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13話 The Emergency Protocol

実験と改良が繰り返される毎日。そんな時、ゼロ・ポイントに異変が起こる。


彼に一体何が…。


一方、その裏では、すでに魔の手が喉元を掴もうとしていた。


果たして、どうなってしまうのか…。


急変する事態、迫り来る危機、少年少女の未来はいかに!?

私は何処にいる?私はどうして?私は一体…。あれ、僕?俺?私って何だっけ?そもそも私って、この世に存在していたのか?とにかく、ここは何処だろう?暗い。何も見えない。誰も、何もない。ここには私?が独りだけ…。いつからだっけ?俺はアンセス?ゼウス?ゼロ、ポイント…。そうだ…私、俺はゼロポイント。俺には家族がいた。かけがえのない家族が…

 その瞬間、視界は急激に明瞭になった。ああ、そうか…。思い出した。思い出してしまった。みんながいるわけないじゃないか。だって、皆は…ワタシガ、スクッテヤッタノダ。

 

 むせ返るかのような血の匂い。辺りは死屍累々。惨劇なんて言葉は生ぬるい。その中には、間違えようもなく、俺の家族が、みんながいた。肉が裂け、血に塗れ、その顔から生気の欠片も見えない。どうして?俺が殺した。なんで殺した?それが俺の使命で、役割だから。俺の使命って?そんなの決まってる。


 セ カ イ ヲ 、コ ワ ス 

 

 ウルサイウルサイウルサイウルサイキエロキエロキエロキエロオレハオレハオレハオレ…ハ…ワタシダワタシダワタシダワタシダチガウチガウチガウチガウミヲマカセヨダマレダマレダマレダマレワガシメイヲハタセタスケテタスケテタスケテタスケテクルシイクルシイクルシイクルシイ


 私ガ皆ヲ救ウノダ。サァ、今一ツトナロウ。神ハ降臨シ、世界ヲ蹂躙シ、世俗を浄化し、新タナルアダムトシテ導クノダ


アンセス「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」


 目の前に得体の知れない黒い影が見えた時、俺の視界が切り替わる。そこが自室だと認識するのに、さほど時間はかからなかった。体の至る所から汗が噴き出し、心臓はバクバクと脈打っていた。五月蠅い、五月蠅い、五月蠅い。血が沸騰しそうなほど体が熱を帯びる。恐怖が脳を支配する。怖い。恐ろしい。苦しい。助けて。でも何処かで、確かに、幸福を感じていた。今はただ人肌を欲していた。誰でもいい。誰か、そばにいて欲しい。最近ずっと、おかしな夢を見る。カマエルとの実験から一二ヶ月経った。それからというもの、改良によってみんなの持つ能力を得ることとなった。しかし、それに伴って、自分が分からなくなってしまうことが増えていった。そうしてここ数日、先ほどのような夢を見るのだ。


アンセス「みんな、ミン、ナ…。」


 その瞬間、夢の光景がフラッシュバックし、恐怖は深く身を包む。目にした惨状が、脳裏にこびりついて、錆のように剥がすことができない。


 「俺がみんなをコロした?救ったわけがない。あんなにも悲惨で?いや、何を言っている?だって、あんなにも幸福だったじゃないか?浄化は成功し、あれ?」


 そうしてやっと、自らの発言に疑問を呈す。さっきからずっと、知らず知らずのうちに潜む"ナニカ"がいる。少なくとも、無意識下の自分ではない。乗り移られたみたいに、ソイツの意識に満たされる時がある。すると、感じてしまう。自らの使命を。なのに、その使命が何なのか、見当もつかない。そもそも、使命の存在を認知してすらいなかった。でも、一つハッキリしていることは、ナニカを受け入れてしまえば、きっと良くないことが起こる。この正体をいずれ突き止めねばなるまい。しかして、兎にも角にも腹が減った。ひとまずは、食堂に向かうとしよう。


サイコル「あれ、パパまた具合悪いの?」

 

 と、そう心配そうに迎えてくれたのはサイコル、今ではザドキエルという名になってしまったが。と、付け加え忘れていたのだが、俺たちの中で慣れ親しんできた名を今更変えるのも不都合だということで、呼び名は変えないことにした。つまり、俺は今まで通り、アンセスという名だ。話を戻すと、サイコルはこちらの様子を伺っていたが、数秒の沈黙のうちに、目つきが鋭くなった。


アンセス「どうかしたの?」

サイコル「あなた…誰?」


 と、そんなことを言ったのだ。無論、それに対してこの場の全員が驚きを禁じ得なかった。当然だ。今のサイコルの発言は、一時の気の迷いのように感じるものだったから。しかし、俺はその発言の意図を察することができる。きっと彼女は見ているのだ。俺のうちに潜むナニカを。


ウェプノ「おいおい、何言ってんだ?頭おかしくなっちまったのか?」

サイコル「ウェプ兄、違うの。何か、パパがいつものパパじゃないみたい。」

インテラ「どういうことなの?私たちにも分かるように説明して。」

サイコル「えっとね、パパの思考が変なの。なんて言うか、全く別の誰かがパパに乗り移ってるみたいな?」

ケイト「つまり、見た目は父さんだけれど、その人格は別人ということ?」

サイコル「そう、そう!」

ベティ「じゃあ、今のお父さんって…」

サウンド「誰なんや、一体」


 彼らの目は懐疑的で、動揺がひしひしと伝わってくる。だからこそ、誤解を解こうとした。しかし、その意志とは裏腹に口から出た言葉はその疑いを確実なものへと変えてしまった。


???「ワタシハ神ダ。未来ニ君臨スベシ導キ手ナリ。」

アンセス「ぐっ…、あがぁ"。」

インテラ「父さん?しっかりして。」


 痛い。脳みそをぐちゃぐちゃにかき回されているみたいで、意識が朦朧とする。唸りと共に膝から崩れ落ちた俺に皆は急いで駆け寄った。


アンセス???「違ウちがuチガぅ血餓憂」

マスラー「父さんしっかり!」


 俺という存在が書き換えられているみたいだ。抵抗しようとしても、それは徐々に蝕んでくる。血肉から、神経、骨の髄まで侵されて、アイデンティティが霧散してしまいそうだ。カツカツといくつもの靴音が扉の奥から聞こえてきた。そうして扉が開かれ、研究員と守衛がやってくる。


研究員「緊急事態のようだね。」

ウェプノ「おいおいどういうことだ?」

研究員「説明の暇はない。直ちにゼロ・ポイントを確保する。」

ベティ「ちょっと待ってよ!」


 薄れ行く意識の中、皆の抗議の声を無視して俺を連れて行こうとする守衛の姿が映る。抵抗しようにも、それどころではない。飲み込まれないよう、必死に抗うことしかできない。しかし、それも長くは続かず、俺は完全に意識を手放してしまった。


・・・・・


ザッケハルト「どうやら、上手くいっているようだね。」

研究員「system code:Adamは順調にゼロ・ポイントの人格を書き換えていっています。滞りなく、計画を進められるかと。」

ザッケハルト「諸君の働きに感謝せねばならないね。」

栗峰「しかし、よろしいのですか?」

ザッケハルト「何だね栗峰?」

栗峰「ゼロ・ポイントの人格をAdamが乗っとることで生じる負荷は相当なものかと考えられますが。」

ザッケハルト「大丈夫さ。その懸念点も解消するべくEA器官を移植したのだから。」

栗峰「…。」

ザッケハルト「さあ、ここからが大詰めさ。世界を創り直すべく、神を降臨させようじゃないか。」


・・・・・


アスラナ「おい、急げ!」

ゼンク「分かってる!」

アスラナ「本部からの指示は?」

ゼンク「operation:strikeだ。」

アスラナ「やっぱりか。ゼンク、他の奴らに指示しろ。道中で、あの子たちの保護も行う。間に合ってくれ!」

出力


 core system:傷だらけのマリオネット


 出力中のcode:第1章


command実行中…


 成功


 承認されました


 これより、第一章クライマックスを発令


error

 

 commandの不備が確認されました


 以下に表示いたします


 傷だらけのマリオネットEP.14,15,16,17,18,19,20


直ちに修正してください

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