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ヨハン 3

 その日の朝の事。

 ヨハンはゼノン神官の衣装を着けると馬に跨ってアクレナイト家の屋敷を訪れた。

 自分はジィド辺境伯の遣いだと言って門番に手紙を渡した。



 ヨハンはアクレナイト家の衛兵が門の中に入るのを確認するとすぐそこから立ち去った。

 近くの宿に入る。そこで待っていた仲間に衣装を手渡した。平民の姿で宿を出て行く。ジェームズと一緒にアクレナイトの屋敷を見ていた。暫くすると屋敷から馬に乗った従者が出て行った。



 1刻程待つと今度はルイス・アクレナイトが門から屋敷へ入って行った。

 それを確認したヨハンとジェームズ・ボンド(商店)はにんまりと笑う。

「引っ掛かったな」

 ヨハンは言った。


 その後屋敷の出入りが慌ただしくなった。

 兵が出たり入ったりしている。武具の音が聞こえる。


 夕方近くになって兵の一群が門から出立して行った。

 鎧を身に着けたルイス・アクレナイトが先頭である。


「仲間にルイス・アクレナイトがどこに向かうか調べろと言ってくれ。そして事の子細をすぐにブラックフォレスト王国へ知らせるんだ。俺はもうひとつ、証拠を渡して置いてやろう。これは一騒動起きるぞ。ジョージ・アクレナイトがどう出るか楽しみだ」

 ヨハンはそう言うとにやりと笑った。


 ◇◇◇



 ルイスが兵を連れて立ち去った次の日、花売りがアクレナイト家の家にやって来た。

 花売りは門番に豪華な花束を渡した。

「これを是非ルイス様にと、ある姫君からお願いされました」

 花売りは言った。

「ルイス様なら暫く戻られぬ。奥方のロクサーヌ様に渡して置こう」

 門番は花束を受け取るとそのまま入って行った。

 花売りの二人はその場を離れた。


 侍女が花束を抱えてロクサーヌの部屋を訪れた。

「奥様。ルイス様宛に花束が届いております」

「花束?」

 夫人の眉がぴくりと上がる。そしてさっと立ち上がる。

「あら、まあ。豪華な花束ね。どなたかしら?」

 ロクサーヌは花束を手に取る。

「お名前は伺っておりません。奥様。花の中にカードがあります。きっとここにお名前が」

 ロクサーヌはカードを開けて見た。

 そこには一人の男の名前と住所が書かれていた。

 ロクサーヌはそのカードをじっと見て侍女に言った。


「すぐにその花売りを呼び戻しなさい」


 ◇◇◇◇◇◇


「これをお前に頼んだのはどんな男だったの?」

 ロクサーヌはベールを被った花売りに尋ねた。

 部屋の中にはロクサーヌと花売り女しかいない。


「見た事の無い男でした。平民の姿をしていましたが雰囲気からすると平民では有りません。凛々しい騎士の様です。美丈夫で気品がありました。

 実を言うと自分はある高貴な姫君の従者であるが、我が姫に是非ルイス様に花束を渡して欲しいと頼まれたと言っておりました」


「他には?」

「先日、ハアロ大将軍の家に花を持って行った時にその男と会ったのです。男はハアロ大将軍の屋敷を伺っていた様子です。私にあれこれと聞いて来ました。家には誰がいるかとか若い女はいないのかとか、リエッサ王妃は最近よく帰って来るのかとか。私は適当に答えて置きました」

 ロクサーヌは頬に手をやりじっと花売りを見る。

 そしてにっこりと笑った。

「有難う。エル。あなたの献身は我がアクレナイト家にとって大変有難い事です。早速この名前を調べるわ」

 ロクサーヌはそう言うとメッセージカードをピンと指で弾いた。


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