表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2

王都からフーウィールド領までは、馬車で2日かかる。

夕方まで馬車に揺られたレニィは、へろへろになりながら宿屋へ向かった。


修道院や貴族の家に宿泊するには、あまりに急すぎたのだ。今まで貴族の家にしか泊まったことのないレニィにとって、今回が宿屋初体験になる。

宿屋に入ってまず、簡単に夕食をとった。御者のおじいちゃんと一緒だったので、初めてだったけれど問題なく注文できた。


お腹が満たされた後は、部屋に向かう。階が違ったため、途中でおじいちゃんとは別れた。

荷物を持って階段を上がる。なかなかにきつい。荷物を預かって部屋に置いておくといわれたが、不安だったので断ったのだ。

こんなことなら預けてよかったかも…と、ちょっと後悔したレニィだった。


そうこうしながら、なんとか部屋にたどり着いた。

少しわくわくしながらドアを開け、部屋の中を見る。思っていたほど狭くはない。清潔感もあるし、全然抵抗なく泊まれそうだ。



荷物を放り投げ、助走をつけてベッドに飛び込む。一回やってみたかったのだ。

ふかふかの布団が、レニィを柔らかく包む。レニィのテンションは、最高に上がっていた。

毛布にくるまってごろんごろん転がってみたり、ベッドに大の字で寝転んでみたり。今まで人の目を気にしてできなかったことを、レニィは思う存分楽しんだ。

そして、長い間馬車に揺られたことで疲れていたレニィはいつの間にか眠ってしまっていた。



そんなレニィの奇行を見ていた人がいる。

それは、この部屋を借りていた青年だ。レニィは部屋を間違えていたのだ。


勿論、青年だって「部屋、間違ってますよ」と話しかけようとした。

しかし目の前の貴族然とした令嬢が突然毛布にダイブしたので、話しかけようにも話しかけられなかったのだ。


起こすのがかわいそうになるほど、幸せそうな顔で眠っているレニィ。

青年は、部屋を変える旨を伝えに荷物を持って店主の元へと向かう。そして本来レニィが止まる部屋に入ると、青年はそれまで着けていた眼鏡を外した。

急に長くなった髪が、肩を流れ落ちる。変装用の魔石付き眼鏡だったようだ。


「...もしかして、こうなるのわかってました?」


何もいない空間に向かって話し出した青年。その問いに対する返答は、青年の荷物の中から聞こえた。


「わかってたけど、言わない方が面白いでしょ?ねえ、今回の神子可愛すぎない!?!?私、こんなに神子に入れ込んだの数千年ぶりかも!」


ハイテンションに話す声は、小さな木彫りの神像から聞こえる。神像には宝石がはまっていて、内側から発光している。

神像が動かないため、大分シュールな光景だ。


「やっぱり神子だったんですね、彼女。しかしなぜ報告がないんでしょう?神子がもうすぐ顕現すると、ちゃんと通達しましたよね?」


何やら考え込む青年。


「この国って王の信仰が弱くてなんだかちぐはぐな国なんだよね...国民の信仰がすごい分そっちが目立ってる感じ。だからかな?」


軽い感じで話す神像。うんうんと頷く様子が目に浮かぶ。

その時、急に慌てた声に変わった。


「待ってもうすぐ切れそう!まだ大事な、」


神像はここまで言った後に沈黙した。エネルギー化何かが切れたらしい。神像に埋まった宝石の光が消えた。


「......まあ、疲れましたし寝ましょう」


そう言って青年は布団にもぐりこんだ。

青年の名前は、レイド・カリメラ。カリメラ教の教皇である。


先程まで話していたのは、主神のカリメラだ。

面白いことが好きなので、未来が分かっていていたずらをしてくる。

今回の訪問だって、カリメラが無茶を言ったからだったりする。修道院ではなく宿屋に止まっているのもそうだ、


「まあ、可愛かったというところには同意します...」


頭の中でカリメラに届かぬ返答をしながら、青年の意識は落ちていった。

今回はあんまり中身がない回みたいになりました...

次はにぎやかになるはずなのでお楽しみに!


最低でも1週間に1話は投稿できるように頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ