笑んだ。

「うむ。有難う。オルカ国宰相シャーク殿の息子殿と婚約した。其方もご存じであろう」

「はい。とても立派な方でした。体が大きくて度量も大きな方と」

「うむ」

ダンテ王は満足げに頷く。


「ところでサツキナ姫はどちらへ?」

カラミス王子は尋ねた。

「森番の所じゃ。明日には帰って来るじゃろう」

ダンテは言った。



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